お正月の話
お兄ちゃん、と言われたらなんだい雪葉。と答えるのが当たり前となっている日常。だが時に変化を求めるのが人間だ。元日の今日、俺もたまには変化を求めたい
1、雪葉
「お兄ちゃん」
「な〜に、お姉ちゃん」
「………………」
「………………」
「……ふ」
「ふ?」
「ふぇ……ふぇえ」
「ご、ごめん! 泣かないでくれ!」
急過ぎる変化は、妹を泣かせるらしい
2、春菜
「あ〜にき!」
「やぁ、春雄」
「………………」
「…………は、春菜?」
「おいおい、新年早々妹の名前間違えるなよ〜。たく、しょうがねーなー兄貴はよ〜」
春菜は俺の肩をポンポン叩き、けらけら笑う。オッサンか?
3、燕
ピンポーン
「はいはい、今出るよ」
ガチャリ
「お、燕か」
「はい。明けましておめでとうございます」
「ああ、こちらこそ。上がってくれ」
「う、うむ」
燕の晴れ着姿は大変似合っていて、俺の家族達から羨ましがられた。そして挨拶が終わった所で熱いお茶で一息
「……ふぅ。美味しい」
「それはよかった。ところで――」
「む?」
「綺麗だよ、燕」
「ぶふー!?」
「ギャー! あちー!?」
度が過ぎると、自分に返ってくるようだ
4、母ちゃん
「恭介〜。今日は、おせちとすき焼きよ〜」
「わーい。嬉しいな、お姉ちゃん!」
俺だけおかずが一品増えました
5、秋
「あ、恭介」
「な、なんだい、あ、秋ちゃん!」
「お年……秋ちゃん?」
秋姉はポチ袋を持ったまま小首を傾げて
「……ん、恭ちゃん」
にこ
「う……」
ウオオオオオー! 明けましておめでとー!!
ラスト、夏紀
「ちょっと、こら」
「はいはい。なんですかおばさん」
「………………」
「………………」
「…………うふふ」
「!?」
技名、パロ・スペシャル!
オチ
「ね、姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉様~!!」
「うふふ、うふふふふ」
「いた、いたたたた! 腕が足が腰が~!? や、やめて、許して、助けて誰か~!!」
「うふふふふ、うふふふふふ」
ガシ!
「ひっ!? あ、アタシの頭を力強く掴むのは、だ、誰……ですか?」
「…………私」
「き、きゃあああ!」
姉の新年は、1時間の正座から始まりました。