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雪のまっくら冒険記 2

1F廊下


部屋を出たそこは暗闇と静寂に包まれていた


携帯の、か弱い光を頼りに俺達は洗面所を目指す


「ブレーカーが落ちただけかも知れないからな。暗いから気をつけて行こう」


「はい、お兄ちゃん」


さて、突然だが我が家の間取を大雑把に説明してみよう


先ずは玄関。入って真っ直ぐ、ホールの先に17畳の洋室がある。ここは俗に言うリビングだ


そこには入らず、左へ曲がる廊下を進むと、6畳の和室と洋室が左側にある。これが俺と秋姉の部屋


右側には納戸や2階へ上がる階段があり、廊下の一番奥に洗面所やトイレ、浴室などがある


階段を上がった2階は6畳の洋室が3っつ、8畳の和室が1つがあり、それらは夏紀姉ちゃんや母ちゃん、春菜に雪葉の部屋だ


この間取り、以前どっかで間違えたかも知れないが、気にしなくていい。そう気にしたら負けなのだ


「さて、洗面所に着いたが……」


洗面所の上隅にブレーカーはある。どうやら落ちている訳では無さそうだ


「電線がやられたのかな」


こうなると、どうしょうもない。みんなの様子を見たら部屋に戻ろう


「まずは秋姉の部屋に行こうか」


毎日部活が厳しいからか、秋姉は凄く早く寝る


よって、今頃ぐっすり寝ているかも知れないが、一応確認を――


「…………」


「雪葉?」


妹は固まっていた


「ど、どうした雪葉?」


「お、お兄ちゃん」


「な、なんだ?」


怯えた声を出されると、俺も怖くなってくる


「音……しない?」


「音?」


ぴちゃん、ぴちゃ……ぴちゃ


「…………み、水漏れじゃないか?」


風呂のパッキンが弱いんだわこれが


「き、きつく締めてくるかー」


「…………」


「い、いくぜ!」


一思いに一気に風呂のドアを開けて乗り込む!


「うわぁ!?」


「ぬぉい!?」


突然の声に驚き、手から携帯を落としてしまう


その時に電池でも外れたのか、ライトは切れてしまい、辺りは真っ暗になった


「お、お兄ちゃん!?」


「……兄貴?」


この声は……


「春菜?」


ばっくん、ばっくん心臓が騒がしい。後少しで死ぬところだった……


「春菜、だよな? なんでこんな所に」


「兄貴〜!」


「ぬわ!? なんだ、なんだ!」


濡れた何かが俺に抱き付いてきた!?


「暗いのやだぁ!」


「お前、止め! 冷っ離れろ!!」


「なら明かり点けてくれよ、もー!」


で、一分後


「落ち着いたか?」


「落ち着かねーよ、怖いよ!」


春菜は俺の腕を掴んだまま、離れない


「携帯も見付からないし……。とにかくまずは風呂場から出ようぜ」


濡れてるから転びそうだ


「わ、分かってるけど……」


本当怖がりだな、こいつ


「兄貴と雪が悪いんだぞ! あんな映画見てるから」


「お前も見てたのか?」


横で一緒に見れば良かったのに


「ちょっとしか見てねーけどさ……とにかく二人が悪い!」


そう言って手に力を込める。つか暗すぎて顔すら見えないから、これが本当に春菜なのかどうか……


「お姉ちゃん、そのままだと風邪引いちゃうよ。大丈夫、雪葉に任せて!」


春菜の恐怖が俺にも伝染してきた中、雪葉は明るい声でそう言った


「……分かった。雪に任せる」


春菜は俺から離れ、雪葉がいるであろう声の方へ向かう


「兄貴は後ろから私を守ってくれ。さっきみたいに胸掴んでも良いから」


「掴んでないだろ!?」


掴んでないよな!?


「あはは。お兄ちゃんは本当にお胸が好きですねー」


生きている人間が一番怖い。妹の感情がない声を聞き、俺はそんな言葉を思い出した



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