表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SCPって何だろう?  作者: 来飛研究員
13/20

SCP-079-FR NPCの村(Village de PNJ)

大変遅くなりました。

その分今回は長くなりました。でもこの話大好きなんです。

オブジェクトクラス:Safe

脅威レベル:緑



―――――

ここで、SCPの解説の前にフランス支部にて独自に定められている「脅威レベル」について。

脅威レベルは、収容違反を起こした際の危険性ごとに7つのレベルに分けられている。


白:財団にとって有益。多くはSafeクラス。

青:有益である可能性があるが、予測不可能な存在や物体に対しては使用できない。多くはSafeやEuclidクラス。

緑:適切な使用をすれば有益でも有害でもない。多くはSafeやEuclidクラス。

黄:単独で、ある条件下では特異性を発揮する。しかし、容易に条件を満たさないように制御することができる(未収容でも)。多くはSafeやEuclid、Keterクラス。

橙:危険で予測不可能、容易に制御できない。多くはEuclidやKeterクラス。人型オブジェクトは最低でもこのクラス。

赤:予測不可能で大規模な被害をもたらす。K-クラスシナリオを引き起こす可能性があり、優先的に収容違反を防止するべき。多くはEuclidやKeterクラス。

黒:世界規模での被害をもたらす可能性があり、収容違反はXK-クラス世界終焉シナリオへ繋がる。ほとんどはKeterクラス。


何となく分かってもらえたかな?

本家のオブジェクトクラスが「収容難易度」であるのに対して、脅威レベルはオブジェクト自体の「危険度」を測るものとなっている。感覚的には脅威レベルの方が分かりやすいかも。

ということで紹介に戻ろう。

―――――



SCP-079-FRは、ポーランドの██████████森の内部の小さな村である。

え、ポーランド?財団にはちゃんとポーランド支部もあるのに、と思うかもしれないが、実は他国のSCPを管理するのは良くあること。人員派遣の面とかで非効率的なんじゃないかとは思うけど…話を戻そう。


村には小さな木組みの家、店、厩舎、鍛冶屋、洗濯屋、井戸などの複数の建物が存在する。これらの建築様式は独自のもの。また異常性により、それぞれの機能を持っていないと思われる。ドアは開けっ放し、鍵がかかってない、窓にガラスがない、家にはトイレやキッチンがない、生活の痕跡(残飯とか)がない、などの不自然な点がある。これは村と住人が独立して存在しているからではないかと思われる。

独立って…そりゃあ村と住人が癒着してたらそれはそれでSCPだけれども(そんな物体と混ざり合う「禁忌」みたいなものもいた気が…紹介、は長いからやるか分からないけれど)。


財団は、SCP-079-FRを中心とする半径10kmは希少なヨーロッパバイソンの自然保護区であるとして、侵入を禁止している。そしてフェンスで取り囲んだ上でレーダーによる監視をし、警告のための標識を設置する。警告を無視して侵入したあらゆる民間人は、警備員によって取り押さえる。地域上空の航空機の飛行は禁止。

銃撃や刺突などにより、SCP-079-FRの住人の物理的な健康を害してはならない。

入っちゃダメ!傷付けちゃダメ!なら普通かな?


先程から住人と書いてきたけれど、SCP-079-FRには、SCP-079-FR-1からSCP-079-FR-34 -35と指定された3435体の存在が住んでおり、それぞれに職業(木こり、農家、通行人など)が割り当てられている。

調査の結果、住人の中でも8人は、[データ削除済]というビデオゲーム制作会社の元従業員。その他は会社が倒産してから今までにポーランドやベラルーシで行方不明になった人達だった。


住人は一見すると普通の人の様だが、何があっても同じ場所に立ったまま。雨が降っても、傷つけられても立っている。栄養補給や呼吸は要らないらしく、普通なら動かないことで発生するはずの筋肉量の減少や痙攣なども起こさない。組織のサンプルを採取して調べたところ、住人は生きていて年をとっていることが分かった。また心拍していないのにもかかわらず、血液循環はしている。さらに、脳波検査の結果、昏睡状態の人と同じ反応を示した。

ここがさっきの「独立」の詳しい説明だね。互いに影響し合わないなら家要らないんじゃ(笑)


人間の呼びかけがない限り、住人は完全に停止している。力をかけても動かず、実験により4,500Nを超える力でも牽引出来なかった。

4500Nってどのくらいだか分からん!という事で、大体460kgの物体を支えるくらいの重さだと思われる。競走馬の体重とか、グランドピアノと同じくらいらしい。


それにもかかわらず、住人は通常の人間よりも銃やナイフに対して敏感である。つまり、怪我をしたら損傷部が感染によって腐り落ちる。それでも住人自体の健康には影響が無いように見える。

エージェント・██████がSCP-079-FR-03(衛兵その2)の腰を誤って切りつけてしまった際には、下半身が無い状態で浮遊したまま会話を続けていた。それはただのホラー。怖すぎ。そんなの、住人自身に意識ないみたいで本当に良かったね…。



人間が話しかけると、住人は会話する。しかし、そこに住人自身の意思はなく、複数の定型文の中から話しかけられた内容に合ったものを選択して発言(暗唱)する。会話相手が内容からかけ離れた発言をした場合、「分からない」や質問フレーズの繰り返しをする。

Hey Si〇iかな?OK Go〇gleかな?


