春のカッパ騒動 13
「第1問の正解は○です、おめでとうございます! で、×を選びやがったクソ野郎共!! テメェらクソはとっとと帰ってケツにキュウリぶっ刺しながら家庭菜園でもやっとけやクソが!!」
第一問は千里が言う様に○だった。×を選んだ参加者は全体の3分の1ぐらいで、まだまだ勝負はこれからだと言える。それにしても
「あの司会者、恐ろしく口が悪いな」
テレビで放送出来るのか、あれ
「下品。ああいう大人にはなりたくないわ」
呆れた様にリサは言うが
「なぜ俺を見て言う」
「同類でしょ、ロリコン」
「そっすねー」
さっきの羞恥プレイで、もうどうでもよくなってきた
「ふん。ようやく認めた」
「認めてはいないからな」
それだけは譲れん
「それはともかくとして……。千里には助けられた、ありがとな」
危うく即退場になるところだった
「こんなの常識だし。恭君、カッパのこと知らなすぎ」
「す、すまん」
カッパはそこまで世間の常識になっていたのか……
「だからもう1問教えてあげる。分からなくなったら聞いて」
そう千里が言うと、隣で聞いていたリサは目を丸くした
「ち、ちょっと、なんでそんなに親切なわけ? この前、私が宿題忘れた時は答え教えてくれなかったのに」
「宿題は自分でやるものだし」
「そ、そうだけど、そうかもだけど……ぬぬぬ〜やっぱり納得いかない!」
頬を膨らませ、俺と千里を交互に睨むリサ。まずいな、また雰囲気が悪く……ん?
「どうした花梨」
さっきから妙にソワソワしている
「な、なにが? 別にどうもしないけど?」
そうは言うが、目が全力で泳いでいる
「うーん」
さっきは春菜を見ていた気がするんだが……
「な、なによ」
「いや、なんでも」
春菜と話がしたいのか?
「ちょっと変態! いつまで花梨を気持ち悪い目で見てるのよ!? ほら花梨、私の後ろに隠れなさい。と、特別に守ってあげるから」
「変態って……」
心が折れそうだ
「はぁ? 誰から守るのよ。馬鹿じゃないの?」
「なっ!? く〜〜! どいつもこいつも〜!!」
俺より先にリサの限界が来たようだ。泣きそうな顔で、歯を食いしばっている
「あー、その……へ、変態から友達を守ろうとするなんて中々やれる事じゃない。かっこいいぜリサ」
「うん、リサは友達想い。私の大切な友達」
恭君は大切な弟子。そう言った千里の目は、やっぱり慈愛に満ちていた
「ま、確かにリサは良い子だけどね。馬鹿だけど」
「か、花梨〜!」
「それでは第2問です!」
また喧嘩になるかと思ったが、その前にクイズが始まってくれた。グッジョブ司会者
「来たわね、2問目。当てるわよリサ」
「あ、当たり前でしょ花梨!」
「私も混ぜて」
「もちろんよ千里。全員で全問正解、いくぞー!」
おー
三人はパチーンと手を叩き合う。良いチームだな
「で、俺の相方は」
「ふぁあ……ねむ。ねぇ、先に帰っちゃ駄目?」
駄目だこりゃ
「お前なぁ」
これは少しお灸をすえないといかんな
「しっかりしろや! しっかりしないと暫くおやつ作ってやらねーからな!!」
「え!? ひでぇ! 悪魔! カッパ!!」
「やかましい! ほら問題をちゃんと聞いてろ!!」
「だけど」
「いいから黙って聞け!」
「……はい」
「よし。それじゃ問題は……」
「第2問。カッパと言えばキュウリですが、その由来はインドにある。○か×か」
微妙に難しい。だが
「これは×とみた。春菜はどう思う?」
「……どっちでもいいよ」
「え?」
「怖い兄貴なんか嫌いだ」
今度はこっちが拗ねやがった!
「わ、悪かったよ。怒鳴ってごめん」
「…………」
「なぁ頑張ろうぜ。頑張ったら好きなもの作ってやるから」
「なんでも?」
「ああ。だからさ、ほら」
差し出した俺の手を、春菜は少し照れた様に握る
「じゃあビーフストロガノスな」
「また厄介な食い物を……」
デミグラスソースを使うんだっけ?
「他は駄目だから」
「分かった、分かった。行くぞ」
花梨達はもう行ってしまった
「後、10秒で時間切れです」
「やべ、急ぐぞ」
「ああ!」
走って×へ行く俺達を、他の参加者達は暖かい目で見守ってくれた(八割は春菜の胸目当て)
「あー走りずれー」
「だからって裾をまくろうとするんじゃない」
まったく。花梨達の方がしっかりしてるぞ
「兄貴、母ちゃんみてー」
「うるせ」
よし、×に着いた
「お前らも×なんだな」
春菜の手を離し、先に来ていた花梨達に近寄る
「ええ、千里のカッパ知識は本物よ」
「えっへん」
「わ、私も分かってたけどね!」
「あたしはよく分からなかったけど。……ところで」
言いずらそうに俺と春菜を交互に見ている。なんだ?
「ええと……春菜さんって高校生?」
「春菜? 中3の15歳だけど?」
「15……あ、後5年」
なんだか酷くショックを受けているようだが
「どうした?」
「……春菜さん、昔のママによく似てる。すっごく綺麗で羨ましい」
香苗さんか。美人だよな、あの人
「つか花梨だって綺麗になるだろ。今だって十分可愛いし」
「だ、だからぁ〜、そういうこと言わないでよ馬鹿!」
馬鹿って……
「死ね変態!」
「生きろ変態」
「死ねは止めぃ」
出来れば変態も止めて欲しいが
「第2問の答えは×です! ヘイヘイヘーイ」
お、当たった
「それでは次の問題です!」