SCP-1283-JP 踏切のむこう
相変わらず長くなりました…短く纏められないのは文才が無いからです。今後とも精進して参ります。
オブジェクトクラス:Euclid
SCP-1283-JPは東京都八王子市の郊外にある、第1種甲踏切道(自動踏切遮断機か、踏切保安係がいる一般的な踏切のこと)である。外見、機能は普通の踏切であり、丘を登る小径とそれを十字状に横切る鉄道路線の交点に位置している。
外周をフェンスとゲートで囲い、私有地として一般人が近寄らないように収容する。ただし、鉄道路線が現在も使われているために、線路を介した接触にも注意する。
踏切周辺の土地を買い取れるなんて流石財団だ笑
SCP-1283-JPは、以下の要素を満たすことで活性化する。
1. 親しい人との死別を経験した人が
2. 南西の方角にある下り側から進入し
3. 踏切の半径200m以内に他者がいない状態で
4. 午前2時から20秒間目を閉じて故人との再会を願う
以上の要素を満たすと、目を閉じている進入者は遮断機の降りる音、電車の近付く音が聞こえてくる。そのまま目を閉じていると完全な活性化状態に入る。この途中で目を開いたり観測機器が存在すると、音は遠ざかってしまう。
そこそこ煩雑な手段を用いてこのオブジェクトを活性化すると何が起こるのか。それは故人との再会である。
進入者(SCP-1283-JP-A)は踏切の反対側に、活性化時に再会を願った故人が見えるようになる。この時点で観測機器の映像では故人が確認できるが、音声はノイズ音しか記録できない。他者は範囲内に進入できないし、踏切の反対側に行くこともできない。
故人は自身が死んでいることを認識した上で、進入者とコミュニケーションをとることができる。故人の出現から20分程で白い服の4歳児程の存在(SCP-1283-JP-B)が現れ、故人に帰ることを促すように服の裾を引いたりなどし始める。故人は進入者との会話を終わらせ、子供たちと手を繋いだり笑いながら踏切の向こう側へと去って行く。彼らが見えなくなったところでオブジェクトは非活性化する。
SCP-1283-JPが設置後のいつ異常性を持ったかは不明だが、近隣住民やネット上の都市伝説として噂になっていた。
有名な都市伝説や洒落怖なんかも実際の話だったりして…??
なんて心温まるオブジェクトなんだ!!もう亡くなった親しい人に会って話までできるなんて!!お別れが言えるなんて!!
これはこの紹介での初めての感動系オブジェクトに違いない!このまま実験記録の抜粋も見ていこう!
・実験記録3
故人:進入者の弟
外見も一致、会話もできる。24分32秒で消失。
・実験記録4
故人:進入者の父
SCP-1283-JP-Bには好意的。息災を願う言葉を繰り返す。23分50秒で消失。
・実験記録7
故人:進入者の夫
死後の出来事の知識はないことが分かる。早世の詫びと愛情を伝える。21分58秒で消失。
・実験記録10
故人: SCP-████-JP暴走時に殉職した財団の実験主任
SCP-████-JPの情報提供。19分18秒で消失。
・実験記録11
故人:進入者の婚約者
今までに得た情報の追試験。13分08秒で消失。
流石財団!殉職した職員を呼び出して情報提供させるなんて使い方をするとは!これはThaumielになるのも夢じゃない!!
故人と親しかった人物を用意しなきゃいけないことだけが問題かな…大規模収容違反とかあればサイト内全滅してそうだし…民間人引っ張ってきて終わったら記憶処理かな??笑
ってちょっと待って。なんかおかしいよね。
だって、消失時間早くなってるよ?もしかして力を使い切っちゃう…的な展開が!?このオブジェクトには隠された悲しい過去があったり!?
もちろんそんなことはない。確かに蓄えた力を使い切ったら異常性が無くなるSCiPも存在するが、これは違う。ここまでほとんど言及されていないある存在が関わってくる。それはもちろんSCP-1283-JP-Bのことだ。
白い服を着た4歳くらいの子供。そして故人を迎えに来る。ここからSCP-1283-JP-Bはいわゆる「天使」のような存在だと思われる。
なんだやっぱり良い奴なんじゃん!
