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綾のお買い物 5

「ごちそうさまでした」


店に入って15分。俺の方が先に食べ終えた


「わぁ、早い。早漏ですね」


「綾さんは大丈夫ですか? ここちょっと量多いですし」


あえて無視


「もう食べ終わりますよ。これでも体育会系ですから」


最後の一口を食べ、ごちそうさまと箸を置く


「でも、お腹いっぱいです」


「あはは。それじゃ少し休んだら出ましょうか」


「その前にパウダールー厶へ行かせて頂きたいのですが……無いですよね」


「パウダールーム? そんなのあったかな」


小麦粉でも保存してるのか?


「うーん、ではトイレはありますか?」


「あっと、失礼しました。カウンター横の奥ですね、行ってらっしゃい」


「はい。では行ってきます」


「行ってらっしゃい」


気張ってきーや、なんてな


「……勘違いされてる気がします」


綾さんは、どことなく不満げな様子でトイレへと行った


「さて」


待ってる間に会計済ませとこう


「並2つで560円になりまーす」


「じゃ丁度で」


「あざっしたー」


よし、後は茶でも飲んでゆっくり待


「お待たせしました」


「早っ!?」


二分ぐらいか。さすが剣道家、敵に隙を見せぬ様トイレは常に最速で――


「違います」


「で、ですよねー」


それなら一体何をしに


首を傾げる俺へ、綾さんは目を細めながら


「前準備。まぁ殆ど何も出来ませんでしたけど、牛丼味と言うのも美味しいかもしれませんよ?」


と、自分の唇に人差し指を当て、いたずらっぽく笑った


「…………」


何を言ってるのか全然わからんが、なんかエロいから良しとしておこう


「それじゃ出ましょうか」


「はい。お会計は」


「あ、もう払いました。初牛丼記念って事で奢らせて下さい」


「……ありがとう、佐藤君」


「どういたしまして」


こんな事でも喜んでくれると嬉しくなるぜ


「ありあしたー!」


店の外は変わらず暑く、数秒で額に汗が滲んだ


「暑いなー。他に買い物あります? 何でも持ちますよ」


以前姉ちゃんに350Lの冷蔵庫を、店から家まで運ばされた経験がある


「いえ、予定はありません」


「そうですか、では帰るとしましょうか」


本も見たいだろうし


「食事後、すぐ解散ですか。さすがです佐藤君」


綾さんは感心したように頷き、俺に向けてサムズアップをした


「ど、どうかしました?」


「いえ、やっぱり佐藤君は可愛いなぁと。ふふ」


どことなく残念そうな、でも嬉しそうに笑っている


「綾さん?」


「いいえ、なんでも。それより佐藤君」


「はい」


「今日のデート楽しかったです、ありがとうございました」


後ろで手を組み、微笑む綾さん。つられて俺も微笑んで


「俺も楽しか……デート!?」


デートってデートか!?


「電話で言いませんでした? デートしませんかって」


「えええ!?」


あれはマジだったのか! まさか俺に惚れて


「冗談です」


「おぃい!」


今日1日だけでどんだけ惑わす気だこの女!


「そうなっても良いかなって、ちょっとだけ……。ごめんなさい、卑怯でしたね」


「はぁ」


謝られても何が何だか


「うーん暑いですねー。じゃ途中まで一緒に帰りましょうか」


「え、ええ」


「手でも繋いでみます? 今ならべとべとで体液混じり放題ですよ」


「嫌な言い方しないで下さい!」


「あはは」


「たく……」




今日の心拍数


綾>>俺>>>>秋


つみれ


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