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花のパーティー 3

パン、パパン


「うわ!?」


「きゃ!」


引き戸を開けた瞬間、俺に向かって音が弾けた。これはクラッカー?


「お兄ちゃん、大会優勝おめでと〜」


「やったね兄ちゃん!」


「恭君、最高」


「ふふ。おめでとう」


「お、おめでとうございます……良く分からないけど」


状況を把握する間も無く雪葉とニセ妹達&鳥里さんが俺を迎え入れて喝采する。これは一体……


「兄ちゃん、ほら座って座って!」


くいっくいっと引っ張られ、部屋の中央に座らされる俺。それを囲む様に座る妹達。フルーツバスケットみたいな陣形だ


「リサはこっち」


「う、うん……なんなのこの騒ぎ」


「なづな、チカンさんのと〜なり」


なづなちゃんは俺の横に座って、なんか知らんが

ご満悦


「凄い出迎えだな」


「お兄ちゃん、今日はちょっと遅れちゃったけど優勝おめでとうパーティーなの。それで、主役だったお兄ちゃんのおもてなし」


「お、おもてなし?」


まさかこの間の様な展開に……


「今回は普通のおもてなし。ね、花梨ちゃん」


雪葉は部屋の右にある閉じられた襖の方へ声を掛けた


「え、ええ……ママ、やっぱりこの格好は」


「スッゴく可愛いよ、花梨ちゃん! これなら恭介クンもイチコロね」


「ま、ママ!?」


「良いから、え〜い」


襖が開かれ、花梨と花梨を後から抱き着く巨乳のねーちゃん……香苗さんが現れた。相変わらず若いお母さんだな


「いらっしゃい、恭介クン」


「い、いら、いら……いらっ……しゃい」


花梨は顔を赤くさせ、モジモジとしている


服装は、下が白い生地に黒の水玉がアクセントなスカートと、黒いスパッツ。そして上が淡い黄色のTシャツとまぁ普通なのだが、なんでこんなに恥ずかしがってるんだ?


「う〜む」


「……な、なによ」


「ん? あ、そうか。スパッツ履いてるから分かりづらかったけど、いつもよりスカートが短いのか」


「な!? ち、違う! アホー!!」


花梨、振り返って逃亡。しかし香苗さんが捕獲


「褒められて良かったね花梨ちゃん」


「褒められてない!」


「じゃあ褒めて、恭介クン」


「え? 俺? えっと、足長いんだな花梨は」


これで良いのかな?


「っ!? こ、この」


「変態」

「変態」


リサと千里のコンビネーションが発生。恭介に70のダメージ


「……褒めただけやん」


「花梨は短いスカートを履かないからね。良く似合っているよ、花梨」


「うぅ……」


「花梨ちゃん、可愛いなぁ。雪葉も短いの買おうかな」


ちらっと俺を見る雪葉さん


「ゆ、雪葉にはまだ早いんじゃないか?」


心配事が増えてしまう


「も〜お兄ちゃんは、いっつも雪葉を子供扱いなんだから」


「ふふ。さ、みんな。そろそろパーティーを始めよう。お兄さんは此処で少し待っていて」


「あ、ああ」


俺が頷くと、子供達は一斉に散らばった。残ったのは俺となづなちゃんと香苗さんにリサ。リサは状況が把握出来ず、呆然としている


「こほ、こほ」


「何だか騒がしくてすみません」


咳込む香苗さんに声を掛けると、香苗さんは薄く微笑んで静かに首を振る


「ううん、平気。むしろ楽しい」


顔色が悪いな。大丈夫なのだろうか


「……恭介クン」


心配しながら香苗さんを見ていると、香苗さんは弱々しく俺の名前を呼んだ


「はい?」


「お金ありがとう。でもね、受け取れないよ」


「え?」


なんの事だ?


「一千万円。なんにも理由が無いのに、あんなに貰えない」


「……ああ、賞金の事ですか。忘れてました」


「忘れてたって……あはは。やっぱりお母さんに似てるね恭介クン」


「母ちゃんに?」


「終わった事を振り返らない。賞金を貰った日、恭介クンのお母さんに事情を話して、受け取れないって電話したの。そしたら」


「恭介が自分の意思で考えてした事だから、私は口出ししないし関与しない。そんな所でしょ?」


「う、うん。ほとんどおんなじ」


「その通りですよ。俺が決めて俺がそうした。だからこれで良いんです」


「だ、だけど」


「大体花梨が居なかったら優勝なんて出来ませんでしたよ。リサや千里だって花梨が居たから出場してくれた。そうだろリサ?」


「私!? ま、まぁ……多分」


「美月や風子だって、花梨を助けたいって気持ちが強かったと思う。雪葉は言わずもがなです」


兄として、それが凄く誇らしい


「お金の事だから、繊細になってしまうかも知れませんが、それを借りとか申し訳ないとか思わないで下さい。俺達はたまたま幸運で手にしたお金を、一番使いたい事に使っただけですから。友達の為にね」


「恭介クン……」


「それが俺の、俺達の理由です。……ちょっとカッコつけ過ぎました?」


「ううん……ううん!」


花梨のお母さんは目をウルウルとさせて


「好きっ!」


俺に飛び付いて来た!?


「お待たせお兄ちゃん、まずは手作りケーキだ……よ?」


「も〜好き! 大好き!」


俺を押し倒し、チュっチュとキスの嵐! や、ヤバイ! このままでは俺の内なる獅子が目覚めてしまう!!


「な、何をしているのかな、おにいちゃん?」


ギラリ。雪葉の目が激しく光る!


「ゆ、雪っ、ち、違う! 違うぞ雪葉!? って離れて香苗さん!」


「あら、どうしたの雪。そんな所で突っ立て……ま、ママ!?」


「……ふふ。楽しそうだねお兄さん」


「恭君、鬼畜」


「ふん。変態」


「あ……や、やっぱり雪ちゃんのお兄さんは!」


「あたしも混ざる〜」


「なづなも〜」


わーわ、ぎゃーぎゃー


広いとは言えない部屋の中、大騒ぎ。全くとんだパーティーになったもんだ。だけど、ま


「もうママ! そいつから離れて!」


「花梨ちゃんもギュー」


「きゃー!? た、助けてリサ!」


「あ、わ、私!? こ、こら花梨のママ! か、花梨からは、離れ、離、は、はな」


「噛みすぎ」


「み、みんな落ち着いて〜」


「花梨にタックル!」


「ぶへ!? み、美月!」


「だ、大丈夫? 花梨ちゃん」


「あ、ありがとう雪……も〜仕返しよ美月!」


これで花梨のわだかまりも無くなるかな


「……なんだか嬉しそうだね、お兄さん」


騒ぎから抜け出した俺の横に、風子がやって来た


「そうか? ま、そうかもな」


多分そうなんだろうな


「ふふ。お兄さん、リンゴジュースどうぞ」


「ああ、サンキュー」


紙コップを受け取り、一口。濃厚でうまい


「それでお兄さん」


「ん?」


「やっぱりお兄さんは、胸が大きい人が好きなのかな?」


「ぶ!?」


「ふふ」




今日のヤキモチ


雪>風>>>>花>>>月>>リ>な≧千≧鳥


つま先


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