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第23話:春の誕生日

今日は春菜の誕生日。俺は雪葉を連れ、デパートへ来ていた


「お兄ちゃんは何をあげるの?」


「ん〜あいつが喜びそうな物か……」


春菜は食べ物以外では、漫画や青春映画、後ドラ〇もん(旧)が好きだったりする


「ドラ〇もんグッズにしようかな」


目覚まし時計や、クッション。ドラ焼きでも買って帰るか


「でも春お姉ちゃん、余り部屋に物置かないよ?」


「そうなんだよな。あいつあの性格の割にはスッキリした部屋を好むからな」


買ったのはいいが、直ぐに押し入れ行きになるかも知れない


「後はゲームと……スニーカーか」


ナイキのエアーフォース2が欲しいとか何とか言ってた気がする


「雪葉は何をプレゼントするんだ?」


「雪葉はね〜、内緒っ!」


雪葉は悪戯っ子の様に、にっぱりと笑う


「はは、なんか俺も楽しみになって来たよ。さて、見たい所あるか?」


「ん〜ん。お兄ちゃんについてく」


「そっか。じゃスポーツ用具店にでもいこうか」


「うん!」



このデパートは三階のフロアがスポーツ店のテナントが立ち並んでいる


俺は、スニーカーを専門に置いてある店へと入った



「桂三枝でいらっしゃ〜いシューズショップ明日のホームランへようこそ〜」


現れたのは、スーツを着たやけにクネクネしているオッサンだった


「…………どこだろうな、ナイキの靴は」


「あ、向こうの看板に!」


「お、でかした雪葉」


「えへー」


「……えっと、お客様? シューズショップなのにホームランですよ? 桂三枝ですよ?」


「ああ、俺達そういうネタどうでもいいですから。なあ雪葉」


「うん。……あ、ちょっと面白かったよ? ありがとおじさん。……それじゃ行こ、お兄ちゃん」


雪葉はペこりと頭を下げ、俺の手を取りニコニコとナイキコーナーへ向かう


「も、申し訳ございませんでした!!」


そしてオッサンの叫び声が店内に虚しく響いた



「この間の歯医者といい、最近この町にも変な連中が増えたな?」


ナイキのコーナーで、靴を探しながらぽつりと呟く


「南ちゃんやたっちゃんはいい人だよ? 優しかったし、面白かったもん」


「……まぁ、悪い人達では無いんだろうけどな」


「うん……あっ! あったよ、お兄ちゃん」


そう言って見せてくれたのは、確かに春菜が言っていた靴だ


よし、これを買って……


「い、一万五千円だと!」


「ええ!? この間お母さんと食べに行った、フグの一人前フルコースと同じ値段!?」


あ、あの女、息子に内緒でなんて幸せな食生活をおくっていやがる!!


「お、お兄ちゃん。雪葉、協力するよ?」


険しい顔をする俺を、お金が足りないのだろうと思ったのか、雪葉は自分のがまぐちを開いてお金を取り出す


「はい、お兄ちゃん」


ニッコリと笑いながら、折り畳まれた五千円と小銭を握り締め、俺に差し出す雪葉


お、お兄ちゃんそれ貰えないっ!


「いいんだ、雪葉。兄ちゃん、金あるんだ。少し驚いただけだから」


雪葉の頭を撫で、お金をしまわせる


……此処まで来たら買うしかねぇな


俺はしぶしぶ、春菜のサイズに合う靴を選びレジへと持っていった



「ありあとした〜」


やる気もテンションも無いさっきのオッサンに金を払い、ショップを出る


「さて、これでプレゼントは購入したし……雪葉、文房具と服見に行こうか?」


「えっ!? で、でも……いいよ! 帰ろ? お兄ちゃん」


そうは言うが、目が泳いでいる


「まあまあ、兄ちゃんについて来な」


それから遠慮する雪葉を何とか説得し、雪葉が気に入った筆箱と服を購入する


「さ、そろそろ帰ろう」


「うん! お兄ちゃん、ありがとう!!」

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