院の作戦 2
二本目はあっさり決まった。今村さんは八相から正眼に変え、面から左小手、そして胴の連撃
しかし、その全てを捌き今村さんが引いた所で面打ち。これで一本、次の試合へと進む
「……やはり強い」
試合が終わり、ホッと息をついた俺の耳に、観客席横の階段からそんな呟きが聞こえた。何となしに見てみると
「宗院さん!?」
「ふふふ」
「暇なんですか?」
さっき格好良く何処かへ行ったと思ったのに
「う……顧問では無いから控室に入れないのですよ」
そう言い、聞いてる方が鬱になりそうな溜息をつく
「セクシャルアドバイザーでしたっけ」
「スペシャルね、スペシャル」
よいしょっと、宗院さんは俺の後ろの椅子に座ったが……
「そこ、誰かの荷物置いてありません?」
「海外では荷物を置いて離れる事など、どうぞ持って行って下さいと言っているようなものです。持って行かないだけ感謝して欲しいですね」
タチの悪いオッサンやな~
「お兄ちゃん、ジュース飲む?」
自分のがまぐち財布を持ち、俺に尋ねる雪葉。
花梨や美月達も席を外して雪葉の周りに集まった
「みんなで買いに行くのか? ちょっと待ってな……ほら、千円。みんなで使いな」
「でも……」
「たまには兄貴らしい所を見せとかないとな」
「お兄ちゃん……ありが」
「ありがとうございますでは行きましょうか、お嬢さん方」
俺から千円を取り、仕切り出す宗院さん
「てか自分で買ってくれません?」
「……歩合給なんですよ私」
「はぁ」
「去年は二回戦で敗退……分かるでしょう?」
宗院さんは死んだ魚の様な目で俺を見る
「そ、そんなに少ないのですか?」
「……確定申告へ行った際、所員に桁が一桁違いませんかと尋ねられましたよ」
ふぅ、と絶望感漂う溜息
「…………お昼ご飯でも食べて下さい」
その溜息を聞き、いたたまれなくなった俺は、そっと500円を宗院さんの手の平に置いた
「……ありがとう。君は間違いなく出世する。私が保証するよ」
出世していない人に保証されても……
「とは言え、私も大人です。只で貰う訳には行きませんね……。次の徳永の試合を見てください。面白い物を見せてあげましょう」
それでは、と雪葉に千円を返して宗院さんは去って行った
「……意味深な事を言いやがる」
一体何が起きると言うのだ
「ふ~。便所、混んでたな~って何故俺の荷物がぺちゃんこに!?」
宗院さんが座った席に、誰か戻って来たらしい
「……俺もトイレに行くか。途中まで一緒に行こう、雪葉」
「うん!」
宗院さんの真意。次に行われる徳永さん達の試合で見極めてやる!