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俺のアルバイト 4

・ポーピ君


ポーピシリーズの基本となる素体。能力は平均的だが、正義を愛する熱い心は誰にも負けない



・ポーピ君レッド


正義と賄賂を愛するみんなのリーダー。金に弱いが、悪には強い。金の切れ目が縁の切れ目だ悪党ども!


特出した部分は無いが、能力はポーピ君より全てが上。必殺のレッドエルボーは岩をも割る威力



・ポーピ君ピンクちゃん


口が悪い女の子。元暴走族のツンデレちゃん。家族との仲が悪く、グレていた


ある日一人で港を走っていた時、マフィアの麻薬密売を目撃しまう。危うく拐われそうになるが、たまたま賄賂を受け取りに来たポーピ君レッドによって救われ、更生。ポーピ君の仲間となった


とても耳が良く、集中すれば五キロ先の針が落ちる音ですら聞こえる



・ポーピ君グリーン


へたれ。戦闘力はポーピシリーズ随一だが、敵を見かけたら逃げてしまう


弱いのに勇敢なポーピ君に憧れている



・ポーピ君ブラック


敵か味方か、謎のポーピ君。レッド君のライバル


悪の組織、桜蛇門との最終決戦後、正義とは何か答えを求め旅立った



俺と園児達の死闘は15分に渡って続いていた


孤軍の俺に対し、向こうは10人からなる小隊を四隊も所持している。それらは香先生と呼ばれる指導者の下、戦闘、休息、補給を順番で効率よく行い、こちらには僅かな休息すら与えようとしなかった


隊にはそれぞれ特徴となる戦略があり、A隊は追尾、Bは分散と囲み、Cは待ち伏せ、Dはアクアレーザー(水ホース)や爆裂弾(土団子)等の兵器を多様する


「左を固めてー」


「そっちに行った! そっちそっち!」


現在、俺を追う隊はAとC。特徴を見るとこの二隊は非常に相性が良いように思えたが、実際は相手の持ち味を生かそうとせず、武功に焦る未熟な部隊だった


「いちご組じゃま! そんな所に隠れないでよー」


「そっちが邪魔! ポーピー君はあたし達がつかまえるのっ!」


園児達は揉め始め、わずかにあった規律すらも消えた。組織として崩壊したと言っても良いだろう


「……ふ」


まだ若い


とまぁ適当に分析してみたが、とにかく暑い。吐き気や目眩もしてきて、頭がうまく回らない


てか、今って何時だっけ? 12時ぐらい? 1+2は3だから、それなら今は3時だねアハハのハ


「だ、大丈夫ですか恭介さん」


レッド君達の前を走り抜けると、二人は俺に駆け寄りそのまま並走した。ところで恭介って誰ですか? 俺はポーピ君だよアハハハハハ


「恭介……。私、代わる」


「待ってください、私が交代……恭介さん?」


「あはは、はは…………もういい」


もう暑さなんかどうでもいい。親父の年収ぐらいどうでもいい


そんなことより、そろそろ園児達が交代する時間だ。最後のひと踏ん張りを見せてやる!


「あ、あはははは! そのように仲間内で揉めていては、一生俺を捕まえる事は出来んぞ!!」


突如、高笑いする俺を園児達や先生方は何事かと息をのみ、注目した。今だ!


「俺を捕まえたければ全員で掛かって来いやー」


この俺の発言に、他のポーピ君達も動いた


「そ、その通りです皆さん。皆さんが力を合わせなければ、あのポーピ君を捕らえる事は出来ません!」


《ボクたちもきょうりょくするから、みんなでがんばろう?》


二人の言葉に園児達は顔を見合わせ、戸惑う素振りを見せる。しかし最後には頷き、雄叫びを上げた


「みんなで捕まえよー」


「おー!!」


園児達の気合いは十分。どうやら上手くいったようだ


「ま、簡単には捕まらないけどな!」


最後の力を振り絞ってダッシュ!


