パッピークリスマス 4
更新がとんでもなく遅くなってしまって、申し訳ございません。諸々の事情で12月からは少し早くなると思います
「ま、ケダモノはほっといて」
「あ、あのなぁ」
「追いかけなくて良いの?」
俺を無視し、鈴花は新谷へ問いかけた。文句の1つでも言いたいところだが、確かに柚子の事は気になる
「柚子は分別をわきまえている子です。すぐに戻って来てくれますよ」
「良い子なのね」
「はい。ですがマスターには不快な思いをさせてしまいました、申し訳ございません」
そう言い、新谷は俺に向かって頭を下げた
「不快じゃねーよ。困らせた俺が悪い」
「柚子はマスターには甘えてしまいますからね。ご迷惑でなければ、これからも柚子と仲良くしてあげて下さい」
「ああ」
お前ともなと、爽やかに答えようとした時、部屋の外から悲鳴が聞こえた。次の瞬間、新谷が部屋を飛び出していく
「鈴花はここで待ってろ!」
反射的にそれだけを言い、俺も部屋を出た
部屋の外の廊下を走り、ホールへ。そして右奥の廊下に入る
新谷に迷いはないらしく、使用人室、ロッカー室、トイレ、更衣室、洗面所と横切った
一体、どこに向かってるんだと思い始めた頃、新谷の足が止まる
「どうした! 柚子はげげっ!?」
追い付いた先で見た悲劇。それは――
「そんなに怯えてどうしたのだ? さては祭りの雰囲気に惹かれ現れた妖怪にでも遭遇したな、ははは。だが心配する事はないぞ、童女よ。この俺がいる限り悪鬼羅刹魑魅魍魎、敵ではないからな!」
尻餅をついて震える童女と、その童女へ迫る、ふんどし姿の変態。悪夢のような光景だ
「…………おい」
「ん? や、これはマスター!」
ふんどしは機敏な動きで脆き、主君への忠誠心とハミケツを見せつける
「ってドアホ!!」
お見苦し過ぎて、柚子の怯えが尋常じゃないじゃないか!
「……赤田先輩でしたか。大丈夫かい、柚子」
ほっとしたような呼び掛けに、柚子の顔が緩む
「にいさま……」
そして震えながらも立ち上がり、赤田の顔を見つめた
「うん?」
「あ、あの、あの……。大きな声を出してしまってごめんなさい」
「ん? ……もしかして俺に驚いたのか?」
柚子は、こくこくと頷き、でももう大丈夫ですと微笑んだ
「そうだったのか。驚かせてすまなかったな」
赤田も柚子に謝って、これで一件落着か
「つか、なんで服を着てないんだよ?」
変態か?
「やや、これは失礼しました。ロッカーに預けていますので、すぐに着替えてきます」
そう言い、俺達を横切ってロッカールームへと向かって行く
「……風呂からロッカーまで随分離れてるんだな」
廊下は裸で移動しろってか
「赤田先輩がおっしゃっていたロッカーは、使用人用のロッカーです。普通の方は浴室にある服置き場を利用するのですが……。さすが赤田先輩ですね」
本気で感心しているようだ
「……まぁ、ああいう変態も世の中には1人ぐらい必要なのかもな」
警察のノルマ的に
「それよりも柚子」
「……はい」
「さっきは本当にごめん」
「う、ううん、恭にぃは悪くないよ、ちょっとびっくりしただけ……。ごめんなさい、恭にぃ」
まだほんのり赤い顔で、柚子はペコリと頭を下げる。せっかくのクリスマスなのに、テンション下げさせちゃったな
「今日は柚子がケーキを選んてくれたんだって? 楽しみだ」
「うん。いっぱい食べてね」
「ああ」
「ほんとだよ? いっぱい沢山だよ?」
「あ、ああ」
どんだけ出てくるんだろう