第136話:俺の結果
「それではテストを返すぞ。相田」
月曜日朝。今日は先週行ったテストの返却日だ
教室内には授業が潰れて嬉しい奴、自信ありげな奴、絶望している奴と多種多様。俺はと言うと、テスト時の記憶が無いから、どんな顔をして良いか分からん
「次は佐藤。……やるな」
数学担当の安藤先生は、ニヤリと笑って俺にテスト用紙を渡した。受け取ったテストをその場で見てみると――
「97点!?」
ば、馬鹿な。調子良い時でも80点がやっとなのに……
「佐藤君凄〜い!」
「お、サンキュー戸田さん」
まるで自分の事の様に喜んでくれている。ふ、俺に惚れたか?
「やっぱり佐藤君は、ただのシスコンさんじゃないね〜。スーパーシスコンさんだよ」
ふ、惚れてないな
「たまたまだよ。たまたま取れただけだ」
「さ、佐藤が玉取ったってよ。ヒソヒソ」
「馬鹿、見るな! ヤられるぞ。ヒソヒソ」
「お前ら……いや、何も言うまい」
ロリコンでシスコンでオカマで変態か。ふふ、次はなんだ? 何でも来いってんだ
「あ、佐藤君が諦めの悟りを開いてる……」
「ほっといてあげな。男には時として、そう言う事があるみたいなんだ」
「そうなんだ、知らなかったよ〜。う〜ん、やっぱり美佳は大人だねぇ」
何処がだよ
「ふ〜やれやれ」
よっこらしょっと席に座って、さて答え合わせでもするか
一時間目以降の授業もテスト返却に費やされた。返って来たテストは、その全てが普段より良い点数で、お陰で俺は先生達に褒められまくり。だが実感がまるで無い
「うむ〜」
なんだか少し卑怯な気がするな……いや、俺の潜在能力が熱によって覚醒したのだ、きっと
「て事は、オカマな俺も潜在……」
い、いやいや、あれは違う。あれはそう、ただの気の迷い
「あ、佐藤君が遠く見てたそがれてる」
「視点があってないと、本当に死んでるみたいだな佐藤って」
「お前ら……」
いや、何も言うまい
「さてと」
後はホームルームだけだし、帰る準備でもしよう
「は〜い、お待たせ〜。先生で〜す!」
鞄を整理していると、超機嫌の良い佐山先生が教室に入って来た
「佐藤く〜ん。ちゅっ」
高いテンションで、投げキッスまでされてしまう
「ふふ〜。クラス平均点トップですって。ざまあみろハゲ!」
「お、おめでとうございます。凄いですね」
クラス委員のKが賛辞すると、先生はニッコリと笑って
「ありがと〜。イェーイ」
80年代生まれの人に有りがちな、ピースサインを繰り出した
「も〜最高の気分! これで気分良く夏休みを迎えられるわ。みんな、頑張ってくれてありがとうね!」
今日の上機嫌
佐>>>>>俺>戸>>>>>>>>美≧禿
「……はぁ、30点」
「大丈夫だよ、美佳。ほら、こうして細工すれば……80点!」
「なるほど、グッドアイデア! って、怒って良いよね?」
「え? なんで?」
月影