「いちご組はこのままポーピ君を追って下さい。りんご組はポーピ君の逃げ道を限定させる為、私が指定する数ヵ所の場所に分かれて待っていて下さい。すいか組は私が合図したらポーピ君へ正面から向かいます。その際3方向に分散し、囲むように近付いて。みかん組は接点、ポーピ君が追い込まれるであろう砂場前でホースを構えて待機していて下さい」


「的確な指示!?」


園児達に伝わるのか疑問に思ったが、彼らは指示通りに素早くバラけ、それぞれが準備をし始めた


「くっ、こしゃくな」


だが俺は世界の平和の為にも、捕まる訳にはいかないんだ!(錯乱中)


「そっち行った!」


「追えー」


さっきまでとは段違いの統率と迫力。それでも何とか逃げているが、園児達に紛れて追って来ているピンク色のが早くて逃げ切れない


《観念しな、ポーピ君。君は既に包囲されているぞ》


「ええい、しゃらくさい!」


姉ちゃん直伝の逃げ技を見せてやる!


「1887年に生まれたシュレディンガーの猫で有名なオーストリアの理論物理学者のフルネームは!?」


「……ん」


《エルヴィーン・ルードルフ・アレクサンダー・シュレーディンガー》


は、早い! てか合ってるのか!?


「あ、あ〜猫! 猫が寝転んでいる猫バスの猫耳を猫舌で舐めてから猫なで声で寝心地はどうですか私にも寝転ばせて下さいとネゴシエーションしてみたら猫バスは寝言で寝込みたいなら持っている猫柳と猫目石と猫じゃらしを根こそぎ出しなさいと言いました猫は猫背で言われた通り値ごろの品を出したところ猫バスは猫ババして猫まっしくらな勢いで逃げていきました! さて猫は何匹出てきたでしょう」


「……一匹?」


「あたり! では漢字で猫は何回出てきてる?」


「…………」


真面目な性格なのだろうポーピンは、何でこんな事をと首を傾げながらホワイトボードに先ほどの文を書き始めた。よく覚えてるなと感心してしまうが……


「こらポーピ君ガールちゃん! 走りながら文章を書いてはいけないよ、止まって書きなさい」


自分でやらせておきながらの注意。ポーピンは走るのを止めて、


《ごめんなさい、まちがったことをしてしまいました。みんなはボクのまねしちゃダメだよ?》


と反省。こっちこそごめん


「だがこれで厄介な敵は消えた」


後は疲れてきている園児達と、水のみ場前で不敵に佇むレッド君のみ。不気味ではあるが、近付かなければ何も出来まい


俺はレッド君の逆、園児達もいない滑り台の方へ走る


「今です! りんご組1班!!」


「うわ!?」


滑り台や木の陰から園児達が飛び出してきた


「ならば左に」


「すいか組、向かって下さい!」


「なに!?」


いつ配備されていたのか、門の近くにいたすいか組が三首龍のように俺へ襲いかかってくる


「こ、これは……」


逃げ道が無い?


「ポーピ君が止まった! いけー」


「わー!!」


立ち止まっている間にも、包囲は完成しつつあった。後は何故か僅かに空いている右後方、レッド君が居る方向への道しかない


「……罠だ」


分かりきっている。だが進むしかない


園児達をかわして建物前に行くが、その建物からも園児達が現れ、いよいよ俺は追い詰められてゆく


「まてー」


「組織の犬野郎を捕まえろー」


そして遂には、レッド君の前へと押し出されてしまった


「……もはやこれまで、好きにせい」


体力の方も限界っす


「みかん組、お願いします」


ハーイとみかん組の園児達がホースを持ってやって来て、先っぽを俺に向ける。ふ、射殺と言う訳か


「レーザー発射です」


レッド君が蛇口を捻ると、ホースからは水がチョロチョロと流れた。それをキャッキャ喜ぶ園児達。よく分からんが、倒れた方が良いのか?


「ぐ、ぐわわ~。やられた~」


「ふっふっふ、参ったようですね。では最後に必殺技を」


そう言ってレッド君は園児達からホースを受け取り、誰もいない場所へホースを向けた。そして先を摘まみ、上空へ水をまく


わぁー


きれーい


空に七色の小さな橋が架かり、園児達は大喜び。暑い中、最高の必殺技だ


「負けたか……ん? あ、あれ、なんか急に…………あ」


目の前が真っ暗になり、俺の意識はそこで途切れた




今日の熱中症


父>俺>>>>>>>春


つづ<


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