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夏の無実 2

「ゆ、雪葉?」


「ん~お兄ちゃ~ん」


雪葉は真っ赤になった顔で俺に擦り寄る……ってか


「酒くさっ!?」


「お酒~? 雪葉、お酒嫌い。でもお兄ちゃんは好きぃ」


そう言って、俺の首にギュッとしがみつく雪葉。めっちゃ体が熱い


てゆーか誰だ、雪葉に酒を飲ませた奴は!


それは誰だ、誰だ、誰だ


などと十代には分からない歌を脳内で流しつつ、俺は夏紀姉ちゃんを睨んだ。推理するまでも無い


「な、なによ? べ、べつにあたしが日本酒を飲ませた訳じゃ……」


「語るに落ちたなデビ〇マン! 何故日本酒だと断定出来る!!」


テーブルにはビールや赤ワイン、日本酒にブランデー、そして数多くのコップが立ち並び、誰が何を飲んだのかなど、一見では分からない


「……観念しなよ、夏紀姉ちゃん。今ならまだ自首になるんだ」


俺は夏紀姉ちゃんの肩に優しく手を置き、微笑んだ。

 夏紀姉ちゃんはうなだれ、ぽつりぽつりと真相を語り出す


「……あ、あたしがやりました。雪の飲んでいたサイダーのコップを間違えて取ってしまい、気付いた時には、あたしのコップが雪の手に……」


「……悲しい事件だ」


「う……うう……」


顔を伏せて泣き崩れる、ほろ酔い姉ちゃん。

 そんなコントをしている間も雪葉は首にしがみついたまま離れない。もはやコアラだ


「て事は、俺はユーカリなのか?」


「んに~」


「ぎゃ~!?」


雪葉の攻撃! 雪葉は俺の耳をあまがみした!?


俺の精神に8のダメージだぜぃ!


「こ、こら噛むな! 俺は葉っぱじゃないぞ」


「知ってるよ! お兄ちゃんは雪葉のお兄ちゃんだもん!!」


プ~と頬を膨らませる雪葉


な、何を怒ってるんだコイツは?


「最近お兄ちゃん、雪葉に冷たい! お家に居ても秋お姉ちゃんや夏紀お姉ちゃん達ばっかり構うんだもん……」


秋姉はともかく夏紀姉ちゃん? 構って、と言うより絡まれてが正しい気がする


「休みの日はもっと雪葉と遊んで欲しいの……」


潤んだ瞳で真っ直ぐに俺を見つめる雪葉。

 昔から雪葉のこの目には逆らえない


「……分かったよ。今度の日曜日、いっぱい遊ぼうな雪葉」


「……えへ」


雪葉はホッとした様に笑い、目をつぶる


「……大すき、おにぃ」


そして、穏やかな寝息をし始めた


雪葉の体をゆっくり引き離し、代わりにひざ枕をする。

 羽の様に……ってのは大袈裟だが、軽い雪葉の頭。この軽さが心地良い


「お休み、雪葉」


「……ん……に……ぃ」


「……ふふ」


良い夢をな


「はっ! 何を聞くかと思えば動機ですって?  雪葉を殺害する動機なんて無いわよ! 馬鹿な弟ならともかくね!!」


夏紀姉ちゃんをほっといてたら、随分物騒な話になっていた。

 めんどくさいから更にほっとこう


「あたしは無実よ~!」


「いや、有罪でしょう。むしろ極刑?」


「ああん!?」


「む、無罪確定! おめでと~」


「本当!? やったわ、勝訴よ!! 酒だ酒だ~祝い酒だ~」


「ち、ちょっと待って、それ以上飲むと姉ちゃんの酔いどれLEVELがアップ……や、止めっ! 俺のコップに酒を注がないでくれ~」




今日の良い夢


雪>>>>>春>秋≧母>父>>>>>俺≧夏(悪夢)


続けたる!

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