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俺の遊び 11

「さて、次はどうするべ」


雪葉達の所に戻り、ゲーセンを出た俺達は、店の前で次の行き先を考える


時計を見ると、午後3時半過ぎ。時間的に次が最後となるだろう


「アタシはもう無いわよ? ……タイムセールをやるスーパーとかしか」


花梨が何か呟いているが、良く聞こえん


「なぁなぁ、兄ちゃん、兄ちゃん」


美月は俺の腕をクイクイと引っ張り、大きな目で見上げた


「ん? どした?」


「わたし、今日はもうあんまり時間無いんだ」


「お、そうなのか? それじゃ解散しようか」


「ううん。まだ、少し平気」


「そっか」


とは言え、余裕は無さそうだし、ここからどこ行けば良いのやら


「誰か行きたい所あるか?」


「特に」


「無いわ」


リサ&千里が言うように、他の子らも無いよと首を振る


「基本的にはただの散歩だしな」


地元の神社とか行ってもしょうがないし


「参ったな……」


「う〜ん。それじゃわたし、最後に兄ちゃん達んちに行きたい」


「俺達の家?」


思わず雪葉の方を見ると、雪葉も顔にハテナを浮かべていた


「うん。駄目?」


「いや、良いけど……良いのか?」


「良いわよ別に」


「僕も構わないよ」


反対意見も無いようで、それなら俺達が反対する理由も無い


「分かった。じゃ行くべ」


「わたしが案内するね!」


「よし、頼むぜ美月」


「任せて、兄ちゃん!」


て事で、美月を先頭にし、俺達はその後をついて行く


「……ねぇ、私もう疲れてるんだけど。佐藤さんの家って此処から近かったっけ?」


「そうだね、此処からなら10分と言った所かな」


「ふ〜ん。それなら歩いてあげる。ねぇ佐藤さん」


「え? 何、リサちゃん」


「ああ、ごめんなさい。雪葉さんじゃなくて、隣の死んでる方」


「お前……いや、まぁ良い」


ガキンチョ相手には怒らん!


「そこにコンビニあるから、私にお菓子買ってよ」


「菓子? 良いけどよ、300円な」


300×7=2100……か。ふふ、どうやら新作のゲームは来月購入になりそうだぜ


「よし、こうなりゃ自棄だ! みんなで適当に菓子を買い漁って来い、奢るぜこんちくしょう!!」


「やったー!」


「お、お兄ちゃん?」


「ほら」


虎の子の四千円様を、金に一番しっかりしてそうな花梨に渡す。花梨は微妙に震えた手で、金を受け取った


「お、お菓子で四千円も使うなんて……狂気の沙汰よ!?」


「いいから行ってこいよ。外で待ってるから」


「わ、分かった! い、行くわよ、みんな!!」


「おー!」


ぞろぞろとコンビニに入って行く子供達を見送って、ほっと一息


「はー。疲れた」


しかし、今日は楽しんでくれたかね。って何気に俺が一番楽しんでたりな


コンビニ前に横にある自販機で缶コーヒーを買い、ゴクリと飲む。開いた携帯には着信もメールも入ってなかった


「……燕」


「またアイスなの、千里」


「アイスは心の友。ジャイでアンな人が言ってた」


「何よそれ……」


「ん? 戻って来たか」


携帯から顔を上げてコンビニを見ると、ちょうど千里達が出て来た所だった


「い、いっぱい買っちゃった……。バチ当たらないかしら」


「僕もお菓子をこんなに買うのは初めてだよ。何だかわくわくしてしまうね」


「お兄ちゃん、あまりお金無い筈なのに……」


妹に余計な心配をさせてしまったが、全体的には喜んでくれているようだ


「うむうむ」


何となくほのぼのしていたら、美月が俺に走り寄って来て


「兄ちゃん、今日はありがとっ!」


「あ、ありがとう、佐藤お兄ちゃん」


「私も言うの? ……まぁ結構楽しかったし、少しだけ感謝してあげる。どうもね」


「ありがとう、お兄さん」


「謝謝」


「お兄ちゃん、ありがとう!」


「い、頂きました。ありがとうございます」


「ああ、どういたしまして」


大した事じゃ無いが、礼を言われると嬉しいものだ


「さて、そろそろ行くべ」


俺がそう言うと、美月は俺の前に立ち、手を差し出した


「兄ちゃん、わたしと手繋いで?」


「良いぜ、ほら」


「うん、行こう!」


「おっとっと」


小さな右手は俺の手をしっかりと握り返し、美月は俺を引っ張る様に歩き出す


「兄ちゃん、早く早く!」


「はは。あいよ、美月」


急かされてはいるが不快じゃなく、むしろ懐かしい気分になる


『兄貴、早く早く!』


昔はこんな風に春菜と手を繋ぎ、急いで家に帰ったものだ。……いや、今もあいつは余り変わってないな


「次は右曲がって、真っ直ぐ行って……あ、あった!」


見えてきた俺んち。美月は手を離し、家に向かって駆け出した


「兄ちゃんちが、わたしのお勧め場所! 雪も兄ちゃんも、秋ちゃんもなっちゃんも春ちゃんも、みんな超好き!」


家の前で腕をいっぱいに広げ、美月はクルッと一回転する


「雪葉。俺達んちは、いつの間にか観光名所になってたみたいだぞ?」


俺は緩む口元を隠さず、雪葉に話し掛けた。雪葉はそうだねお兄ちゃん、と、やっぱり嬉しそうに笑い、美月の元へ駆け出した


「アタシ達も行きましょう」


「そうだね、花梨」


「か、花梨……私達も行くわよ!」


「了解」


「あ、お、置いてかないで〜」


そして皆が同じように駆け出し、家の前で集まって何故かアハハと笑い合う


その笑顔が余りにも素直で、自然と俺も微笑んでいた


「私も大好きだよ、美月ちゃん」


「うん!」



今日の好感度(俺への)


雪>>>美>花≧風>>>>>千>>>>>>>>リ>>>>>>>>>>>>>>>>>>>鳥


「お巡りさんあの人です! あの人がいたいけな少女達を眺めてニヤニヤしていた人です!!」


「野郎昼間っからふざけやがって。国家権力の力を見せて……あ、あいつは!?」


「え? げ!」


「き、貴様ぁあ!」


「な、なんだ、ちょっ、ひ、ひぃい!」


「逃げるな貴様~」


「今日は追い掛けられる理由が全く分からねぇええ!」


「お、お兄ちゃ~ん!」


「俺の事は気にすんな~、友達と遊んでろ~」



つづく。逃げ切れれば

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