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第3話:春のラブレター

親父が失踪して一週間。俺達は夜も眠れない毎日を過ごしていた……


「この! この!」


「なんの! 波動拳!!」


テレビに映る【KO】の文字


俺の操作しているカラテマンが、春菜の操作しているチャイナネーチャンに勝利したのだ


「くっそ〜! もう一回!」


「もう1時だぜ? 明日も学校だし、そろそろ止めようよ」


「勝ち逃げは駄目だぁ〜」


春菜は駄々をこねる


「そうだなぁ、後一回ぐらいなら良いけど……」


「ほんと!?」


「一つ条件がある。俺が勝ったら……」




「おはよう母ちゃん」


自分の部屋で制服に着替えた俺は、眠い目を擦りながらキッチンにいる母ちゃんに声をかけた


「あら、おはよう。朝ご飯食べる?」


「うん」


朝ご飯はパンとみそ汁にスクランブルエッグ


他はどうだか知らないが、家では普通のメニューだ


その朝ご飯をちょっと急いで食べていると、バタバタと廊下が騒がしくなる


「おはよう!」


そして入って来たのは春菜だ。急いで着替えたのだろう、制服のリボンが曲がっている


「おはよう春菜」


母ちゃんが春菜のリボンを直した


「よう、春菜」


「おう、兄……お、お兄ちゃん」


昨夜の条件、それは


「ほ、本日はお日がらも良く……」


今日一日、可愛い妹でいる事だ!!


「ぷぷっ!」


「くっ! お、お兄ちゃんそ、そろそろ学校へ行かないと遅れちゃうよ?」


春菜にとって可愛い妹のイメージとは、雪葉らしい

言動が微妙に似ている


「お、そうだな。途中まで一緒に行くか?」


「誰が!」


「あれぇ、さっきまで居た俺の可愛い妹は何処に〜」


「〜〜っ! お、お兄ちゃん! と、途中まで一緒にいこ!」


「ああ、行こうぜ〜」


途中までからかってやろ〜っと


「じゃ、行って来まーす。ほら春菜」


「ま、待ってよ、お兄ちゃん! 行って来ます、お母さん」


「行ってらっしゃい。

ふふ。相変わらず仲の良い兄妹ね〜」



学校までの道。俺の高校迄は歩いて20分


その途中に春菜の中学校がある


「今日は良い天気だな、春菜。手でも繋ぐか?」


「はぁ!? 嫌だよ、んな事!」


「あれぇ? 俺の可愛い妹ちゃんは?」


「ぐ、ぐぬぬぬ!」


春菜は歯を食いしばり、怒りに震える手で俺と手を繋ぐ


「よかよか。……痛っ!? いてぇよ!」


「お兄ちゃん、ごめ〜ん。嬉しくて思わず力がぁ!」


ギリギリと握って来やがった!?


「な、な〜に。い、妹のスキンシップぐらいなんて事ないっさ!」


俺も強く握り返す


「ヌグググ!?!」


「オガガガガ!!」


暫し春菜と戦っていると、後ろから声を掛けられる


「お〜い、春菜〜」


「あん? ああ、直也か」


春菜の同級生か、振り返ると爽やかな少年が走って向かって来る所だった


「お、おはよう。……この人は?」


「あ? 私の兄………お、お兄ちゃんです!」


そう言って春菜は俺の腕を組む


「い、いや、もう良いって」


春菜の耳にヒソヒソと話す


「うるさい! 私は約束を破らないんだよ」


「あ、あの、初めまして。俺、春菜の……さ、佐藤さんの同級生で、山上直也と言います!」


直也君は俺に頭を下げた


「初めまして。春菜の兄です」


良さそうな子だ


「ほらぁ、いつまでもこんな奴と挨拶してないで、早く行こ、お兄ちゃん」


「と、分かった、分かった直也君も一緒に……」


「じゃー教室でな、直也!」


「お、おう………」


春菜に引っ張られ、呆然としている直也君を置いて俺達は歩き出した


「良いのか、春菜?」


「んな情けない所、いつまでも見せられるかよ!」


春菜は顔を真っ赤にしている


「おっ、もしかして奴に気があるとか?」


「はぁ? 何馬鹿言ってんだよ。あいつとは同じクラスだから嫌なんだよ、あいつ性格悪いし!」


「性格悪そうには見えないけどな」


意外と腹黒いのか? よくある話だ


「あいつこの前、人の机ん中に溶けた飴とハンカチを入れて来たんだよ! これが俺の気持ちだとか手紙に書いてさ!

私はその溶けて教科書についた飴を、泣きながらハンカチで拭いたんだよ!? その間、あいつはチラ見でニヤニヤ高笑いさ! ちくしょ〜」


春菜は悔しそうに叫ぶ


この間? それはもしかして3月の……


「ほら、早く行くぞ、お兄ちゃん!」




今日の勝者


母>俺>春>>>>直≧父



つづく。だろう

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