第7話:風の少女
不思議な少女と出会った
その少女は俺よりずっと年下だと思うのに、そんな感じが一切せず、何と言うか大人びていて、凄く透明感のある少女だった
「遅刻、遅刻〜」
朝、学校への登校。遅刻しそうだった俺はパンをくわえて走っていた
そして、曲がり角を曲がったその時!
「うわっ!」
「きゃっ!?」
俺は少女とぶつかったのだ
「あいたた〜。……だ、大丈夫?」
「うん、僕は大丈夫。お兄さんは?」
「あたし? あたしは………」
いや、この回想、俺じゃ無いだろ!?
えっと……ああ、そうそうこれだ!
「大丈夫か? 坊主」
俺はぶつかった少年に手を伸ばす
「え? 嫌だなぁ。こんな格好しているけど、僕、女の子だよ?」
少年、もとい少女は俺の手を取って立ち上がり、被っている帽子を脱ぎながら、そう言った
帽子の下は意外と長い髪で、よく見ると可愛らしい顔をしている
キンコンカンコーン
「あ……遅刻か」
「ごめんね、お兄さん」
「いや、俺の方が不注意だった。どうだ、もし暇ならマックでも食いに行かないか?」
「あは、僕が女の子だって分かったからナンパかな?」
「ふっ、生意気なガキだ」
俺達は暫し笑いあって、マックへ行く事にした
「僕の名前は風子。風の子と書くんだ」
お互いの名前を名乗り合いマックを出る頃には、すっかり打ち解けていた
そして、俺達は河川敷へと行く
「そうか、先月転校して来たのか」
「うん。これで7回目」
河川敷を歩く俺ら。風子は石を蹴飛ばし、寂しそうに呟いた
「そんなに! 凄いな」
「僕のお父さんは、絵かきだからね」
岬君みたいな奴だ
「でもね、そんなに悪くは無いんだ」
「どうして?」
「四季折々の様々な景色が見れるし……」
風子は足を止める
「一期一会。色々な人に会った。そう、こうしてお兄さんにもね」
「風子……」
風が強くなり、どちらとも無く別れを意識する
「……また会えるか?」
「ふふ、どうだろう。僕は同じ場所に居ないからね」
「ふっ、風は止められないそういう事か」
「でも、お兄さんとはまた会える気がする。そう、お兄さんからも風の匂いを感じるから」
俺達は微笑み合い、そして別々の道を歩き出す
さよならなんて言わないさ
風はいつでもそこにあるから
………………
「ただいまー」
風子と別れてから学校へ行き、夕方家へ帰った俺は、廊下で床を掃除している母ちゃんに声をかけた
「お帰りなさ〜い。ちょうどよかったわ〜」
「うん? 何が?」
「雪葉を呼んで来てくれる〜?」
「ああ、良いよ」
俺は2階へと上がり、雪葉の部屋をノックした
「は〜い」
ガチャリとドアが開く
「よ、雪葉。母ちゃんが呼んでるぞ」
「うん、分かった! あ、そうだ、お兄ちゃん新しいお友達紹介するね」
俺は部屋に引っ張られた
部屋に居た女の子は立ち上がり、ペこりと頭を下………げ?
「始めまして。僕、佐藤さんのお友だ……」
「……………」
「うん? どうしたの風子ちゃん? あれ、お兄ちゃん?」
「……………」
「……………」
なんかもう、すんげー気まずかった
今日の気まずさ
俺≧風>>>>>雪>父>母
つづきます。