ショート家族
【福引き】
「佐藤君」
「あ、こんにちは綾さん」
「はい、こんにちは。……んー、もしかして何かいいことありました? 笑顔が素敵です」
「分かります? 実は福引きが当たりまして」
「それは凄いですね! 何が当たったんですか?」
「3等で新潟おむすびセット、お米とおしんこ。直通発送で来ます」
「いいのが当たりましたねー。新潟小娘セッ◯ス、お◯こにおち◯こ膣内射精出来ます。出演者は誰です?」
「AVじゃねぇよ」
【コイ】
「兄貴、コイってどんなだ?」
「え!? こ、恋だと? そうか、お前もついに……」
「兄貴?」
「よし教えてやる。恋ってのは、そうだな……ふわふわ柔らかくまろやかで、時に甘く時に苦い。それは線が一本無くなっただけで幸せから辛さに変わる危ういものかも知れない。でもきちんと相手と向き合い、節度を持って付き合えば、自分や相手を成長させる素晴らしいものだ」
「ん〜。よく分かんねーな」
「まあ、俺もよく分からんけどな。とりあえず良い恋しろって事だ。応援してるぜ」
「そっか。じゃ釣ってくる」
「なんの話!?」
【犬派】
「今日のデートはペットショップに行ってみないか?」
「うむ、お任せする。ときに君は犬と猫ではどちらが好きか?」
「犬だな。子犬にじゃれられたりすると、可愛くてたまらなくなるよ」
「むう…………わ、わん」
「そんなことしなくても、燕はいつだって可愛いぞ」
「な!? な、なな、なにを〜~っ、わ、わんわん!!」
「に、逃げるな逃げるな! 待て〜」
【猫派】
「佐藤君は犬派ですか?」
「ええ、よく分かりましたね」
「そんな気がしました。私は猫派なのですが、雌犬も悪くありませんね……。今度、首輪を持って来てくれます?」
「持ってねぇよ」
【復活祭】
「あ……」
「よ、柚子。デパートで買い物か?」
「うん。今日は我の創造主、女神レアーが血と肉を得た日だから」
「お母さんの誕生日なのか、おめでとう。プレゼントを買いに?」
「ううん、プレゼントはもう用意してあるの。今日買ったのは、ええと……時を刻む蝋柱。赤い果実をその身に宿し、冥界の箱により封印された呪われし白き巨城」
「ロウソクと大きなケーキを買ったのか。やっぱり誕生日にはイチゴケーキだよな」
「……うん。それじゃ我は不可視の暗黒が世界を包む前に、約束の地へ帰る」
「そうか、気をつけてな。良かったら途中まで送ろうか?」
「…………」
「どした?」
「恭にぃ、きらい」
【手遅れ】
「なづなちゃんはいつも可愛い格好してるな」
「はい! 全部お姉ちゃんのおさがりなんです!」
「確かに花梨はオシャレだよな。うぉっと、強い風が……な、なづなちゃん? その下着は」
「はい! お姉ちゃんのおさがりです!!」
「…………」
【姉】
「真に優れた姉はどちらか。勝負よアキ!」
「……どんな勝負?」
「そうねぇ。勉強やスポーツじゃ平等じゃないし、家族投票はアタシが負ける。やっぱり普段の生活でやってる事が良いかしらね」
「普段……料理対決」
「え!? そ、それは……」
「お互いの料理を食べあって勝負」
「すみません、負けました。二度と逆らいません」
【無個性】
「個性が無いって言うのも一つの武器だと思うのよね」
「そうですね。個性が無いからこそ、どこにでも自然に溶け込む事が出来る。やはり時代は無個性ですよ」
「例えばほら、こうして喋っていても私が誰だか分からないでしょう? きっと1000人中、5、6人しか当てられないわよ。と言うか私の名前覚えている人っているの? あはははは」
「俺の個性なんて、『目が死んでいる』だけてすよ? てかそれ個性じゃねぇから! あはははは」
「…………」
「…………」
「……ねぇ、私たち付き合おっか」
「フラグは個性じゃないですよ、先輩」
【個性】
「うぉー腹が減った、メシよこせー!!」
「酒だ酒だ、酒持ってこーい!!」
「星の煌めきは外なる神の声なのです。故に僕は毎夜空を見上げ、その声に語りかけます。イアイアハスター」
「この手に残ったものは、たった一振りの剣。輝き鈍く、妖精の声も遠く遙か。だけれど感じるんだ、まだ星と繋がっている事を。さぁ行こうエクスカリパー。光の門を開き、世界と家族を守る為に」
「……これが個性なら、俺はいらない」
「みんな変態なの」
「身内が3人、入ってますぜ」