対話のあと、住人は会話相手に対して依頼をする。そのうち3パターン(存在しないオブジェクトの選択、指定された場所に存在しない、[データ削除済])は達成が非現実的で不可能。「〜さんにコレを渡してきて」などの物体を伴う依頼は、住人が空を掴んで物を渡すマネをする。存在する物体は1つのみであり、事前に誰かがその依頼を受注していたと思われる。物体の代替は不可。


財団職員が受けた依頼内容

・ミラクルエリクサーを受け取ってきて: 対価として金貨を受け取った。18回目からはミラクルエリクサーが無くなり達成不可に。

・石蹴りに勝とう : 成功すると「3694」という暗号を教えられた。負けると参加していた住人から石を投げられる。

・3つの数学パズルを解く : 「アナセミアの運命のメダリオン」を貰う。が、存在しなかったために既に達成された依頼だった模様。

・他の住人から猪の死体を貰ってくる : 受け取りに行った先で、森での狩りを手伝ってくれと追加依頼。(下に続く)

・猪狩りに行く : トランシーバーで通信できる状態にし、アサルトライフルを持って同行し、[データ削除済]。トランシーバーから悲鳴が聞こえた。職員の死体は未発見だが、血痕と衣服は発見され、未知の獣により殺害されたと思われる。

おつかいクエストだったのに急に殺伐としてきたな!誰かエリクサー貰ってきてあげて!


これらにより、森の中に入る依頼は決して実行してはならない。敵対的な生命体と戦った証拠はあるが、昆虫以上に大きな生物は生息していない事が分かった。しかし、足跡や糞からは白い狼、猪、巨鳥、大きな蜘蛛や昆虫、[データ削除済]、[データ削除済]が存在すると思われる。依頼を受けずに森に入った場合は安全だった。

依頼の受注が何かしらの危険のトリガーになるのかな?



以下事案について


住人の一部が通常と異なる行動をとった

・SCP-079-FR-18 「洗濯婦」

定位置に立ち、呼びかけへの反応も変わらないが、24日に1度自身の左手首を1分08秒間傷付けるようになった。定期的な観察の後、手首に「pomóż mi (私を助けて)」と書こうとしていたと分かった。壊死による崩壊を防ぐために、傷を消毒する職員を要求中。

・SCP-079-FR-34「錬金術師」

部分的に自身の制御を取り戻している様子が確認された。定位置に立ち、呼びかけへの反応も変わらないが、周囲の職員に視線を向けようとし、話しかけるとパニックになったかのように瞳孔が動いた。通常に戻るまでの2時間36分もの間目から涙を流した。その後は異常行動は見られない。

・SCP-079-FR-21「鍛冶屋」

部分的に声の制御を取り戻し、2分20秒間

エージェント・████████と会話をした。

~内容抜粋~

「おはよう冒険者!何が必要だい?」などの定型文の間に、「神よ!助けて下さい!」「私のことを私の妻に教えて…」「これは私への罰です。私への呪いです!本当に愚かだった…」などと発言。エージェントの必死の呼びかけも虚しく、現象の核心に関する説明は無いままに再び「おはよう冒険者!」という定型文に戻った。

意識があるのに体がまともに動かせず、思ってないことを勝手に話す上に助けすら求められないとか地獄すぎる…


過去に4回、黒い中世の服を来た存在が森をさまよっている所が確認された。性質は不明であり危険な可能性もあるため、次回遭遇時は生け捕りが推奨されている。


村の入り口に「0.7.6, poprawione błędy (0.7.6,バグの修正)」という赤い落書きが見つかる。そして、特定の依頼達成に必要な「消耗品」(ミラクルエリクサーなど)が夜間に補充されていたことが分かった。落書きが何で書かれたかは不明で、不審な人物も見当たらなかった。

その3週間後、再び「1.0.0, Twoja księżniczka jest w innym zamku ([翻訳はアンブロジー博士の要求によりデータ削除済])」という落書きが見つかる。

アンブロジー博士からのメッセージが追記されており、「このメッセージは解釈しないように。SCP-079-FRは現存する唯一の例であり、「汚染」の心配はなく、オブジェクトクラスは確かにSafeである。」などと書かれている。



