第52話:春の無敵
佐藤家三女、佐藤 春菜俺の妹だ
春菜は運動神経がとても良く、初めてやるスポーツでも一時間あればそれなりの形にする事が出来る。それが一年も続くものなら、どの競技でも全国レベルまでになるかもしれない。
秋姉が努力の人だとすると、春菜は天才と呼べるだろう
次に春菜は良くモテる。多分、我が家で一番モテている。それはさっぱりとした性格にもよるが、美形揃いの華麗なる我が一族の中で、最も美人顔だからだと専門家は指摘する
そう、非常に、非常に、ひじょ~に認めたくは無いがっ! 春菜は我が家で一番美人だと言われる事が多い
例えばこんな例がある。私のクラスメート、太郎君との会話だ。
先週彼が久しぶりに私の部屋へ遊びに来た時の事だ
『お前の部屋、相変わらず片付いてるな~』
感心した様に言い、床へ腰を下ろす太郎
『まぁな。秋姉にだらし無い所を見せる訳にはいかないしよ』
『秋さんな~、超美人だし、一緒に暮らしてりゃ気を使うわな』
『むふふ、ま~な』
『たくマジで、羨ましいぜ。夏紀さんもすげぇ綺麗だし、雪葉ちゃんも可愛いしよ~』
太郎は心底羨ましそうに言うが……
『……夏紀姉ちゃんならあげても言いぞ』
『…………遠慮しておくわ』
夏紀姉ちゃんの本性を知っている太郎は、静かに首を振った
『……ま、確かに顔だけは良いけどな、アレも』
ガチャ!!
突然開く扉、まさか!
『ひぃっ!? す、すみません! 太郎の馬鹿が僕の愛するお姉様を、顔しか取り柄の無い酒飲みだと馬鹿にしまして、説教をしていた所です!』
マッハで土下座っ!
『ち、ちょ、お前!? 何言って…………』
太郎の言葉が途切れる
『な、何してる! 貴様も早く土下座しろ!!』
『あ、いや……夏紀さんじゃなくて…………』
『ん?』
恐る恐る顔を上げると……
『何してんだ兄貴?』
春菜だった
『あ? ……なんだ春菜かよ、脅かすなよな』
『脅かせたのか? わりぃ。ん? お、太郎じゃん、久しぶりだな~』
『あ、はい……えっと春菜ちゃん?』
『ん? なんだ?』
『い、いや……』
『なんだよ~』
太郎に詰め寄る春菜。太郎はオロオロと視線を迷わす
『で、どうしたんだよ春菜』
『ん? 暇だから遊ぼうぜ!』
『……まぁ良いけどよ。太郎も良いか?』
『あ、ああ……』
それから夕方までゲームをし、太郎が帰る時間となる
俺はコンビニに行く為、太郎と一緒に家を出た
『春菜の奴、隠れて練習してやがったな~』
いつの間にか、格闘ゲームで俺と五分の勝負をする様になっていた
『…………』
『……さっきから様子が変だけど、どうかしたのか?』
『…………な、何だあの美少女は!!』
『は?』
『何なんだよ、何なんだよ、何なんだ~!!』
『ぐぇ!?』
太郎は俺の襟を掴み、揺さぶる
『何であんな美少女がお前の家に~!!』
『ええぃ、離せ!!』
『あ、す、すまん、つい興奮して……』
『たく……。美少女って誰の事だよ?』
『誰って春菜ちゃんの事に決まってるだろうがぁああああああ!!』
夕焼けに向かって吠えたその大声は、太郎の姉ちゃん(めっちゃ怖い)まで届き、その翌日太郎の弁当にはおかずが一品も入っていなかった。余談である