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第40話:雪の看病

「ハァハァ……や、止めてくれ殺さないでくれ春菜……」


コンコン


「ああ、春菜様……わたくしめは卑しいゴミ虫でございますぅ。お許しをお許しを〜」


ガチャリ


「……お兄ちゃん?」


「う〜ん、う〜ん」


ペタ


「………………おでこ熱い。酷い熱」


ヒンヤリ


「う、うぅ?」


頭が冷たくて気持ち良い


うっすらと目を開けると、心配そうに俺を覗き込む妹の姿があった


「う……ん? 雪葉?」


「大丈夫? お兄ちゃん」


「ん、……ああ。ちょっとキツイけど大丈夫」


「……良かった。おでこのタオル、温くなったら言ってね」


「ありがとう雪葉。すまないねぇ」


「お兄ちゃん……。雪葉ね、春お姉ちゃんを怒ったの。体が余り強くないお兄ちゃんを無理させたんだもん」


「う……」


雪葉にも貧弱だと思われているのか……。これはちょっと運動しないと駄目かも


「とにかく今日は雪葉がずっと側にいるね」


雪葉はマザーテレサの様な慈愛に満ちた目で俺を見つめた


「大丈夫だって。俺の事より宿題はやったのか?」


「うん、終わらせたよ」


「風呂は入ったか?」


「うん」


「歯、磨けよ〜」


「もう磨いたよ〜」


「そっか」


「うん。もう今日はやる事無いよ。だからずっとお兄ちゃんと一緒」


雪葉はエヘヘと笑い、俺の手を握った


「して欲しい事があったら雪葉に言ってね」


「して欲しい事か……」


さて、此処で説明しなくてはなるまい! 佐藤家四女、佐藤 雪葉は佐藤の中で一番世話好きである


どのくらい世話好きかと言うと、以前我が家の庭へ入って来た瀕死の小鳥を数ヶ月看病して怪我を癒し、更には飛翔と狩りのトレーニングを半年にわたって実地した後、野生に帰した程だ


そして佐藤家長男であるこの俺は、初めて産まれた男として散々両親に可愛がられた揚句、当時は優しかった夏紀姉ちゃんや、今も優しい秋姉。更にはいつも俺を庇う雪葉に囲まれてすくすくあまあまと育って来た


そんな世話好きな雪葉と、世話され好きが俺


此処は遠慮などせず、素直に甘えるのがジャスティスと言う物なのだろう


「兄ちゃんプリン食べたい」


「うん、分かった! 買って来るね!!」


「こらこら待ちなさい。いくらコンビニが近くにあるからって、女の子が一人で出歩いて良い時間じゃないだろ? 春菜に行かせな」


「え? で、でも春お姉ちゃんも女の子だよ?」


「あれは雌だ。正式名称アバレオオグイピポポタマスと言ってマウンテンゴリラの一種だ。仲間にナマケウバノミオヤジクサイって言う…………天上に住まう美しい女神達が……」


ドアを軽く開けて、薄ら笑いと怒りの表情で部屋を覗いていらっしゃいました


「遺言は?」


「愛しています、お姉様」


「あーにーきー!!」


「知ってるか? ゴリラって地球上で最も優しくて偉大な生き物なんだってよ」


「熱で苦しんでるって言うから見に来てやった姉に対して随分ふざけた事を言ってたじゃない?」


「ゴリラってそんなに偉大なのかー」


「ちょっと春菜。あんなアホの口車に乗せられてどうするのよ。ゴリラは所詮ゴリラよ。豚ゴリラよ?」


「豚ゴリラ!? くぅうう〜兄貴!!」


「い、いや今のは俺が言ったんじゃ」


俺の言い訳も聴かず、二人は指をポキポキ鳴らしながら近寄って来た


「ひ、ひぃいいい!」


直ぐに訪れるであろう死に怯え、俺は小鹿の様に目を閉じ震え上がる


「………………あれ?」


一向に攻撃が来る気配が無い


「いったい何が……」


俺は恐る恐る目を開けるすると俺の目前には……


「め、女神」


女神が二匹の醜悪なモンスターを前に、俺を庇っていらした


「夏お姉ちゃん!」


「は、はい!」


「春お姉ちゃん!」


「は、はい!」


「お兄ちゃんは今、病気なの! いじめるなら出て行って!!」


「え、えっとべ、別にいじめてる訳じゃ……な、なあ夏姉!」


「そ、そうよ〜これは家族のスキンシップって言うかアタシ達なりの励ましって言うか……」


「…………ほんと?」


「もちろん!」

「もちろんよ!」


「……そっかぁ。ごめんなさいお姉ちゃん達」


「い、良いのよ~。さ~プリンでも買いに行きましょうか春菜!」


「あ、ああ! 行こうぜ夏姉!!」


二人は慌てて振り返り、ドアの方へ……


「キャー!?」

「うわ~!?」


「…………プリン」


ドアの前にはいつの間にかコンビニ袋を持った秋姉が立っていた。我が姉ながらほんと気配が無い


「秋お姉ちゃんプリン買って来てくれたんだぁ」


「……うん。みんなの分あるから食べよ?」


秋姉は腰を抜かして座り込んでいる夏紀姉ちゃんと春菜にプリンを渡し、ベットの側に寄って正座をする


「……はい、雪葉」


「ありがと、秋お姉ちゃん」


「……はい」


「ありがとう!」


流石秋姉。俺の一番好きなメーカーだ


ガチャ


プッチンとプリンをあけると同時にドアが開いた


「あら〜みんな此処に居たの〜」


「母ちゃん?」


「桃の缶詰よ〜みんなで食べましょう」


それから夜中までみんな俺の部屋に居て、うかうか寝てられる状態じゃなかったけど……


「お兄ちゃん、あ〜ん」


「ほら、卵酒。飲みなさい」


「兄貴〜肉食え、肉!」


「……ん。体拭くね」


「後でお粥食べましょうね〜」


なんか幸せだぜ!




今日の幸福度


俺>>雪>>>秋≧母≧≧春≧夏>>>>父



続けばいい

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