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第166話︰秋の出陣祭

秋姉大阪出陣祭


佐藤家がそんな事をやると、世間では、まことしやかに騒がれた


だがしかし、俺達にそんな祭りをやる予定などなく、身内で手巻き寿司パーティーでもやりながら、秋姉をインターハイへ送り出すつもりだった


それなのに……


「秋さまー! あーきーさーまー!」


「秋様! 秋様! 我に光を! 我らお光をー!!」


「あーき、それはいつか見た光。僕が見たきぼおー」


午後1時。家は何十人いるのか把握出来ない数の暴徒に囲まれていた。奴らの話を聞いていると、どうやら祭りに参加したいらしい


流石に近所迷惑だろと思っていたら、近所の連中も混ざっていたので手に終えない


「困ったな」


さて、ここはリビング。家にいる全員、俺と春菜、雪葉に秋姉が集まっている


「ん……。みんなとお話してくるね」


俺達にごめんなさいと頭を下げ、秋姉は外に出ようとする


「ちょっと待って。今、秋姉が行くとパニックになるかもしれない。ここは俺が行くよ」


「でも……」


「任せて任せて」


奴らと俺はほぼ同じ思考をしているので、扱いやすい


「……ありがとう、恭介」


いつも頼ってばかりだと、寂しげに微笑む秋姉


この微笑みの為なら俺は300人相手に無双出来る


「それじゃ行ってくる」


「行ってらっしゃーい」


「気をつけてね、お兄ちゃん」


いつも大変だねーってな感じの軽い声援を受け、いざ出陣


「うぉー秋様、秋様ぁあああー」


「ゴホゴホ。……あ、秋様パワーが切れたんじゃ。ゴホゴホ! 秋様パワーが切れたんじゃあああ!」


「前を通して! おじいちゃんが死にそうなんです! 秋様会わせてあげて下さい!!」


玄関に近付くにつれ、熱狂が増してきている。これはちょっと、まとめられないかもしれないな


だが秋姉の為ならば!


意を決し、俺は玄関のドアを開けた


「ドアが開くぞ! 天照大神の降臨だー」


「つ、ついに秋様をこの目で……」


「待てよ、もしかしたら別のご姉妹かもしれない! 天真爛漫な美少女春菜様とか!」


「そ、それとも、まさか雪葉ちゃん……」


「ワシはエロエロな夏紀様希望じゃー」


「おじいちゃん!?」


勝手に盛り上がってる中、俺が颯爽と登場する。さぁ更に盛り上がってみやがれ!


「…………」


「…………」


「…………」


家の前を埋め尽くす暴徒達。もしかしたら100人越えているかもしれないコイツらは、俺を見て固まった。そして誰かが呟く


「なんだ1番のハズレか」


「今言ったの誰だコラァ!」


俺の怒りの声を聞き、暴徒達は一斉に指差す


「お前は……田村か」


クラスメートだった気がする


「さ、佐藤がついに俺の名前を!? ああ、佐藤よ! 俺は今、猛烈に感動している。今こそ貴方に忠誠を誓う!!」


「よし、田村。お前には秋姉ポイント5をやろう」


「ありがたき幸せ!」


「10貯まったら死刑な」


「罰が重過ぎる!?」


さて田村はほっといて


「何なんですか、この騒ぎは! 秋姉祭りなんてやりませんよ!?」


嘘つけバカヤロー。秋様を解放しろー


そんな罵声が飛んでくる


「つーか祭りだとしても、集まりすぎでしょうよ。何人来てるんですか?」


「100じゃー!」


じいさんが叫ぶ。もう秋姉パワーいらないんじゃねーか?


「100人?」


「一万はいる秋様親衛隊の中でテストをし、100人にまで厳選した精鋭中の精鋭です」


戸惑う俺に、スーツ姿の男が補足説明。100人に厳選? 何を言っているんだこいつらは……


「…………だと?」


「え?」


「100人に厳選だと!? 秋姉を舐めてんじゃねー!!」


「なんですと!?」


「……5人だ。5人にのみ拝顔する権利を与えよう」


少し選別した程度で会える程、秋様は軽いお方ではないのだ!


「そうね、その通りよ」


ざわつく中、俺の言葉に賛同する者がいた。あ、あれはまさか!


「来ていたのか鈴花!?」


来なくていいのに


「ふ、まこと真理。我、追従するなり」


「お、お前は赤田か!」


来なくていいのに


「流石はマスター。僕の想像を遥かに超える」


「遠藤、お前まで……」


来なくていいのに


三人はモーゼの如く人波を割り、俺の前に来て跪く


「我ら四天王! 御身の前に参上致しました!!」


「よし帰れ」


「は?」


「あ、いや、ご苦労」


つい本音が出てしまった


「ねぇ、私達は選ばれるんでしょ?」


鈴花は甘い声を出し、俺の内腿を撫であげる。なんとも色気がない


「殺すわよ」


心を読みやがる!


「あ、ごほん。駄目だ、四天王と言え贔屓はせぬ。そうだな、5人の中に選ばれたいのならば」


ならば!?


ここにいる全ての人間が息を呑む。そう、真の秋姉精鋭隊を名乗るならば!


「第1回、秋姉クーイズ!」


これに合格してみろ!


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