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第57話:秋の試合

剣道インターハイ予選。団体戦と個人戦があり、先に団体戦が行われる


五対五でやる試合は、先に三勝した方が次の試合へと進める訳だが、うちの学校はシードなので、二回戦から始まり四回勝てば優勝だ


「よかった、間に合った……あれ? 結構混んでる?」


二階にある観戦席。余り人気が無い筈の剣道なのに、ほぼ満席だった


「あ、カメラまで入ってる」


何かあるんだろうか


「おーい、こっちだよ雪葉に兄ちゃ~ん!」


入口付近の最前列の席でみんなが待っていた。こんな良い場所を一列占拠とは……多分母ちゃんの力だな


「雪葉お兄ちゃんのとなりが良いな」


「あら~」


空いていたのは母ちゃんの両隣だったが、母ちゃんは雪葉の為に一つズレた


直→鳥→花→月→母→俺→雪の布陣だ


試合は既に始まっていて四ヶ所でそれぞれ戦っている。

 試合中は当然、皆防具に身を包んでいて、男女の区別すら出来ないのだが、何と無く華やかに見えるのは何故だろう



ざわ


汚れた目で試合を見ていると、辺りが急に騒がしくなって来た。中には写メを撮る者も居る


「あ、秋お姉ちゃん!」


「え? あ! 本当だ」


雪葉が指さす方を見ると白い袴に赤いべっ甲の防具が冴える秋姉の姿があった。

 髪をサイドアップし、前を見据える我が姉の何と美しき事か


「秋姉~!」


少し距離が離れているので聞こえはしないだろうが、俺は手を振りながら秋姉を呼ぶ


ざわ……ざわざわ!


「今、あそこの奴が姉とか言わなかったか?」


「まさか弟?」


周囲が更にざわめく。どうやら秋姉は有名らしい


「……ふふふ」


そうです。あれは僕の姉ですよ


俺はピノキオ並に鼻を高くする


「……まさかな」


「居るのよね、有名人の身内を名乗る奴って」


「佐藤さんも大変だな。あんな死んだ魚の様な眼をした奴に身内呼ばわりされて」


「あ、こっち見たわ! なんまいだぶ、なんまいだぶ~」


「…………」


泣いても良いですか?


「秋お姉ちゃん、頑張って~」


「雪葉、今応援すると俺みたいに」


「あ~ん。あんな可愛い妹欲しい~」


「あそこの女の子達、みんな可愛いよね。佐藤さんの身内かな」


「う~ん。流石佐藤さんの身内! 品性ってのがあるよな!」


「………………」


「泣いても良いのよ~」


「か、母ちゃん……母ちゃん~!」


抱き着いた母ちゃんは、優しい匂いがしました

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