夏のクイズ番組 2
「正解は、ドンカバチョです!」
「またエライマニアックなもん出して来たわね?」
夏紀姉ちゃんは腕を組んでウンウンと頷く
同じく頷いているのは母ちゃんだけだ
「夏紀姉ちゃん」
「何よ?」
「本当は歳、幾つ?」
答えの代わりに蹴りが飛んで来た
「さあ、それでは最後の問題です!」
今のところ、夏紀姉ちゃんが八割正解
次いで俺達ビューティー・ペアーが三割
雪葉が二割弱
春菜に至っては、ゼロ。わざとじゃないの、マゾじゃないのって言うぐらい当たらない
「うお〜次こそ当てる〜!!」
「まだ夕食とおやつの一回分と、日曜日のお昼が空いているわよ〜」
母ちゃんの言葉に、俺達の目の色が変わる
「次は……早押しにしない?」
夏紀姉ちゃんが、静かに提案した
正解者が三回分を独り占めか……
「良いぜ」
俺が頷くと、まっ先に春菜が便乗した
一応俺らの中で最も運動神経の良い春菜。奴は早押しに全てを賭けるようだ
それだけなら潔くてカッコイイが、もし自分がハズレても夏紀姉ちゃんが当たれば良いやと言う姑息さが見え隠れしている
「う〜ん……いいよ!」
既にお目当てのホットケーキを手に入れている雪葉もちょっと悩んだ後に、頷いた
秋姉は言わずもがなだ
「それでは問題……3581×2857は!!」
なんだこの問題! こんなもん暗算で分かる筈が!!
「おっしゃ!!」
何ぃ? 春菜!?
「5857だ!!」
てめぇは小学校からやり直せ!!
心で突っ込んでる間にも、夏紀姉ちゃんは着々と暗算し、頷き始めた
駄目だ、分からない!!
そもそも問題は何だったっけ!?
「……よし」
夏紀姉ちゃんが、完璧だと声を上げる
もう駄目だ!
俺は泣きそうな顔で秋姉を見た
「! ………10230917」
「……はい?」
秋姉の突然の声に、夏紀姉ちゃんはひょっとこの様な顔をした
「正解は、10230917です!」
「…………ウイナ」
今日のクイズ王
母>秋>夏>俺>雪>>>>>春>父
つづく。多分