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第162話︰花の姉弟

夏紀姉ちゃん復活の翌日。俺は商店街へ買い物に出ていた


商店街では、秋姉応援セールが始まっていて、普段の倍は客が来ている


「安いよ、安いよー。秋のサンマが安いよー」


「こちら秋スイカ! 今なら1500円、安い!!」


「秋せんべい、秋せんべいはいらんかねー。今なら町のマスコット、鬼斬り秋ちゃんの刻印付きだよー」


スポーツが弱いこの町では、全国で戦う人間が出るなど夢のまた夢の話。よって町を興して秋姉の応援(便乗商売)をしているのだが……


「何やってるんだ?」


八百屋の前で息を荒くしている顔見知りのチビッ子がいた。声を掛けるべきか、迷ってしまう


「に、ニンジン三本で25円!? こっちは大根が40円! ……う、うふ、きゅうり、うへへへ」


八百屋のおっちゃんが怯えている。よし、声を掛けてみるか


そーっと近付いて〜


「花梨」


「わ!? な、ナスよ! あ、ちがっ……何よ!!」


きゅうり両手に威嚇してくる花梨。エプロンが似合いそうだ


「買い物か?」


「見れば分かるでしょ、馬鹿じゃないの!」


今日も元気そうだな


「ご苦労さん。む? そのエコバックに入っているのは」


「え? ああ、さっき金物屋さんで買った秋包丁、鬼斬り丸」


取り出して見せてくれた木箱には、ユルキャラ秋ちゃんが擬人化した野菜鬼を切り捨てる絵が描かれていた


「いいな、これ」


よく切れそうだ


「いいでしょ〜、特別セール1999円。奮発したし10年は使うってアンタには関係ないでしょ!」


「あるような無いような……」


著作権が気になる所だ


「しかし一杯買ったな〜」


右肩にぶら下げたエコバックが、パンパンに膨らんでいる


「安い内に買って冷凍しておくの。これで1週間、もたせるから」


キラリンと効果音が出そうなぐらい、良い笑顔。主婦顔負けだ


「買い物、手伝おうか?」


ふらふらして危なっかしいし


「いらないわよ、もう終わるもの」


「じゃ家まで送るよ」


暇だし


「い、家まで?」


「ああ。荷物持ちに使ってくれや」


「別に重くないから……」


花梨は目をそらし、気まずそうに足をもじもじさせた。うーん、嫌がってる風でも無いんだが遠慮してるのか?


「花梨、カッパの時は俺を庇ってくれてありがとう」


花梨がいなかったら今ごろ刑務所だったかもしれん


「え? あ、……う、うん」


「だからその礼って事でどうだ?」


「…………」


こりゃ駄目そうだ


「強引だったな悪い。じゃ俺は行くよ、また何かあったら」


「あーもう、分かったわよ! はい、もって!!」


「あ、ああ」


エコバックを受け取り肩にかける。ずしりと重い


「こんなに重かったのか。無茶するなよ」


「べ、別に無茶じゃ……」


「他に何か用事はある?」


「ええと、ナスときゅうりと山芋買って、後はスーパーでおしんこの素とお蕎麦と洗剤。果物も欲しいし……あ、ティッシュも買わなきゃ」


「1人で買う気だったのか?」


「運べるわよ? バーゲンの時はいつもだもの」


「凄いな」


最近のちびっこは逞しいぜ


「今日はとことん付き合うからよ。好きに使ってくれ」


「……ありがと」


という訳で次の目的地はスーパーだ



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