表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/518

秋の試合 3

「光沢高校先鋒、間渕 鮎美。真田高校先鋒、山田 花」


妹の気に怯えていると、秋姉達の試合が始まった


試合場の中央で竹刀を構える二人の剣士は、身内のひいき目では無いけれど、うちの高校の方が堂々としている様に見える


「開始!」


さぁ試合が始まるぜ!


「一本、一本、いっぽんぽん!!」


秋姉の試合以外は早送り


初戦は秋姉の出番無く、完勝だ


「……うちの高校、結構強いんだな」


キャーキャー喜ぶ雪葉達を横目に、感心した様に呟く


「フフン、知らないのかね君」


「え?」


呼びかけられて振り返ると、ビデオカメラ片手にニヤリと笑う、細顔の中年眼鏡


「光沢高校は、佐藤 秋の名が有名過ぎて他の子達は影に隠れがちだけどね、二年の田宮も、なかな………………………………………………………でもやはり秋さんだね。技、力、気。その全てが郡を抜いている。彼女に勝てる子なんて、そうは居ないんじゃないかな」



秋姉の情報以外は全面カット


「成る程、流石俺の姉。……ところで貴方は?」


「ふ。私は聖南学院の女子剣道部スペシャルアドバイザー、 だ!」


秋姉の名前以外は、削除


「へ~」


「…………スペシャルアドバイザー、 だっ!」


「へ~」


「…………す、スペシャルアドバイザーの……」


「日永 宗院さんね~。覚えたわ~」

母ちゃんがおっとりと呟いた


「お、奥さん……奥さ~ん! ぐぼっ!」


感動で抱き着こうとした宗院さんの鼻面に母ちゃんの左肘。にこやかに微笑みながらやるから恐ろしい


一分後


「こ、今年はうちが頂きますよ」


流れる鼻血をハンカチで押さえながら、宗院さんは言う


「うちの新しいレギュラーで徳永と言う二年が居るのですが、それを秋さんにぶつけます」


「……ほう。しかし俺の……お、俺達の秋姉に二年が勝てるとでも?」


「……うちはね、全国狙っているんですよ。しかしくじ運が悪くてね、去年は二回戦目にそちらの学校に敗北しました。よほど悔しかったのでしょうね、それから一年、主将の竹内を始め、以下部員17名。一人も脱落する事無く、厳しい鍛錬に耐えてくれましたよ。中でも徳永は、書いた私ですら躊躇してしまう程のスケジュールをこなしてくれました」


嬉しそうに話す宗院さん


成る程、中々の自信だ。だけど


「秋姉は勝つよ。間違いなく」


自信なんか無い。これはただの確信だ


「……ふふ。君に話し掛けて良かったですよ」


蛇の様な眼で、下から上へとなめ回す様に俺を見る宗院さん


……ま、まさかホモ


「試合後、またお会いしましょう。私の執念が勝つか」


「俺の信頼が勝つか」

俺達はニコリと微笑み合い、その場を立ち去るって俺が立ち去る必要は無いな


「なんだか主人公っぽかったわ~」


座り直した俺に、母ちゃんが嬉しそうに言った


「ふ。俺はいつでも主人公さ」


「……馬鹿じゃないの?」


「やっと喋ったと思ったらそれかい!」


花梨にツッコミつつ、俺は部員を前に微笑んでいる秋姉に、頑張ってと小声で応援してみた




今日の主役


秋>>徳≧院>>俺>母


つづませる

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