徳の驚異 2
「一本、それまで!」
徳永さんの後も聖南学園の選手は勝ち続け、一番最初に決勝への切符を手にした
続く秋姉達も、苦しいながらなんとか勝ち抜き、30分の休憩を挟んで決勝となる
「それにしても強かったな、聖南学園」
「うん! 特に徳永さんが凄かったね」
雪葉の言う通り、徳永さんは特に強く見えたが、主将の竹内さんは勿論、副将の新井さんも侮れない。他の二人も強力だ
「だけど宗院さんも馬鹿だな~。秋姉は大将なんだから先鋒である徳永さんと戦う筈ないのに」
「この大会は特別で~、一試合毎に順番を変えられるのよ~」
「へ、へ~」
ほんと何でも知ってるなこの母
「秋姉は大将から動かないだろうから……徳永さんを大将に持って行くのかな?」
それを秋姉に忠告して、対戦相手をずらせば……
「……いや、駄目だな」
きっと秋姉は微笑みながら首を横に振るだろう
みんなのインターハイへの出場を賭けた大切な試合だ、人から見れば自分勝手とも馬鹿らしいとも思うかも知れない
だけど、そんな不器用な姉だからこそ俺は深く尊敬している。そして、それは多分部員達も……
「……凄いな、秋姉は」
なんだか自分が情けなくなってしまう
そんなネガティブな一言は、母ちゃんの耳に届いてしまったらしく、母ちゃんはギュッと俺の頬をつねった
「痛っ! や、止めてくれよ~」
「確かに秋は母さんから見ても、凄い子だと思うわ~。で~も~貴方だって凄いのよ~」
「て、言われてもなぁ」
特に特技とか無いし
「貴方が居るから私達はお父さんが居なくてもバラバラにならず、楽しく暮らせているのよ」
と、間延びせず母ちゃんは言うが……
「こ、高校卒業したら親父の代わりに働けと言う事でしょうか?」
「貴方って、たま~に凄く馬鹿よね~」
「…………」
それが俺の凄さですか?