花の禁句 2
「あらぁ~、どうしたの雪葉? お兄ちゃんに意地悪されたのかしら~」
雪葉に続き、元凶が車から下りて来る
シャネルの黒いワイドスーツに身を包み、胸元には深緑色の高そうなブローチを付けた母ちゃん。 一体何処のお嬢様ですかって感じだが、母ちゃんは本当にお嬢様だからな
「母ちゃん、雪葉を乗せる時は安全運転でって言っただろ?」
未だ震えている雪葉を、直也君達に預け、母ちゃんに文句を言う
「分かってるわよ~。こんなにゆっくり走ったの母さん久しぶり~」
駄目だ、気付いてもいない。よし、此処は俺がビシッと
「母ちゃん! 母ちゃんの運転は心臓に悪いんだよ!! 見てみろよ、この雪葉の小さな胸を! こんな小さな胸に母ちゃんの運転が耐えられると思うか? いや耐えられる訳が無い! いい? 良く聞きなよ母さん。雪葉の胸はなぁ、雪葉の小さな小さな胸はなぁ……ん? どうした花梨?」
花梨はワナワナと震えながら俺の前に立ち……
「公衆の面前で何ぬかしてんのよアンタは~!」
「ふぐりこっ!?」
腹に強打!?
「な、なにをするんですか?」
余りの強打にしゃがみ込み、ついつい敬語になってしまう俺
「お、お兄ちゃん! 花梨ちゃん!! 何でお兄ちゃんを叩いたの!?」
俺の元へすっ飛んで来る雪葉。狂暴な子供から庇ってくれるらしい
「え? な、なんでって……だって」
「兄ちゃんに何するんだよ花梨!」
「み、美月」
「花梨ちゃん。今、お兄さんが大切なお話をしていた所だよ。何も理由が無いのに殴ったら駄目じゃないか」
「な、直也さんまで……だ、だってそいつが!」
「お、俺が?」
な、何をしたんだ?
「っ……ご、ごめんなさい」
顔中に?マークを浮かべていると、花梨は元気無く俺に謝った
「……気にしすぎだったわ。普通に聞いていれば普通の会話だものね」
「普通に? あっ! お前、勘違いしたな!! 全く、はやとちりな奴だな。自分の胸が小さいからって気にしすぎだぞ。まぁ確かにそれじゃ将来心配になるのは分かるけど大丈夫。いつか花梨も人並みに……どうした、花梨?」
花梨はワナワナと震えながら再び俺の前に立ち……
「アンタわざとやってるでしょう!?」
「ひでき!?」
腹部に強打!
「な、何をなさるの?」
余りの痛さに女化
「……それはお兄ちゃんが悪いと思う」
妹が敵になった
「お兄さんはもう少し女の子の気持ちを勉強した方が良いね」
風子も敵になった
「兄ちゃん、花梨に胸は禁句だよ」
美月までっ!?
「うっ……」
俺は三人の小学生に責められ、がっくりと肩を落とし……
「って何で、いちいちわたしの胸を見るのよアンタ達は!」
「…………ふふ、気にする事無いさ花梨」
「そ、そうだよ。大丈夫だよ! ……きっと」
「でも動き易そうで羨ましいなぁ花梨は」
「な、慰めないでよ!」
今日の大きさ
母>>>>月>>風>鳥>雪>>>>>>>>花
「納得いかないわよ、この比較!!」
つづらし