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千の退屈 2

警察署を出ると、蝉の声が耳に響いた。額の汗をハンカチで拭き、バス停に向かって歩く


「ふ〜」


暑い。早く帰って、シャワーでも浴びよう


暑い中、てくてく歩き、バス停に着く。嬉しい事に、ちょうどバスが来てくれて、直ぐに乗り込む事が出来た


バスの中は弱いけど冷房が効いていて、中々心地良い。空いていた席に座り、再び感謝状を開いてみる


「…………」


雪葉に自慢出来るかな? しかし捕まえたのは母ちゃ……レディーオカメだし、自分の手柄にして良いのだろうか。それに秋姉にも秘密にしてるしな


「うむ〜」


腕を組んで考えているとバスは終点の駅前に止まった。ま、考えるのは後にして、とりあえず帰ろう


ミーン、ミーンミーン、ミーン


駅から家まで、歩いて約20分。蝉は益々元気に鳴き、空もまだまだ明るい


「……はぁ」


暑い。あつはなつい。


なんて高度なギャグを思い浮かべながら、河川敷を横切ると、ふと誰かに呼ばれた気がした


「?」


「こっち」


足を止めて声のする方、土手の方を見る。かなり段差がある為、見上げる形だ


「ん? お、千里。何やってんだ?」


土手の上に居たのは千里だった。何をしているのか、そこで寝そべっている


「空見てた」


「へぇ、優雅だな。面白いもんあったか?」


「とくに」


「そっか。でもただ空見てんだけでも、なんか面白いよな」


何となく分かるぜ


「ただ空見ておもしろい人、少ないと思う」


「そ、そう?」


「そう」


「そ、そっか……」


「…………」


「…………」


会話が続かないぜ


「…………じ、じゃあ、そろそろ俺は」


「……ユーフォー探してた」


お、会話が来た!


「へ〜、ユーフォーか。居たか?」


「ううん」


「そっか。見付けたら教えてくれよな」


「恭君、ユーフォー信じてるの?」


「ん? まぁ、いてもおかしくないと思ってるけど……」


「子供すぎ」


「悪かったな!」


「首疲れない?」


「疲れたよ!」


見上げっぱなしだからな


「こっち来て良いよ?」


「そりゃどーも」


別に行きたくも無いんだが、花梨の事も気になるし、少し話してみるか


緩い坂を上がって、千里の横に行く。千里は猛犬注意と書かれた文字の下に、怠そうな熊の絵がプリントされたTシャツを着ている。訳分からない


「胸見てる?」


「見てねーよ! シャツだシャツ!!」


「ダルックマ」


「パクリ!?」


「着てると怠くなる」


「呪いのアイテム!?」


「でも実は犬」


「熊だろ!?」


「そんなかんじ」


「どんな感じ!?」


「さあ?」


「さあって!?」


疲れるなコイツ!


「はぁはぁ……はぁはぁはぁ」


「胸見てる?」


「シャツだシャツ!!」


以下ループ



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