第56話:雪の見つけもの
「酷い目にあった……」
花梨の打撃を受け、未だダメージから回復しない俺。
みんなを先に武道館へ行かせて公園のベンチで体力の回復を待つ。
公園では夏の花があちこちに咲いていて、今、俺が休憩しているベンチの周りも華やかだ
「しかし雪葉は花好きだな~」
俺を心配してか、俺の側に残った雪葉。
白いワンピースに麦藁帽子を被り、嬉しそうに花壇を見て回っている。雪葉には花が良く似合う
「それにしても暑いな
秋姉は大丈夫だろうか
「……あれ? あっ! お兄ちゃん、お兄ちゃ~ん!!」
ぐだーっと空を見ていると、雪葉は突然驚いた様な声を出し、ベンチで座っている俺の元へ駆けて来た
「何か珍しい花でも見付けたのかな?」
可愛い奴め
「どうした雪葉~」
俺も雪葉の方へと走る
「お兄ちゃん、雪葉向こうで、どーてー見付けたよ!」
ドテンっ
顔面を地面に強打!
「お、お兄ちゃん!?」
「だ、大丈夫、大丈夫…………な、何を見付けたって?」
耳、悪くなったかな
「どーてー♪」
雪葉は、ものすげぇ笑顔で言ったってっ!
「コラ!!」
「ひうっ!? お、お兄ちゃん?」
びくっと身体を震わせ、困惑した顔で俺を見上げる雪葉
「そんなもの見付けて来るんじゃありません!」
「で、でも」
「雪葉!」
「は、はい……ごめんなさい、お兄ちゃん……」
ぽろぽろと雪葉の目から涙がこぼれた
「あ……と、まぁ雪葉。別に怒ってる訳じゃないからな。ただ、ちょっと女の子が人前で言って良い言葉じゃないから注意しただけだから」
「……うん」
「た、タコ焼き食お~美味しっぞ~。あ、それ、タッコ焼き、タッコ焼き」
奇妙なタコ踊りをしながら屋台へ向かう。屋台のおっちゃんが、果てしなく嫌な顔をしていた