クリスマスプレゼント 4
「お待たせ、姉ちゃん」
「お帰りなさ〜い」
リビングへ戻った俺を、エプロン姿の母ちゃんが迎えた。姉ちゃんを目で探してみると……
「の、飲みません。今日はもう飲みません。ごめんなさい、ごめんなさい」
ソファーの上で正座し、反省していた
「どうしたの、あれ?」
「母さんがリビングのドアを開けたら〜、いきなりラリアットをしてきたの〜。母さんと貴方を間違えたみたい〜」
「そ、そうなんだ」
なんて恐ろしい事を……
「今日のご飯は恒例の手巻き寿司〜。7時にご飯よ〜」
「は〜い」
「ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさいったらごめんなさい」
「……ドンマイ、姉ちゃん。さて」
姉から解放されたし、今のうちにプレゼントでも渡しておくか
それから秋姉、雪葉、母ちゃん、春菜にプレゼントを渡し、夕食の時間になる。今年も凄く盛り上がり、特に夏紀姉ちゃんの腹芸には爆笑しっぱなしだった
プレゼントもみんな喜んでくれて、幸せで満足なクリスマス。親父も出張中じゃなければね
なんて思っていたら、あっという間に
「もう23時前か。ほら雪葉、ベッドで寝よう」
「ん……」
椅子でウトウトしている雪葉に声を掛けると、雪葉は目を閉じたまま俺に両手を伸ばして、首に抱き着いてくる
「しょうがないな〜」
これはベッドに連れていって、て合図だ。雪葉がもっと小さい頃、良く抱き上げて運んだものだ
「よいしょっと。じゃ、先に寝るよ。お休み、みんな」
「は〜い」
「ええ、おやすみ」
「また明日な、兄貴!」
「……おやすみなさい。恭介、雪葉」
「うん、おやすみ」
雪葉を運んだら俺も寝よう
雪葉を部屋に運んで、歯を磨き、自分の部屋に戻って、冷たいベッドに潜る
今日は良いクリスマスだったな。来年もこうだと良いね
「…………おやすみ、親父」
メリークリスマス。来年こそ帰って来いよ
※
チュン、チュンチュン
「……ん?」
もう朝?
気付けばカーテン越しの外は明るく、時計の短針も8時を指す
良く寝たな、夢すら見なかった。さて、顔でも洗うか
ベッドから起き上がり、部屋を出る。すると、ドアの横には幾つかの袋や箱が置いてあった
「これは……」
その中の一つ、金のラメが入った赤い箱を手に取る。箱にはメッセージカードが付いていて、そのカードを抜き、読んでみる
【メリークリスマス】
「これって……」
多分、秋姉からのプレゼントだ
「ありがとう、秋姉」
じゃあ他の箱は――
【メリクリ!】
【お兄ちゃんへ。メリークリスマス】
【いつもありがと〜。メリークリスマス】
「…………はは」
みんなからだ。なんか今年はやられちゃったみたいだな、クリスマスサプライズ
「ありがとう」
置かれたプレゼントを、ちょっと無理して一度に抱えて俺は部屋に戻る
貰えた喜びと、これから箱を開ける楽しみと。これだけで今日は最高の一日になりそうだ
「さ〜て」
先ずは秋姉のを開けてみるか。何が入っているかな〜
丁寧に包装紙を外し、ゆっくりと箱を開ける。その中には
「す、スーパーファ〇コンのカセット……」
しかも新品
「い、一体何処で買って来たんだろ?」
疑問に思いながら俺は、このゲームを極める事を神と今年のクリスマスに誓って、次の箱へと手を伸ばす事にした