クリスマスプレゼント 2
「とにかくありがとう姉ちゃん。大切に使うよ」
姉ちゃんから万年筆が入った箱を受け取って、ポケットにしまう。大事にしないとね
「うぃ〜。あ……お酒、もう無い……」
姉ちゃんはコップへ向けて一升瓶を逆さにし、振る。なんだか凄く哀れに見えてしまう光景だ
「す、少し買って来ようか? 少しね」
「うん!」
超良い笑顔で返事されてしまった
「じゃ、買ってくるよ」
甘いなぁ俺も
自分の部屋に戻って机に万年筆を置き、コートを着て部屋を出る。家に鍵を閉めておきたい所だけど、母ちゃん達がまだ帰ってきてないので、みんなが鍵を持ってなければ閉め出してしまうかもしれない(姉(酒)信用無し)
「う〜ん……」
悩んでるなら閉めた方が良いかと思い、鍵を手にして玄関に行くと、ちょうどドアが開いた
「……ただいま」
開いた先には秋姉。棒立ちしている俺を見て優しく微笑む
「おかえり!」
「……ん」
秋姉は家に入り、バックと竹刀袋を肩から下ろして廊下に置く。クリスマスだと言うのに、今日も部活だったのだ
「お疲れ様、秋姉」
「……ありがとう」
脱いだ靴を並べて置き、バックと竹刀袋を手に取る。一連の動きがまるで舞踊の様に綺麗だ
「ちょっとコンビニに行って来るけど欲しいものある?」
「……とくに無いよ。気をつけて……」
「うん!」
今日もやっぱり優しい秋姉に見送られて外に出ると、冷たい風が頬にささった
「う〜寒」
天気は曇り。雨でも降りそうな嫌な色の雲だ。さっさと買って来よう
「わっせ、わっせ」
「わっせ、わっせ」
「わっせ……ん?」
小走りしていると、後ろから俺と似たような掛け声があった。足を止めて振り向くと
「わっせ、わっせ。よ、兄貴」
「春菜? 何やってんだ?」
「ん? 帰ろうとしたら家から出て来た兄貴が走ってたから何となく追い掛けて来たんだけど?」
「お前は犬か」
「いいから早く走れよ〜後がつっかえてんだぞ!」
春菜はその場で足踏みをし、俺を追い立てる
「分かった、分かった。わっせ、わっせ」
「わっせ、わっせ」
結局春菜はコンビニまでついて来た
「ふ〜疲れた。なんか食べるか? 奢るよ」
「マジ!? じゃあシュークリーム! 兄貴からのクリスマスプレゼントだな! やったぜ!!」
「お、大きな声で言うなよ」
ちゃんとプレゼント買ってあるっての