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2.転生ヒロインの暗殺者は驚愕する


ーーーーーー


あの時の衝撃は今でも忘れることができない。


推し、ネオ様の少年姿が見れたのだ。


まだ髪は伸ばしておらず、短髪だった。

あの鋭い眼光に、普通の人なら怯えるだろうが、逆に私の胸は高鳴るのだ。

これは推し愛!これは推し愛!と何度自分に言い聞かせたか。




あの時から10年が年が経った。現在15歳である。時が経つのはあっという間だった。

ネオは1つ上なので、現在16歳だ。私は出会って2年目くらいからはもう呼び捨てにしてしまっていた。

そして流石に10年も経つと、彼の顔面偏差値には慣れてくる。

相変わらず、たまにではあるが、ドキドキする時はあるが。


ちなみに、母の死と侯爵家の養子は無事に回避できた。

今は暗殺依頼で稼いだお金を月に1回、母に仕送りをしている。


暗殺依頼は初級をクリアすれば、上層部から指定された依頼だけだが、受けることができる。

比較的簡単な依頼とはいえ、その報酬は結構貰えるのだ。

十分に食べてはいけるし、もしかするとそれよりも余裕のあるくらいのお金は送っている。

なので母は、私が家を出る時の約束を守ってくれて、今ではもうお針子の仕事はしていない。

そして、もう10年も会っていないので私も早く会いたいのだが、手紙で月に一度だけやり取りをするだけで、まだ会えてはいない。



私は現在、暗殺特化訓練という、名前の通り暗殺に特化した訓練を受けている。


気配完全遮断やナイフ投げ、足音完全遮断、俊足など、初級の暗殺の基本は、試験の模擬戦で上位の成績でクリアし、上級暗殺者の訓練をかれこれ6年は受けている。

だが何故か上級者訓練は、容姿が飛び抜けて良い少年少女しか受けることができないのだ。

私たち暗殺者の中で、その理由を知っている者も誰もいない。


上級者訓練では、主に容姿を活かした訓練をする。そしてほとんどは、少女の場合はすでにお色気ムンムン(私もそうなってしまった)の妖艶な美少女、少年の場合は色気ダダ漏れなイケメンなどという、とにかく色気のとてもある少年少女が集まっているのだ。

ネオも私と同じでその中にいる。ネオは年々男らしさが増していき、今では色気まで放っているのだ。

そして上級者訓練では具体的には、自分の容姿で相手を一時的にでも魅了し、相手が隙を見せたところにナイフを急所に打ち込むのだ。

また、相手を魅了する笑顔の作り方なども、特訓する。

ネオはこの訓練の中で、いつも鋭い目尻をフッと和らげ蕩けるような笑顔を見せるのだ。あれは確か、ゲームの中でヒロインに向かって愛を囁くときに浮かべる、愛しい人を見る時の笑顔だ。

しかもネオルートは攻略が難しいので、あの笑顔は超レアなのだ!

今はそれが作り物だと分かっていても、見るとついドキドキしてしまう。

私がきちんとヒロインの役割を果たしていたなら来年ぐらいには、ネオはあの笑顔を見せてくれてたんだろう。

そう考えると、悔しくなってくる。

こんなことだったら、イヤイヤでもヒロインをやればよかった・・・ッ!

すべては、推しのレア顔を見るために!!


話がズレてしまったが、訓練以外の場でそのような笑顔は見たことがない。

もし見れたら、私はきっとその場で天国へ旅立ってしまうことだろう。




そうして、訓練と実践を重ねていくうちに実力の成果を自覚できるようになり嬉しく感じていた。


あれ。私は人殺しがしたいのか、それとも暗殺者として一人前になりたいのかどっちなのか、自分でも分からなくなってきてしまった。

・・・・もしかしたら私は本当に、前世の友達の言う通りサイコパスなのかもしれない。そしたらヤバいではないか。

私は前世の酒○薔薇○斗事件のような、人を殺して愉悦を覚えるような人にはなりたくないのだ!

(参考: Wikipedia 少年Aの手紙「SCHOOL KILL 学校殺死の酒○薔薇」)

まあ多分、大丈夫だろう。

暗殺はしているが、愉悦も覚えなければ、人を殺すことに対する躊躇も恐怖も感じたことはないのだから。

私はかなり酷薄だと自分でも自覚している。




すると、急に訓練場のドアが開いた。


「訓練中申し訳ありません。緊急依頼が入りました。部隊長から腕の良い15歳から17歳までの男女を二人来させよとのことです。」


国に忠誠を誓っている国家暗殺部隊は基本的に、国からの依頼をこなす。

それ以外からの依頼は無いと言ってもいい。


その中には緊急依頼というものがある。


度を越した悪行を働いていると分かってはいるが証拠が足りず、その悪行に見合った刑を与えることができない場合などに、秘密裏に国からの依頼で暗殺を実行するのだ。

だが例外もあり、潜入調査などの場合にはそれも緊急依頼に含まれる。

この国家暗殺部隊の暗殺者(以下、国家暗殺者)は、スパイ(悪い意味ではない)のようなこともするのだ。



暗殺依頼は必ず、部隊の最高職務である部隊長から直接依頼が来るようになっている。

(部隊長は、暗殺部隊の上層部に含まれる。)


