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春のカッパ騒動 6

ミーンミンミンミン


「では第1問」


蝉が鳴く中、突然始まった神主クイズ。第1問と言っているあたり、何問もあるのかと不安になってくる


「日本で1番参拝客が多い神社は」


「う〜ん、伊勢神社ですか?」


「知らん。しかしそれより、何故うちは参拝客が少ないのだろう」


「知りませんよ」


真顔で聞かれても返答に困るわ


「場所が悪いからじゃねーの。この辺何もねーし」


「そうか……。どうすれば大勢の人が訪れてくれるようになるのう?」


「人生相談かよ」


クイズはどうした


「パワースポットでも作れば? なんか友達がハマってるらしいぜ」


今日はマジで鋭いなこいつ。カッパパウダーのおかげか?


「それは良いかもしれませんね。神社ですし、何らかのご利益あるんでしょう? それを宣伝してみたらどうですか」


俺達の言葉に神主は腕を組んで悩み、


「パワースポットか……」


むむむと唸る


「この池なんかどうです? 亀を見つけると縁起良いとか」


「亀なんぞおらん。おるのは鯉と蛙ぐらいだ」


「そうですか。それじゃ他には……」


思い付かん


「週1のイベントとかは? おっちゃんが踊りながら紙芝居やるとか」


ますます人が寄り付かなくなる気がする


「なるほどのぉ。ダンスはヤングマンには流行っておるからな」


「西城 〇樹か」


ってこんなツッコミしてないで、春菜の言葉を律儀にメモっている神主を止めた方が良いだろうか


「実はうちの孫がダンススクールに通っておってな、その子に前で踊ってもらいながら、わしが紙芝居を読む。……斬新だのう」


「あ、いや、そんな斬新すぎる事をしなくても、きっとそのうち自然と人が集まって来ますよ」


「来ねーと思うぞ。こんなとこ用事が無いと来る気しねーし」


この正直者め!


「こら春菜。神主さんに失礼だろ」


そういうのは、心ん中で言わないと


「だってよー」


「春菜」


「う……ごめん、おっちゃん。たまには来るから」


「ほほほ、ありがとう」


バツが悪そうな春菜へ、神主は温かい眼差しを送る。仕方ない、俺もたまには来てやるか


「今日はまことに良いアドバイスを聞いた、これを正解としよう。ではカッパの居場所を教えようか」


「あれ? まだ1問目では?」


「こんなのは適当で良いのだよ。カッパは空にはいない、その前にいる」


「…………え?」


それで終わり?


「最後はドをスに変えるのだ」


「はぁ」


意味が分からん。春菜はどうだろうと横目で見てみると、腕を組んで悩んでいた


「空の前か……」


「ふーんふーん、ふんふんふーん」


悩む俺達を見ながら、神主は鼻歌をし始めた。音程が悪すぎて、何の曲だかサッパリだ


「……ドーナツやレモンが食べたいのう」


「買って来ましょうか? その代わりヒントを下さいね」


セコいって? それが大人ってもんだ!


「鈍いのう」


「え? …………あ!」


分かっ


「分かった、ファミレスだ! ソラの前、ファミレド」


「その通り! 先ほどの助言といい、ただ者ではないのう」


「まーな。へへ」


ちくしょう、俺も分かってたのに!


「しかし……カッパがファミレスに?」


その状況が想像出来ん


「行ってみれば分かんだろ。じゃまたな、おっちゃん」


「あ、どうも色々とありがとうございました」


「うむ。お前達にカッパと亀の加護があらんことを」


神主に見送られながら俺達は神社を後にする


次に目指すはファミリーレストラン。この近辺に2件あるのは知っているが、川の上流と下流、真逆の場所にあるため、両方行っていたら相当な時間をロスしてしまう


「ダーミアンとロイヤルホステス。果たしてどちらか……」


「私はダーミアンの方が好きかな。奢ってくれるの?」


「奢るか!」


何しに来てると思ってんだこいつは


「だけど今日のお前は鋭いからな。ダーミアンの方に行ってみるか」


若干近いし


「私、ケーキとカツ丼が食べたいぞ」


「……奢らないって。てか、もう少し食い合わせを考えろよ」


何でもありか




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