第22話:父の目覚め
アマゾン下流
近くの村に住む少女が、川の水を汲みに行くと、川から流れて来る何かを見付けた
「ナンカナガレテキタヨ!テカヒトジャン? タイヘンネ」
以下翻訳↓
「みんなを呼んで来なくちゃ!」
少女は村の住民を呼び、流れて来た人間、佐藤を川から引き上げた。そして2日後
「………う、うぅ」
ずっと目を覚まさなかった佐藤の意識が覚醒する
「こ、ここは……?」
そこは薄暗く、最低限の生活設備だけがある藁葺き小屋の中
「僕は一体……」
佐藤は頭を押さえ、記憶を呼び起こす
「そうか、僕は秘宝の門番に……」
その時、布で出来た出入口が開いた
「らーらら……あっ!」
鼻歌を歌いながら小屋へと入って来た少女は、起き上がっている佐藤を見て声を上げ、慌てて何処かへと行ってしまう
「……あの子が僕を助けてくれたのだろうか?」佐藤は痛む体を無視し、姿勢を正して少女が戻って来るのを待った
数分後、少女は100歳を越えるかも知れぬ老人と共に戻って来た
「ワシの名はウリガド、この村の長じゃ。そしてワシの後ろに隠れているのが、孫娘のアルテル。お主を最初に見付けたのも、この子じゃ」
ウリガドの声は低く、そして重く腹に響く
「私の名は佐藤。この度は大変なご迷惑をお掛けしました」
佐藤は深く頭を下げた
「ほほ、なーに構わぬさ。ワシはこの子に説得されただけだからのう」
ウリガドはアルテルの背を軽く押す
アルテルはちょっと困った顔をしながら佐藤の前へと出た
「君が僕を助けてくれたのだね。……本当にありがとう」
嘘偽りの無い感謝を微笑みに乗せて言う佐藤。アルテルは少し顔を赤くしながら頷く
そんなアルテルを見て、佐藤は日本に残した娘の顔を思い出す
「まぁ、傷が癒えるまでゆっくりとしていくがよい」
「感謝の言葉もありません」
佐藤を残し、小屋を出て行く二人。途中、アルテルは振り返り、若干躊躇しながらだが確かに微笑んだ
佐藤の頬も自然と上がる
「……そうだ、今日は誕生日だったね。………おめでとう、春菜」
一人小屋へ残された佐藤は遠く日本にいる娘を想い、そっと目を閉じてそう呟いた
今日のアマゾン2
父
続く