鳥の悲鳴 ２
「こんにちは、直也さんそれと……ふんっ！」
「けっ！」
最後に花梨が俺達の元へと来る。直也君には真摯とも言える態度で挨拶をしたが、俺には挨拶すらしやがらない
「こんにちは、花梨ちゃん」
「はい。……雪はまだ来ていないのかしら？」
わざと俺を無視して風子に尋ねる花梨。嫌味な奴だぜ
「雪葉は後で母ちゃん達と来るよ。……そう、母ちゃんの車で」
母ちゃんの運転。それは秋姉の料理に続く佐藤家三大恐怖の一つである
そう、母ちゃんの運転は凶悪なのだ。
普段のゆっくりとしたテンションからは考えられない運転をあの女はする
「もう少し時間あるし、喫茶店で何か飲むか？ 奢るぜ」
「え、奢り？ やったぁ……あ、ふ、ふんっ！ そ、そんな物で機嫌取ろうとしてもそうはいかないわよ！！」
驚き、笑って、次に怒る花梨。忙しい奴だ
「……もしかしてまだ怒ってるのか、あん時の事を」
「べ、別に！」
「……悪かったよ。なんか恥ずかしくてな、照れ隠しだったんだ」
「……え？」
「分かるだろ？」
ガキんちょ達に散々冷やかされ、取り残されたあの時の恥ずかしさは言葉では言い表せないぜ！
「…………うん」
花梨も思い出したのか、顔を赤らめ、下を向く
「…………兄ちゃん！ 早く喫茶店に行こう？」
「うわっ！？」
グイッと俺の右手を両手で引っ張る美月。力強くて兄ちゃんびっくり
「分かった、分かった。野郎ども、行くぞ～！」
「お～！」
そのまま美月の左手を握り返し、公園内の喫茶店へといざいかん
「あ…………ま、待ちなさいよアンタ達！」
「……ふふ。三角……いや四角だね。お兄さんも大変だ」
「俺達も行こう、宮ちゃん」
「はい、直也兄さん」
んでもって歩く事三分。周囲を見事な花壇に囲まれている喫茶店の前。
花壇には……白い花とかピンクの花とか色々あって
「見事なヒメシランやヒャクチョウゲですね、お兄さん！」
「勝ったつもりか！」
「うわっ！？ す、すみません！ 俺はいつもお兄さんに完敗ですっ！」
「……ふ、ちょっと大人げ無かったな。すまない直也君」
「お兄さん……いえ！ 俺の慢心をお兄さんの気合いが吹き飛ばしてくれました！ あざっす！」
頭をしっかり下げ、感動で打ち震える直也君。俺はその直也君の肩に手を起き、顔を上げさせる
「直也、お前……」
「お兄さん、俺……」
見つめ合う俺ら
「熱い眼だ……。こんな熱い眼をした奴を俺はお前の他に知ら…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ふふ」
こ、こんなに冷たい眼をしている奴らも他に知らないっ！
「……行きましょう、美月。アレに関わっちゃいけないわ」
「……兄ちゃん、わたしと遊ぶより直也君と遊ぶ方が楽しそうだね」
花梨と美月は冷たい眼をしたまま、駐車場へと戻って行った
「あ……な、直也兄さん私、信じてます！」
「……ふふ。宮は強いね僕も一応信じているよ、お兄さん」
だが眼が泳いでいるぞ二人とも
「て、言うか一体何の話しだ？」
「……う～ん。あっ！ お兄さんがカッコ良すぎて照れたのでは！？」
「直也君～。それは嫌味か～。お前の方がカッコイイだろ～」
「そ、そんなこと無いっス。俺なんて全然で」
「さっきモテてたの見てたぞ～コノコノ」
直也君の頬っぺたを軽くつつく
「あ、痛たっ！ やりましたね、お兄さん！！」
直也君は仕返しとばかりに俺の脇腹をつつき返してきた
「お、生意気な！ それならこうだ！！」
「あうっ！ そ、そんな所をつつくなんて……。そんなお兄さんにはこうです！！」
「うわっ！？ だ、大胆な奴だな。こんな人前でそんな所を！」
「参りましたか～お兄さん！」
「まだまだだぜ～」
それから一分ぐらいつつきあって……
「あはは！ やっぱりお兄さんには敵わないや」
「直也君も中々やるーっ……ん？ あ、ごめんな風子、鳥里さん。退屈させ……と、鳥里さん？」
鳥里さんはア然とした表情をし、身体をガタガタと震わせていた
「ど、どうしたの宮ちゃん？ 寒いのかい？」
「そ、そんな……な、直也兄さんが男の人と……い、いやあああ！？」
「み、宮ちゃん！？ 待って！！」
悲鳴を上げ、逃げ出した鳥里さんを直也君が慌てて追う
「…………な、なんなんだ？」
残された俺は、ただただ困惑するばかり
「ふふ。流石に僕もちょっと引いたよ」
そう言って風子は駐車場の方へ歩いて行く
「な、なんなんだ一体？」
俺、何か悪い事したか？
「ま、待って、宮ちゃ～ん！」
「いーやー！！」……あ、鳥里さん速いじゃん
今日の好感度（鳥）
直＞＞雪≧花＞月＞＞風＞＞秋＞＞＞＞＞＞＞＞俺＞＞虫
今日の好感度
花＞月≧雪＞＞風＞＞直＞＞秋＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞虫＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞俺
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