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花のパーティー 2

「ほら、ここよ」


俺の家から駅の逆方面へ約10分歩くと、商店街の入口へと出た。その商店街に入らず、更に3分程車道を歩き、途中舗装がされていない小道に入って暫くすると、六世帯用の古びたアパートにたどり着く。そのアパートをリサは指差した


「ふ〜ん」


確かに古びてはいるが、管理が行き届いているのか汚れてはいない。ペンキも最近塗った様子がある


「1階の左奥。さっさと行って」


「はいはい」


言われた通り左奥の部屋へ行くと、確かに霧島と書かれた表札があった


「…………」


「……固まって無いで早くインターフォン押してよ」


「代わりに押してくれない?」


なんか緊張するし


「え!? わ、私が……押してもいいの?」


リサは戸惑いと不安が混ざったような顔で俺を見上げる。どうやら俺よりも緊張しているようだ


「そりゃ良いだろ。友達なんだし」


「と、友達!? 私が花梨のともだち……」


にへら〜っとリサは、にやけた後、ハッと我に返り


「だ、誰が友達よ!」


「……お前と花梨。友達なんだろ? 見ていて分かるよ」


「ほ、ほんと? 見てて分かるの? そんなに友達っぽい? ……そっかぁ」


にへら〜っと笑って、


「こ、このふしあな!」


「…………」


分かりやすい奴


「……ま、此処でこうしてても仕方ないし早く行こうぜ」


「分かってる!」


リサはドアの前に仁王立ちし、インターフォンに手を伸ばす


「…………リサ?」


何故か伸ばしたまま固まってしまった


「お、押すわよ。ええ、押してやるわ!」


「そんな気合い入れなくても……」


ピンポーン


「あ! お、押しちゃった、どうしよう?」


「どうもしなくて良いから」


ワタワタするリサに落ち着けと声を掛けて、暫し待つ


「はぁい」


ドアの向こうから可愛らしい声で応対があった


「佐藤です。パーティーに来ました」


「あ、チカンさん? いま開けま〜す」 


「チカン……」


「さりげなく俺から距離をとらないでくれない?」


ガチャリ。ドアが開き、その先でミニ花梨こと、なづなちゃんが俺達を出迎えてくれた。象がブリントされたシャツを着ている


「いらっしゃ〜い」


「あ、か、花梨! た、頼まれて仕方ないから連れて来てあげたわよ! 感謝してよね!!」


「え? ……お姉ちゃんは、だぁれ?」


「だ、誰って……」


「リサ。この子は、なづなちゃんって言って花梨の……」


弟?


「花梨の……なによ」


「……家族だ」


「はい! 霧島 なづなです。宜しくお願いします、お姉ちゃん」


ペこりと頭を下げる、なづなちゃん


「ふわぁ、かわい〜……か、花梨と違ってね!」


そっくりだべさ


「みんなチカンさんを待ってたの。入って?」


「ああ、お邪魔します」


「お姉ちゃんも」


「え、ええ」


促されて入った小さな玄関には、数多くの靴がきちんと並べて置かれていた。僅かに空いていたスペースに靴を脱いで入ると、なづなちゃんは正面にあるガラス戸の横に立つ


「さぁ、どうぞチカンさん!」


「あ、ああ」


君の中で俺は、いつまでもチカンさんなのね……


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