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第32話:風のこんにちは

ゴールデンウイークが開け今日からまた学校が始まる


ベットから起き上がり、時計を見ると朝七時。窓のカーテンを開けると外は快晴


だけど俺の心はドンヨリしていて晴れない


「…………はぁ」


ため息一つ漏らし、ベットに座り込む


「……雪葉に何て言おう」


昨日からずっと悩んでいたが、結局答えは見付からなかった



部屋を出て居間へ行くと、秋姉がキッチンのテーブルで朝飯を食べていた


「おはよう、秋姉」


「……うん。おはよう」


秋姉の横に座ってバナナを食べる


「…………」


「…………大丈夫?」


「え?」


「元気…………ない」


秋姉は心配そうな顔で俺を見つめる


「秋姉……。大丈夫!」


雪葉の兄である俺が、いつまでも暗い顔してたらあきまへんな!!


「よし!」


雪葉に話そう!!


「秋姉、雪葉はまだ寝てるのかな?」


「…………飼育委員」


「飼育委員?」


雪葉は放送委員だったような……


「……手伝いに」


「あ、なるほど」


雪葉はいい子やな〜って


「昨日の内に言えばよかったな」


不思議そうな顔をする秋姉に軽いフォローをして、俺は早めに家を出た



んで学校。久しぶりって程でもない友達と適当な話をして授業をこなす


その間も雪葉と風子の事ばかり考えていた


今頃、風子は遠い旅の空だろうか


そして突然の別れに雪葉は泣いているだろうか?


だけど同じ空を見ている限り、いつでもまた風に会える


だから友の旅立ちを笑って見送ってあげようぜ? 


な、雪葉


「……放課後ケーキでも買って帰るか」


ハードボイルドな雰囲気を纏いつつ駅前へ。んでもって高いケーキを財布が空になるまで買い、家へと帰る


「ただいまんぼう。雪葉帰ってる?」


「お帰りんごすた〜。いるわよ〜」


玄関で掃除機をかけていた母ちゃんに声を掛け、二階へ上がる


今頃、雪葉は枕を涙に濡らし……


「あははははは!」


あれ笑ってる!?


「ゆ、雪葉〜兄ちゃんですよ〜」


控えめにノック


「あ、お兄ちゃん! 今出るね〜」


ガチャリと開いたドアから出て来たのは、満面笑顔の雪葉


「なーに、お兄ちゃん?」


「え、えっと……あ、ケーキどうですか?」


「わぁー! 駅前のケーキ屋さん。ありがと、お兄ちゃん!」


雪葉の笑顔を見て俺は確信心する。雪葉は……


「わ、わざと明るく……」


「うん?」


いいさ、兄ちゃんには分かる。その笑顔の奥にある愛と哀しみが


「ふ、気付かない内に随分でかくなりおって」


小首を傾げる雪葉の頭を軽く撫でてやる


「ん〜? ……えへ」


「さ、ケーキ食おう。いつもの紅茶で良いのか?」


「うん! あ、風子ちゃんは何飲みたい?」


「そうそう、風子は何飲み………………へ?」


慌てつつ雪葉の部屋を覗くと、円卓の前でちょこんと座っている風子


「こ、こんにちは、お兄さん」


「こ、こんにち……は?」


き、今日引越すんじゃ?


「? どうしたの、お兄ちゃん」


「え? あ、いや……」


目を白黒させていると、風子がポソリと呟く


「ち、中止になったんだ、…………引越し」


視線を下に逸らし、モジモジする風子


「……そ、そうか」


「う、うん」


なんかもう、すんげー気まずい


「お兄ちゃん? 風子ちゃん?」


「…………でもめっちゃ嬉しいぜ! これからも宜しくな、風子!!」


「……ふふ。宜しくね、お兄さん」


キョトンとする、雪葉に後で理由を教えてやろうと思いつつ、俺はこの早過ぎる再会を目一杯喜んだ






今日の笑顔


風≧俺>>雪>>>>>父


続くっ!

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