…本当にそうかな?
インシデント
実験の準備をしていたら、SCP-1283-JPが活性化していないのに「天使」達が現れた。しかも数が増えている。意思疎通はできず、終始無言でニコニコしていた。
…こっわ!怖すぎるでしょ!?
消失しなかったためそのまま実験を開始。
故人の出現後、「天使」達は故人に群がりグイグイと引っ張る。故人は転倒し、ニコニコと談笑しながら引き摺られて行く。2分40秒で消失。短すぎぃ!!
この後、実験に関わった職員が近付くだけで「天使」が現れるようになったために実験は延期。
そして追い討ちをかけるようにここで新情報!
このオブジェクトは都市伝説になっていたと話したが、昔は「故人は鉄道に乗って帰っていく」という噂だったとか。
これ絶対ヤバいやつだよ…ニコニコしてるように見えるだけで何かとんでもない存在に違いない…
さらにさらに泣きっ面に蜂状態だがまたもや新たな情報が!
故人出現中の録音機器にはノイズが流れるのだが、そのノイズを解析したところ…
その全てが、███に類似した未知の音響と、実験当時出現していた故人のものと一致する絶え間ない絶叫
だったそうな。
もうやめてあげて!!!死体蹴りはダメ!!
さて、最高に胸糞悪い状態だがこのオブジェクトについて考えてみよう。
まずはやはり「天使」から。
ニコニコした子供が死者と手を繋いで帰って行く。童話にありそうな感動的なワンシーンだが、ここで故人の絶叫が響いているとなると話は変わる。故人がとてつもない苦痛を受けているのだ。作者様いわく、「近寄ると集まってくる池の鯉」のイメージなのだとか。絶対故人が捕食されてるじゃん!?タグに「捕食」って入ってるし!財団職員は餌くれる人だと思われてるじゃん!?見た目に騙されてはいけないんだね…
そして踏切と「天使」の関係について。
このオブジェクトは感動系的なノリで故人を呼び出し食らう非道な異常性を持つ、と安易に考えてはダメだろう。何故なら始めは故人は電車に乗って帰っていたのだから。つまり、最初は故人とお話ができるだけの踏切だった。そこに「天使」達が目をつけて、餌場として活用し始めたと考えるのが1番しっくりくる。踏切と「天使」は別の異常存在だったのだ。
もしくは誰かが余計なことをしたせいで異常性が増えたという可能性もあるけれど…(よく財団もやらかしてるからね笑)
そもそも都市伝説がどれだけ事実に基づいているか分からないからどれも確実とは言えないね。
考えたら恐ろしさが増したじゃないか!
死後の世界の実態は分からないが、死んだ人を無理やり呼び戻して踊り食いさせていると。そしてもし故人がこちらを認識出来ているとしたら、自分が喰われている所に生前親しかった人がニコニコしながら話しかけてくると。どんなに親しくても恨みの感情しか残らないような外道な仕打ち…
「天使」達にも疑問が残る。なぜそのような見た目なのか?
もし人間の思考を理解し、1番警戒心が抱かれにくい見た目を選んだのだとしたら高度な知性を有している可能性もある。読心術的なことが出来るなら、餌が貰えなくなった彼等がどんな異常性を増やしていくか…想像したくもない。
逆に、もし「天使」が先に存在していたのだとしたら?様々な宗教や童話で描かれる天使の元が「天使」なら。「天使」の捕食の様子をたまたま見てしまった人が語り継いでいたとしたら。死後の世界というのは、天国というのは、地獄すらも生ぬるい壮絶な体験が待っているのかもしれない。
…考えすぎであって欲しいね。
「SCP-1283-JP」 rkondo_001氏作
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1283-jp
次回は…閑話!用語紹介のお時間です!
別に要らないかな、とも思ったけれど念の為…というか私自身の再確認も含めて笑
知ってる方は次の紹介の更新をお待ち下さい!