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第147話:春の女らしさ

「ただいま……」


携帯を見ると、時間は5時40分になっていた


直也君に助けられた後、電話で召喚した母ちゃんと共に犬を退治し、それから母ちゃんの買い物に付き合わされたので、このぐらいにはなると思っていたが……とにかく疲れた


「母ちゃん、ありがとう。本当に助かったよ」


胸元を開けたレザースーツに身を包み、赤いバイク、ドゥカティ・モンスター696に乗って現れた時には、一体どこの不二子ちゃんだよとも思ったが、もし母ちゃんが電話で署長を説得してくれなかったら、今頃どうなっていた事か


「どういたしまして〜。じゃ母さん、夕ご飯の準備するわね〜」


「うん」


母ちゃんはリビングへ向かって行き、俺は顔を洗う為に洗面所へ向かう


洗面所の鏡に写った俺は、疲れた顔をしていた。てか、あれはもう訴訟して良いレベルなんじゃないだろうか? まぁ直也君は笑っていたから良いけどさ


「お、お兄ちゃん!」


タオルで顔を拭いていると、リビングに居たらしい雪葉がドアから慌てた様子でやって来た。雪葉は俺の側に寄り、大丈夫だったかと尋ねる


「ああ、大丈夫。心配掛けたな」


「よ、良かったぁ」


「花梨達は?」


「さっき帰ったよ。みんなお兄ちゃんの事、心配してたよ」


「そっか」


雪葉の頭を、なでりなでり。雪葉は目を細めた後、も〜、と可愛く拗ねた


「さて、麦茶でも飲むかな」


「入れてくるね」


「いや……と」


自分で入れるよと言う前に、雪葉は素早くリビングへ行ってしまう


「……ほんと世話好きだな」


軽く苦笑いし、雪葉の後を追ってリビングへ。リビングのソファーでは、若草色のシャツを着た春菜が、バナナ片手に座っていた


「おかえり兄貴」


「ああ、ただいま」


俺もソファーに座り、春菜の顔をマジマジと見つめる


「なんだ?」


「お前って、いつも何か食ってるよな」


「そうか?」


「太らないのが不思議だわ」


感心半分、皮肉半分で言ってみる


「全部胸にいってんじゃねーの。あはは」


「おっさんかお前」


まぁ、毎日運動してるからなコイツは


「つかさ、困ってんだ。走るのに邪魔だし、直ぐサイズ合わなくなるし」


「へ〜」


男の俺には、良く分からん悩みだ


「あ〜あ、マジで胸いらねー。兄貴とか秋姉は良いよな、楽そうで」


「……お前、間違っても秋姉の前でそんな事言うなよ?」


ちょっと気にしてるっぽいんだから


「分かってるって」


そう言い、春菜はシャツの上から自分の乳を揉み上げる。確かにあんなもんがついていたら、邪魔かもしれん


「全然筋肉つかねーよ。結構筋トレやってんだけど」


「女らしくて良いんじゃ無いのか?」


それがないと男に間違えられるぞ、とは言わない空気を読む兄


「私、女らしいか? 秋姉の方がよっぽど女らしいと思うぞ」


「秋姉は女神だ」


女らしいとかそう言うレベルじゃない


「じゃ夏姉は?」


「あれは獣だ」


女らしいとかそう言うレベルじゃない


「ふぅん。よく分かんねーの」


「ま、お前は女らしくて可愛いって事で良いんじゃないか?」


女らしいって所は自分で言ってて、首を傾げてしまうが


「可愛い? へへ、兄貴に褒められんのって、久しぶりだ」


「そうか?」


「そうだぜ〜。なんか嬉しいよ」


「そんなもんかね」


俺はいつも思ってるけどな、お前達は可愛くて自慢の妹だってよ。言わないけどさ


「お待たせ、お兄ちゃん」


春菜と話していると、キッチンから雪葉がコップを2つトレイに乗せてやって来た


「はい、お姉ちゃん。牛乳」


「サンキュー、雪。やっぱバナナには牛乳だよな」


「はい、麦茶」


「ありがとな。いただくよ」


氷の入った麦茶は、冷たくて美味い


「ふぅ。……夏だな」


今度新しい風鈴でも買ってみようかな


「それじゃ雪葉は部屋に戻るね」


「ああ」


雪葉はトレイを片付けて、リビングを出て行く


「そういや今日、雪の友達来たぜ? 直ぐ帰っちゃったけどな」


「結構忙しいみたいだぜ。俺らのガキの頃とは違うよ」


俺達なんか、1日中遊んでたもんな


「ピアノがどうたら言ってたな。私も弾けるけど、ピアノってあんま面白くねーよな」


「え? お前、弾けんの?」


知らなかった……


「ん? 弾けるよ。一度聞いたもんなら適当に」


「ま、マジで?」


なに者なんだコイツは。人並み外れた運動神経だけじゃなく、絶対音感まであるとか……


「どんだけ神に愛されてんだよお前は」


羨ましいな、こんちくしょう


「は? 神なんかどうでも良いよ。私は親父や兄貴達から愛されれば良いし」


「お前……いや、まぁ良い」


はっきり言いやがって。照れるじゃないか


「ごちそうさま。んじゃ、夜飯まで走って来るわ」


「ああ。気を付けろよ」


「おう!」


袖を捲り、春菜はリビングを飛び出してって!


「ブラジャー着けて走れよ!」


「やだよ、暑いし」


「いいから着けろ!」


「……ちぇ」


春菜は不満そうに出て行ったが、言い付けは守る方なので大丈夫だろう


「しかし……」


いい加減なんとかしないとな、あのガサツさ




今日の乙女


雪>>秋>>>>母>>夏>>>俺>春


釣り座


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