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花の姉弟 2

「ええと、あれとこれとー、あ、これとそれも」


ブッチャーマート。創業30年の地元に愛されるスーパーだ


「これもあれもこんなのも買って後これ……んんやっすーい!」


いつも大人っぽく振る舞ってる花梨にしては、珍しくはしゃいでいる


「そしてカゴは重くなる、と」


もうカゴ3っつ目っすよ奥さん


「こうなったら今日はお財布の紐を限界まで緩めるしかないわ。ないわ!」


うぬぅ、これはヤバいかもしれん。春菜でも呼ぶか


「大きい……。買うしか!」


「ねーちゃん!」


花梨がスイカを丸ごと1個持った時、元気な声が響いた


「すずな、なづな!?」


側に寄ってきたのは、なづなちゃんと帽子を被った男の子


声を掛けたのは男の子の方で、花梨に似たパッチリ切れ長の目を持つ可愛らしい顔の子だ。身長的になずなちゃんの兄貴だろう


「どうしたの、2人で」


「ねーちゃんを手伝いに来た!」


「うん。痴漢さん、こんにちは」


にぱーと笑うなずなちゃん。周囲の奥様方の視線が胸に刺さる


「よく此処がわかったわね」


「ねーちゃんの行動パターンはお見通しだぜ! なぁ、なずな」


「お菓子買いに来たの。そしたらお姉ちゃん達がいたから」


「あ、こら! 秘密の作戦をばらすな」


なるほど、たまたま遭遇した訳が


「それじゃあ手伝ってくれたらお菓子1個だけ買ってあげる」


「やったぜ! ほら痴漢、カゴくれよカゴ!」


うぉ、カゴを奪われる! そして何故こいつも痴漢呼びなんだ!?


「こら危ないでしょ! さ、佐藤お兄ちゃん、カゴ1つあげて」


「手伝ってくれんのは嬉しいが、結構重いぜ」


「そんな柔な鍛え方してないから大丈夫よ」


花梨が言うと説得力があるな


「じゃ頼む。気をつけて」


「任せろー! なずなは右だ!」


「うん」


おおーカゴの二人持ち。買い物慣れしてるぜ


「……よく考えたら買いすぎかも。よし、お菓子買って帰るわよ!」


「おー!」


会計は5892円。量の割には安かった


「あーいっぱい買っちゃった」


スーパーから出た俺達は、上機嫌の花梨の後を歩く


「2人が来てくれて助かった。サンキュー」


エコバックとスーパーの袋を持ってくれている2人に感謝


あと少し荷物が増えていたら、俺は道端で死んでいた


「痴漢さんのお手伝いも出来て嬉しいな」


「痴漢って力あるんだなー! 私もある方だけど負けたぜ」


「そりゃ年上だからな。お前も俺ぐらいになれば余裕で持てるよ」


俺は余裕じゃないが


「痴漢さんは凄いんだよー。逆上がりもぐるぐる回れるの」


「痴漢すげぇ! スーパー痴漢だ!」


「あっはははは」


ばつの悪そうな花梨に、今度いまだに続く痴漢呼ばわりについて説明してもらおう正座で


「はい、着いた。……お、お茶飲んでく?」


花梨のアパートはスーパーからだと10分程度


後200メートル離れていたら、俺は道端で死んでいた


「いや、荷物置いたら帰るよ」


乳もとい、香苗さんに挨拶したいけど、寝てたら悪いしな


「そう……。今日はありがとう、助かったわ」


「花梨の弟達に助けられた。ありがとな、なずなちゃんにすずな君」


礼を言うと、2人はにんまり笑顔を見せた後、競うようにアパートへと入って行った


「君?」


一方花梨は怪訝な顔を浮かべている


「……ああ、そっか。すずなは妹よ」


「…………は?」


「女の子。見たら分かるでしょ」


「ん、いや、確かに可愛い顔してるが」


正直なずなちゃんの方が女の子っぽい


「……ちょっと混乱してきたぞ。あーと、なづなちゃんが男の子、すずなちゃんが女の子、花梨が男ゴハァ!?」


腹部に大ダメージ!


「叩くわよ?」


「もう殴ってるだろ!?」


さらに追い打ちする気か!


「弟2人、妹1人、そしてあたしよ」


「な、なるほど」


4人姉弟か


「もう一人の名前はセリとかか?」


「……言っておくけど春の七草から取った訳じゃないからね。ママそういうの知らないから」


「そ、そうか」


ママさん草とか興味なさそうだしな


「菜瑞那に鈴渚。字画数で決めたらしいわ」


「そうか」


子供の名前だ、一生懸命考えたんだろう


「いい名前だ。もちろん花梨もな」


「あ、ありがと」


「ねーちゃん、早く菓子食いたいー」


玄関からひょっこり顔を出しておやつアピール。なんか俺も腹減ってきたぞ


「今行くー。それじゃ今日は本当にありがとう。今度お礼するから」


「いや礼は」


「し、したいからする! 悪い!?」


「わ、悪くないっす」


「よ、よし。待ってなさいよ、必ずお礼するからね」


お礼参りされそうな迫力だ


「楽しみに待ってるよ。さて、それじゃ玄関に荷物を置いてっと……」


ふぅ、やっと解放だ


「じゃーな花梨」


「う、うん! バイバイ佐藤お兄ちゃん!」


手を振る花梨に左手を上げて返し、いざ帰宅


はー疲れた





今日の姉弟


花>す>な>>?


徒然


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