以下の事案の閲覧には、セキュリティクリアランスレベル4以上の承認が必要

・あるエージェントが依頼を受けて森に入り、行方不明となった。

・別のエージェントが行方不明になったエージェントを探し、かつ依頼の達成のために森に入り、行方不明となった。

・また別のエージェントが依頼受注の禁止を無視して依頼を受け、アサルトライフル2挺を持って森に侵入。「表面が弧になっている銃なら、面白いことになるんじゃないか」というメモを残した。

・機動部隊が失踪したエージェント捜索に向かうも、成果なし。

・機動部隊が2チームに別れ、それぞれ依頼を受けて森に入るも全員行方不明となった。

・別の機動部隊が派遣されると、失踪した機動部隊の司令官のみが中世の黒い服装で村の入り口付近に立っていたが、少し会話した後姿を消した。


以下は、捜索に来た機動部隊の司令官(A)と、失踪した機動部隊の司令官(B)の会話

(簡単にまとめようかと思ったが、省略するとどうしても怖さが薄れるためここでは本文を引用する)


『A: (Bの名前)?お前なのか?くそっ、お前が死んじまったんじゃねぇかと要らない心配しちまったじゃねえか!ところでお前、どうしてそんな服装してるんだ?

B: 新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?

A: ああー……お前頭大丈夫か?(Bの名前)、俺だぞ!お前の機動部隊に一体何があったってんだ。俺に教えてくれ……

B: 新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?

A: 戯言を言いやがって……相当なショックでも受けたかよ。うまくいったら、俺らが何とか……(AはBの前腕部を掴むが、Aが体を動かそうとするとびくともしなかった)

B: 新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?

A: おい、お前ホントにお前なのか?俺に何をしてほしいってんだ、(Bの名前)……お前が求めてくることは俺はやりたくねえぞ……そらっ、動け!動けってんだ!(Bの腕を引っ張り続けるが、動かすことはできなかった)

B: 新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?

A: それを繰り返すのを止めろ!

B: 新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?

A: 黙れ!黙ってくれ!

B: 新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?

A: (Bの腕を離す)ならねえよ!

B: 新たなアップデートが実装されると、あなたはこのゲームの一部になります。』


この後AはBの頭に向け発砲。Bの頭は酷く損傷を受けたものの、その他のパーツはその場に立ったままだった。

これらによりAはCクラス職員へと降格、精神治療を行っている。また、Bは正式にSCP-079-FR-35に分類された。

Dクラス職員を使用した実験も禁止。依頼の受注は再び固く禁じられた。



いや怖っ!怖っ!?依頼受注をすると、住人としてSCPの一部になるということか…





結局どういうSCPなの?

村全体がRPGの様なシステムに支配された異常空間になっている。そのため建物には生活感がなく(確かにRPGの村でトイレとかってあんまり見たことない)、住人達は動かずに定型文だけを喋る。

外部から来た人はいわゆる()()()のように、住人(NPC)からの依頼を受注でき、達成すると報酬が貰える。明らかに容量の小さいカバンから大量に物体が出てくるなども、ゲームだと思えばおかしくはない。

さて、森に入る依頼だけどうしても達成出来ないのは何故だろうか?これは私的な意見となるが、「ゲームとしての世界観」によるものなのではないだろうか。RPGの主人公と言えば剣と盾を装備し、魔法を操る(まさにSCP認定されそうだけれども)ことが多い。初期には唯の()でも敵に勝てることからも分かるように、物理攻撃が効くものが多い。しかし、ストーリーが進むにつれ物理耐性を持つ敵が増えていく。そこで、この村が「はじまりの村」ではなく中盤〜ラストに出てくる村だったら?どの敵も高火力の魔法、必殺技が出せる剣、アイテムなどを駆使して戦う必要がある。ここで、財団職員が持っていた武器とは何だっただろうか。そう、銃である。果たして、唯の銃でファンタジーの生物を殺せるのだろうか?もしかしたら、武器屋で剣でも買ってから行けば勝てるのかもしれない…



そんなことよりアンブロジー博士が削除したポーランド語の落書きの翻訳が気になって夜しか眠れない!という人のために。


「1.0.0, Twoja księżniczka jest w innym zamku」

「あなたのお姫様は別の城にいます」


はい、怖さが増しました。お前は某有名2Dアクションゲームのスーパーマ〇オブ〇ザーズのステージ4に出てくるキ〇ピオかっ!

とツッコんだ所でアンブロジー博士の懸念について。別の城…ということはこの村の他に城があると、そしてそこにはお姫様と悪役がいるのではないだろうか、と。

アンブロジー「だからそんなのいないんだよ!」



さて皆さん、この話を聞いてもゲームの世界に入ってみたいですか?

え?主人公なら大丈夫だって?それはどうかな…

「SCP-079-FR」 DrGemini氏作

http://fondationscp.wikidot.com/scp-079-fr


次回紹介するSCPは、本部に戻って。

上ではRPGゲームのNPCになった場合について述べたが、果たしてアクションゲームの主人公なら楽しめるのだろうか?安全なのだろうか?

皆さんはゲームの主人公になりたいですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