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雪のまっくら冒険記 6

2F階段側 洋室


「さて、姉ちゃんの部屋の前にやって来たわけだが」


寝てる時に入るとラリアット喰らわしてくるから、あんま入りたくない


「雪葉が見てくる。ここで待ってて、お兄ちゃん」


俺の躊躇を感じたのか雪葉は軽くノックをした後、ドアを開けて一人で部屋に入っていった


「気を付けろよー」


野生の熊も寝起きが一番ヤバいんだ


「…………」


待っている間も風は容赦なく吹き荒れ、ぎゃーぎゃーと鳴き喚いている


ぎゃーかあさん! ちょっとしぬってー!!


空耳か、まるで人語を話しているかのようだ


程なくして、雪葉が部屋から出てきた


「……お姉ちゃん、いないみたい」


心配なのだろう、雪葉の声は暗い


「姉ちゃんなら大丈夫だよ。どっかに避難してるって」


あれで意外と自分や身内の安全に気を使う人だ。よほどの自信か理由がないと、無茶はしない


「……うん」


や、やめてーつなわたりはやめてー


うるさい風だな、空気読めって!


「さ、母ちゃんの部屋に行こう」


「うん」


手を繋ぎ、壁を触りながら慎重に母ちゃんの部屋へと向かう


「この辺りに……あった」


手に触れた襖を開けて、俺は呼び掛けた


「母ちゃん?」


返事はない


「……あ、恭」


「入ってみるか」


雪葉が無言で俺の手をキュっと握る。これがドラマだったら、そろそろ事件が……って不謹慎すぎるか


「母ちゃん?」


もう一度声を掛け、すり足で部屋の中央まで行く


たが、いつもなら敷いてあるはずの布団は無く、人の気配もまた無かった


「……いないな」


この時間に母ちゃんがいないのは珍しい。それもこんな嵐の夜に


「……お母さん達、どうしちゃったんだろ」


「ん……あのね」


「もしかしたら、リビングにいるのかもしれないぞ。そっちも行ってみよう」


そして秋姉だ。もし秋姉までいなかったら、俺は外に飛び出して台風と戦う事になるだろう


「お兄ちゃん?」


「……よし、出発だ雪葉隊長!」


「隊長? ……うん! 行こう、お兄ちゃん隊員!」


不安を打ち消すように明るく言った俺の声に、雪葉は元気良く応えた


「さぁ手を繋ぐのだ、雪葉隊長!」


「はい、お兄ちゃん隊員!」


来たときよりも慎重に廊下を進み、更に更に気を使いながら階段を降りてゆく


風は依然として収まらず、窓を割ってやろうと意気込んでいた


「……凄い風だね」


「これは明日大変そうだな。あ、そういえば雨戸してなかった」


ヤバいかな。今から閉めてくるか?


「……全部閉めたよ」


「うん? …………」


階段を降りた所で、また空耳がした


先ほどの断末魔とは違い、セイレーンのように美しい声だったが……


「気のせいか」


だが俺は妙に安心していた。何の根拠もないが、きっと雨戸は大丈夫だろう


「よし、それじゃリビングに入ろう。誰かしらいるはずだ」


本当にいるのだろうか? いや、いる。いない訳がない


雪葉の手前、俺は不安を隠しながらリビングのドアを静かに開けた


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