部隊内の階級は高い順に、部隊長、部隊長補佐官、教官、現役上級暗殺者、現役年少暗殺者だ。


部隊長は最も階級が高く、部隊長補左官はその補佐で、主に暗殺依頼や暗殺実行候補リストの管理をし、その最終的な判断は部隊長がする。


教官は主に、暗殺者志望の幼い子どもたちの戦闘指導をする。意外なことに、暗殺者志望の子どもたちというのは結構いるのだ。


教官だけでなく、部隊長、部隊長補佐官も暗殺者としての実力はかなり高い。

なのでいざとなったら、彼らも戦える実力を有しているのだ。


そして最後に私たち、暗殺者だ。

暗殺者には、上級暗殺者と年少暗殺者がいる。


本来ならば私も年少暗殺者に分類されるのだが、例外で、私のように戦闘に特別長けている子どもは上級暗殺に分類される。

私には幸運なことに、暗殺者として、高い適性があったらしく、メキメキと成長していった。



話が逸れてしまった。


この訓練場に入ってきた彼は先程、緊急依頼と言っていた。

少なくとも、私がここに来てからは緊急依頼が入ったというようなことは聞いたことがない。

しかもその条件がとても不思議である。

何なのだろうか。


ズカズカと大股で、彼はこちらに向かってくる。

そして教官に何かを囁いた。


「・・・・・・いう依頼です。・・・すみませんが、これから来てもらう二人以外には依頼内容は話すことができず、部隊長が、その二人にも自分の部屋で話すとおっしゃってまして・・・。私も詳しくは聞かされていないのです」


話すことのできない緊急依頼とは何だろうか。


「・・・そうだなぁ。ネオとシャロン、行くか? 16歳と15歳で腕も良し、ちょうど条件に当てはまるしな」


まさかの私とネオペア。

ネオはどう答えるんだろうか。


「お、俺ですか? 別に良いですけど。普段部隊長は呼び出しなんてしないのに、今回したということは何か重要な依頼なのでしょう」


ネオがそう言っているので、私は推しに付いていくに限る。こんな幸運は二度とないかもしれない。


「じゃあ、私も行きます。サーラス教官に腕を認めてもらえたということですので、とても光栄です」

「そうだな。でもオレは結構前からお前の腕は認めていたぞ? ・・・そういうことだから、もう行ってこい!」


「「では訓練は一旦中止して部隊長室へ行ってみます。失礼します」」


ネオと私は声を揃えて途中退室する旨を教官に伝え、訓練場を後にする。


「ねぇ、ネオ。話すことのできない緊急依頼って何だと思う?」

「俺も分からない。さっきも言った通り、何か重要な依頼なんじゃないのか?」

「そうかもね。私はネオと今回依頼を受けられるのが嬉しいな」

「そうか? 確かに俺はお前にとって兄みたいなものだしな。一歳しか変わらないのにまるで兄のように慕っていたものな」


ネオにはそう見えていたらしい。

違いますっ!推し愛です!、とは言えないので、適当に返事をする。


「やっぱりネオはそう感じたんだ〜。私も少しネオのこと頼りすぎだったかな。今もだけど」

「別に気にしてないぞ? だから思う存分頼ってくれて良いんだぜ。・・・俺はお前の兄だしな!」

「ちょっと、ほんとの兄ではないでしょ! ホントの兄みたく振る舞うのはやめてよね!」


じゃれあいながら歩いていると、部隊長室の前に到着した。


まずネオンが最初にノックをする。


「失礼します。上級者訓練を受けている現在16歳のネオです」


次に私がノックをする。


「失礼します。同じく上級者訓練を受けている現在15歳のシャロンです」


「入れ」


中から低い声が聞こえてきた。


入ってみてると、部隊長室は綺麗に整理されていてシンプルな家具なのもあり、だいぶ質素な印象を受けた。


「ネオンです」

「私はシャロンです」


対面状態で改めて名前を名乗る。


「ああ、すまないな、わざわざ来てもらって。・・・時間がないのでいきなり本題に入るが、今回は長期の依頼だ。二人には、学園に潜入してもらう」


可能性として考えてはいたが、やはり潜入依頼だったらしい。


「あの、念のため聞きますが、学園ってどの学園なのですか?」


私もこのことを聞きたかったのだが、ネオが代わりに質問してくれた。


「ああ。来ると思っていた。・・・今回潜入してもらうのは、サンディル王立学園だ。」



・・・・・・・。



何だって!?


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