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秋の試合 2

母ちゃんに慰められている間に一回戦が終わり、いよいよ俺らの高校、秋姉達の出番となる


《二回戦第一試合場、聖南学園、立身付属。第二試合場、新井高校、相商学園。第三試合場、光沢高校》


アナウンスが我が母校の名を出した瞬間、会場は割れんばかりの歓声と、くらくらする様なフラッシュに包まれた


「A・K・I~っ秋!」


「っ秋! っ秋! 秋、秋、秋っ!」


「あ~き~、あきらめるな~僕らの~あき~」


何処に隠れていたのか、昭和の匂いがする訳の分からん集団まで、いきなり応援席から出る始末


こ、これは一体……


「さ、流石、秋さんですね……」


直也君が戸惑いを感じさせる口調で呟く


「まさかこの人達、全部秋姉目当て?」


「全員では無いでしょうけど人気者よね~。母さんびっくり~」


相変わらずの細目で頬に手をやりながら、おっとりと母ちゃんは言う


……本当にびっくりしています?


「それにしても、いつの間に俺の秋姉がこんな人気者に……」


「『俺』……の?」


雪葉の大きな目がギラリと光る!


「ぼ、僕らの……です」


か、母ちゃんの技をいつの間に!? お、恐ろしい子っ!!


《皆様、お静かにお願いします。試合が始められません》


「あき~あ~き~あきあきあ~き~ぃいい」


「ウヒャヒャ……ウヒャヒャヒャヒャ!」


アナウンスが注意しても周囲の興奮冷めやらず、ってか恐っ!


この騒ぎの中、秋姉は身動き一つ取らず試合場の外でピンと背筋を伸ばし正座をしている。

 まるであの空間だけ、俗世から切り取られた様に美しい


「……頑張ってね、秋姉達」


もちろん声が聞こえた訳では無いだろうけど、俺が応援したのと同時に秋姉がこちらをチラッと見た


そして姿勢や表情は崩さないまま、膝の上に乗せた左手を軽くこっちに向けて振る


「見たか今!? 秋様が俺に手を振って!!」


「馬鹿! AKIは俺に振ったんだよ! 見て分かるだろ!!」


秋姉が誰に振ったかでケンカをし始める昭和の愚民ども。だが奴らは間違えている!


「秋姉は俺に手を振ってくれたんだよ、この俺だけにな!!」


愚民どもに噛み付く俺


「『俺』……だけ?」


雪葉の大きな目がギラリと光った!


「ぼ、僕達……です」


ゆ、雪葉め、いつの間にこれほどの覇気を……

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