第130話:春の部活帰り
「む、う……ん?」
土曜日の朝。起きると、メールが来ていた。寝ぼけまなこを擦り、メールを開いてみる
【おはよ】
おはよ恭君。花梨ちゃんのパーティー来週の日曜日に決まったからお知らせ。予定を調整するの結構大変だった。来ないと私の右拳が火を噴く可能性あり
「…………ふむ」
来週の日曜日なら特に予定ないし、大丈夫だな
【Re:了解】
雪葉と行く。
で、送信っと
【だめ】
返事早っ!?
驚きつつ、メールを開く
だめ。雪ちゃんは私達と早めに行くし。恭君はゲストだから、後から来るべし
【Re:んな事言ったって】
俺、雪葉と一緒じゃないと花梨ちの場所分からないぞ。分かりやすい所にあるか?
【金髪】
恭君のうちに金髪を派遣する。途中で金髪が『花梨のうちなんて本当は行きたく無いんだけど』とか言うと思うけど『じゃあ行くの止める』て返すと、反応おもしろいからオススメ
「…………」
やっぱSだなコイツ
【Re:了解】
じゃあ来週。
「……朝めし食お」
朝ご飯は、大盛りのウナ丼でした
「…………春菜のリクエスト?」
「そうよ〜。今日は土用の丑の日だから〜朝昼晩ウナギってお願いされたの〜」
「…………あ、そう。いただきます」
渋々ウナギを一口……
「む、むう」
くどく無く、まろやかながらも脂はしっかりと乗り、深みのある甘ダレと山椒の香りが食欲をそそる。……あの母、ただ者じゃない!
「で、春菜は?」
今、食卓には俺と雪葉と母ちゃんだけ。雪葉は俺の隣で一生懸命ウナギ丼を食べている
「春お姉ちゃんと秋お姉ちゃんは部活だよ。春お姉ちゃん、五杯も食べたの。やっぱりお姉ちゃんは凄いなぁ」
雪葉は感嘆の声をあげた
「……まぁ、確かに凄いけどさ」
色々な意味で
「雪葉は俺が起きるまで朝めし食うの待っててくれたのか?」
「え? う、うん。雪葉が起きた時、お姉ちゃん達はもう食べた後だったから……」
「サンキュー」
思わず頭を撫でてしまう
「……えへ」
ふ、可愛い奴め
はにかむ妹とウナ丼を食い、気付けばあっさり完食
「あ〜うまかった。ごちそうさま、母ちゃん」
「トド松〜」
「……好きだね、昭和ギャグ」
麦茶を注いで、リビングのソファーに座る。テレビは天気予報をやっていて、今日は快晴35度越え。暑くなりそうだ
「雪葉。昼過ぎにケーキ屋でも行こうか?」
「うん!」
キンキンに冷えたアイスコーヒーに甘いケーキ。夏の楽しみ方の一つだよな、これ