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第165話︰人の風呂事情 1

「風呂入った時、どっから洗う?」


「頭」


夕食後、部屋に戻ると何故か俺より先に部屋でくつろいでいた春菜が、そんな事を聞いてきた


「へー。ヤバいな」


「ヤバい?」


ヤバいのか?


「私は腕だな。頭が最後」


「ち、ちょっと待て、何がヤバかったのか教えてくれよ」


改善するからさ


「ん? 学校で真理が心理テストやってたんだけど、頭から洗う奴はナチュラルな変態だって」


「ナチュラルってお前……」


へこむわー


「夏紀姉ちゃんはどこだろ」


「頭じゃね?」


ナチュラルに


「ふーん。じゃあ秋姉はどこだと思う?」


「秋姉? 秋姉は……」


『秋姉ってどこから洗うの?』


『……お尻』


「ナチュラル!!」


マーベラっ!!


「うわっ!? な、なんだよいきなり」


「おっと失礼。あーコホン、気になるなら聞いてみたら良いじゃない」


良いじゃない!


「いや、別にそこまでは」


「家族の事だぜ? 知っておきたいじゃん?」


そこに邪念などないじゃん


「……この心理テスト、あってんな」


「なんか言ったか?」


「いや、じゃあ聞いてくる」


「いってらっしゃーい」


10分後


「左足だってよ」


「左足!! ……ふ、流石だな」


俺はごくりと唾を飲み込んだ


「神社の鳥居をくぐる時は左足から、それは常識だ。それは穢れを払うという意味がある。すなわち秋姉は、美しすぎる故に集まってしまう欲望や妬み等の穢れを鮮やかに払いたてまつり」


「夏紀姉ちゃんは」


「知らねぇよ! 神社とか俺、右足から入るし!」


なんなら両足で入るし!!


「秋姉は胸からだってよ」


「む、胸? 胸……だと」


お、俺はなんて事を聞いてしまったんだ


これはパナマ文書に匹敵する情報と言える。そのうち国家に狙われるんじゃ……


「あんま、ねーのにな。ははは」


「ゴラァ!?」


「ぬわぁ!? お、大きな声出さないでよ」


「貴様は今、禁忌を侵した! 富ある者が貧しき者を馬鹿にするなど、まさに鬼の所業なり!」


天に代わって鬼を成敗いたす!


「馬鹿になんかしてねーって! ほら汗がたまりづらいから楽そうだなって。汚れにくいだろ? だから後回しでもって」


「……まぁ、なんとなく言いたい事は分かるけど。本人には言うなよ」


燕と同盟を組んでいた事を俺は知っている


「分かってるよ。だけど心理テストってよく当たるんだな」


春菜は感心したように頷き、俺にニッコリ微笑んだ


「なんだよ?」


「他にも知りたいから、聞いてきてよ」


「はぁ? 誰に聞けってんだよ。母ちゃんぐらいにしか聞けないぞ」


つかセクハラになるんじゃないか?


「綾ぽんとか楓さんとか仲良いのいるじゃん」


「あ、あの2人に?」


明日の天気すら聞きにくい


「それは無」


「聞けばいいじゃない?」


無理だと断るのを、おどけた声に止められた


「色々知りたいじゃん?」


くそ、俺の真似か!


「分かったよ! その代わり秋姉に俺が聞けって言った事、秘密にしろよ?」


「分かってるって。じゃあ明日、発表会な。私も何人かに聞いてくるから」


そう言って春菜は、楽しそうに部屋を出ていった


「…………はぁ」


得た情報への重い対価になってしまったな


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