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いたずらハロウィン 後編

イタズラとは名ばかりの拷問は5分以上にも及んだ


4人の怪物達の飛び付きに始まり(受け止める為に腰負傷)もみくちゃにされた後、シャツを捲り上げられた


そして腹へのイタズラ書き。顔を真っ赤にしたコウモリの罵声つきだ


ツノ人間、もしかして悪魔かな? は冷徹な笑みを浮かべながら脇腹をくすぐる。これがまた、くすぐったい


堪らず逃げ、ベッドへ倒れ込んだ俺に狼はのし掛かる。そしてニヤリと笑い、頬にカプッと甘がみ


それを見てたフランケンシュタインは、美月ちゃん、キスは反則です! と訳の分からない事を言い、魔女はなにやらスマホを取り出した


「えーキスなんてしてないのに……。でもいっか、この辺で許してあげる」


「あ、ありがとうございます」


「じゃあ、はい」


美月は俺から降り、ベッドの上に転がった


「ん?」


ただでさえ短い上着を、腹どころか胸の側までまくり上げて美月は言う


「いたずらして?」


ポカスカ、ポカスカ


硬直した俺を、3人の怪物達が無言で叩く。なんて理不尽な暴力っ!


「い、いてぇって! しないから!」


「あ、当たり前でしょ!」


「うん。……信じているよ、お兄さん」


「だ、だよね。あははは」


「お前らな……」


軽くとはいえ、まさか雪葉や風子まで叩いてくるとは


「あれ? イタズラした子は、同じ事されるんじゃないの?」


「そんなルールはない!」


全員の思いが一致した瞬間だった


そんな中、1人参加せず震えていた魔法使いは


「あ、あの、も、もしもし? 警察の方ですか?」


「と、止めろ、あの暗黒召喚士を止めてくれー!!」


サツ沙汰はまずい、という事で全員が慌てて止める。まるで犯罪者のようだ


「で、でもこのままじゃ美月ちゃんがその人に、その人にイタズラされちゃう!」


「うん、望むところだよ?」


絶句する鳥里さんを、美月は不思議そうに見つめた。会話が噛み合ってなさすぎる!


「よ、よしー、顔にイタズラ書きをしてやるぜ!」


拳を握って俺を威嚇する花梨を制しながら、俺は机の引き出しから水性ペンを取り出す


鳥里さんに誤解されっぱなしなのはマズイ。適当にやって終わらせよう


「うわ顔かー。手加減してね」


美月は目をつぶり、顔を上げた


その小さな顔の両頬に3本ヒゲ。猫だか犬だか分からなくなってきたな


「あ、普通のイタズラ……」


「普通? 普通ってどういう意味なのかしら」


「分からないけど……美月ちゃんとお兄ちゃん、やっぱり仲良いなぁ」


「僕らもイタズラしてもらおうか? ふふ、冗談」


なにやら和やかに話しているが


「お前らもだぞ」


美月だけじゃ不公平だしな


「え!?」


「あ、あたしは別にイタズラされたくないんだけど」


「僕も遠慮しておくよ」


「そ、そうです。私、あなたに触れられたくないです!」


抗議を聞かずペンを構えて迫る俺を前に、4人は戸惑いながらドアがある方へ下がる


「じ、じゃあ、そろそろ別の所に行こうかしら」


そして花梨はノブに手をかけ、部屋から出ようとした。逃がさん!


「美月、手伝ってくれ!」


「わん!」


美月は素早く花梨の腰に抱き付き、身動きを封じた


「ち、ちょっと、美月!?」


「サンキュー、美月。さて……ふっふっふ」


「な、なによ!?」


「トリックオアトリート?」


「は? あ、お、お菓子、お菓子は……も、持ってない!」


「ならば」


「いたずら。だね!」


「や、やめ、きゃーっ!?」


ハロウィンだからと言って、羽目を外しすぎると自分の身に返ってくるぞ


そんな教訓じみた事を言いつつ、この話を終えるとしよう……



15:20 駅前交番


「で、貴様は少女達にイタズラしたと」


「だから誤解ですって! ちょっと落書きをしただけですから!!」


「子供達が襲われていると通報があったんだ! 今度こそ言い逃れは出来んぞ!!」


「その子供達を呼んでくれよ! 俺んちで風呂入ってるからー!!」


「き、貴様ー!!」


……ほらな




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