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第139話:綾のご機嫌

「それじゃデートは、いつにします?」


「いきなり現れて何を言ってるんですか?」


「待ち合わせ場所は駅前のネオン輝くホテルの前で」


「だから何を言っているんですかって?」


「私は201号室の小さなプール付きの部屋を希望です。シャワーガラスはなんと透明! 隅々まで見えちゃいますよ? ちなみに私はお尻から洗う派ですが、佐藤君は象さんからですよね、もちろん」


「もちろんさ! って、綾さん!?」


「こんにちは、佐藤君。私、本当は頭から洗います。でもお尻からの方がエロい気がしますので、そう言いました。どうですか?」


「知りませんよ!」


木曜日。今日発売のマンガを買いに駅前へと来た俺は、タチの悪い変態に絡まれてしまった


「変態ではなく、痴女でお願いしますね」


「心、読まれてる!?」


「あはは。やっぱり佐藤君、分かりやすいです」


ニコニコ笑う綾さんは、クルッと回って制服のスカートを揺らす。……短いな


「この見えそうで見えないラインが難しいんですよ。ノーパンなのでスリル倍増です」


「なんだか今日は機嫌良いみたいですね」


最近分かったが綾さんは機嫌が良いと、セクハラ会話が増える


「当たりです。佐藤君に会えて嬉しくなっちゃいました」


「それは光栄です」


いつもの様に話半分で聞いておこう


「佐藤君は今、お時間ありますか?」


「ええ、大丈夫ですよ。そちらのベンチにでも座りましょう」


銅像横にある白いベンチに移動。五つある三人掛けのベンチは、待ち合わせなのか内三つが既に座られていてた


「よいしょっと。それでデートはいつにします?」


空いていたベンチに座ると、綾さんはまた同じ事を尋ねて来る


「いやいやいや、だからデートってなんの事ですか?」


そんな嬉し恥ずかしな約束は、ここ何ヶ月した事無い


「春菜さんのお友達と約束しました合コンの事です。一昨日、加奈さんから早く合コンがしたいってご連絡がありました。それで佐藤君のご予定をお聞きしたかったのですが、佐藤君の連絡先を知りませんので、今日佐藤君のご自宅にお邪魔するつもりだったんです」


「へ〜って最初からそう言って下さいよ」


そういえば俺の番号、まだ綾さんに教えてなかったな


「電話番号、後で渡しますね。しかし合コンですか……別に俺が居なくても、良いんじゃないですか?」


明らかに望まれてなさそうだし。それに春菜の友達と合コンしてもねぇ


「それは……困ります」


俺が乗り気じゃないそぶりを見せると、綾さんは本当に困った顔をした


「綾さん?」


「だって佐藤君が居ない合コンなんて私、行きたくありませんから……」


「え!?」


驚く俺を、綾さんは潤んだ瞳で遠慮がちに見つめた。な、なんだこの桃色な雰囲気は! まさか俺に惚れて……


「セクハラ出来ない合コンなんて、つまらないです」


「俺にする気か!?」


「セクハラは乙女の嗜みです。最近はそれを分からないで、勘違いをする男性が多いです」


「とんでもない嗜みですね」


「そんな男性達と渡り合うには、ただの処女では荷が重過ぎます」


「俺は貴女の相手をするのが荷が重いです」


「ただの処女って、私はそんなに安い女じゃないんだからねっ!」


「もうなんて突っ込んだら良いのか俺には分かりません」


「処女に突っ込む童あいた!?」


此処で叩いとかないと、奴は止まりそうにない


「うう、酷いです。せっかく盛り上がってきたのに……」


「綾さんは少し凹んでる時の方が魅力的ですよ」


静かで良いし


「キュン! さりげない優しさに綾音の好感度が10アップ!!」


「いつも勝手に上がってしまいますね」


どうやったら下がるんだ?


「後3ポイントで、部室エッチが解放されます」


「今後は絶対下げるようにします」


頑張ろう


「それで合コンの話を戻しますけど、合コン了解です。日にちは秋姉のインターハイ時期以外でしたらいつでも構いませんよ」


この間は綾さんに、かなり助けてもらったしな


「ありがとうございます佐藤君! では他の方にも聞いて決まりましたらご連絡しますね」


「はい、お願いします」


それから電話番号とメルアドを交換し、当初の予定通り本屋へと行く事にした





今日のホクホク


綾>>>>俺


「ところで何でついて来るんですか?」


「今日は本屋さんに用があるんです。佐藤君も本屋さんでしょう?」


「ええ……もしかして新刊ですか?」


「はい。そういう佐藤君もあれ目当てで……」


「やっぱり! 今日発売の!!」


「はい! 今日発売の」


「トラえもん172巻!」

「やったぜ僕らの痴漢満員電車、旅情編! スッポンレジェンド!!」


「あ、アンタと一緒にするな〜!!」


佃煮


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