雪の妹大会 15
そのうち削除
おもいで
小学校六年の卒業アルバム
カッコイイと思う男子
1位 内藤君 →スポーツ万能で、カッコイイ!
2位 仁賀君 →優しくてカッコイイ
3位 増川君 →みんなのリーダー!
友達になりたいと思う男子
1位 佐藤君 →確か四年連続だよね、おめでと~!
中三
モテそうな人
1位 丸山君 →面白いし、顔が良い!
2位 石田君 →ちょっと恐いけど、実は優しいから
3位 早瀬君 →実家がお金持ち! うそうそ、格好良いよ!
友達かなって思う人
1位 佐藤君 →なにげに三年連続っ! おめでと~
高一
もう友達で良いじゃんって思う男
1位 佐藤君 →屍な所が良い。でも屍を彼氏にするにはちょっと……
「………………はぁ」
「ん……恭介」
「え? なんだい、秋姉」
「……もし恭介が同級生なら、私、カッコイイ人に恭介を投票したよ?」
「あ、ありがとう」
その言葉で明日を頑張れます……
「どお、花梨。これが私よ」
止まらない拍手や歓声の中、芝居は終わり、俺達はセットを降りる。そんな俺達を呆れ顔で見上げていた花梨へ、リサは後ろ髪をゴムで縛りながら自信満々に言った
「へーそう」
感情を感じない棒読みだが、気持ちは非常に分かる
「ふふん。貴女に出来るかしら? あの完璧な演技」
「そうね、出来ないわ」
やる気もなさそうだ
「うふふ。これで私達の優勝は決まりね、恭介お兄ちゃん」
花梨の言葉に気を良くしたのか、リサは俺の腕をとって喜びを表す
「だと良いが……」
確かに演技中の盛り上がりは一番だった。後、残っているのは花梨を入れて三組だし、優勝の二文字が近付いている感触はある
「…………」
「ん? どうした花梨?」
「あ! べ、別に!」
花梨は俺とリサを複雑そうな顔で見ていたが、声を掛けると一気に不機嫌顔になってしまう
「花梨?」
「う〜ん、さてと。それじゃ私は貴女が一番見える所に移動するから。私の前でせいぜい足掻きなさい」
そう言ってリサは、鼻歌まじりにセットの正面の方へと向かって行く
「……あいつ本当に花梨が好きなんだな」
花梨に構ってもらいたくてしかたがないのだろう
「よし、次は俺達だ。頑張ろうぜ」
「……もう優勝しそうなんでしょう? あたしが出たって、リサより良い演技出来ないわ」
だから出なくても良いじゃないと、花梨は言う
「……俺はリサよりも花梨、お前に期待しているんだ」
気の強さなら、お前が一番だ
「え? あ、あたし?」
「お前とならやれる。そう思ったから出場したんだぞ。俺に力を貸してくれ」
「…………うん」
花梨がコクンと頷いた所で、俺達の紹介が始まった
「先に行って待ってるぜ花梨!」
「うん!」
長かった妹大会、これが最後の戦いだ。全力で行く(主に花梨が)!
「出番だぜぃ、恭介お兄ちゃんと、花梨ちゃん! 君達のパフォーマンスシスコン野郎共に見せ付けてやれー」
「おうよ!」
セットに上がり、例によって俺はベッドに入り込む。この寝たふりが中々難しい
「ぐーぐー」
ジリリリリリリ
目覚ましが鳴った!
ガチャリ。
「あ、えと……ま、まだ寝てるの、お兄ちゃん」
若干たどたどしいが、演技は出来ている。良いぞ花梨
「し、仕方ないわね。起こしてあげるわ」
ゆさゆさ。軽い揺さ振りが、逆に心地良い
「起きて、お兄ちゃん」
「ぐーぐー」
「お、お兄ちゃん? 起きてって」
ゆさゆさ、ゆさゆさ
「お兄ちゃん! いい加減に起きなさい!」
ゆさゆさ、ゆさゆさ、ゆさゆさ
「ぐーぐーぐ」
まだだ、まだ行ける!
「も、もぉ〜。早く起きてくれないと困るんだから!」
揺れが更に強くなる。酔いそうだ
「う……」
「お、起きた?」
「……ぐーぐー」
「ちょっと! まだやらせる気!?」
「ぐーぐーぐー」
「これ以上何をしたら良のか分からないわよ!」
「ぐーぐーもう少し、ぐー」
「もう少しって……。無理よ」
「ぐーぐーがんばれ、ぐー」
「無理って言ってるでしょ、馬鹿っ! 良いからさっさと起きなさいよ、馬鹿、馬鹿、馬鹿!!」
「ぐほっ!」
花梨のパンチが腹部にヒット!
「……ぐーぐー、ムカムカ」
「う……お、怒った?」
「ぐーぐー!」
「ご、ごめんなさい、お兄ちゃん。謝るから……お、お願い、起きて」
泣きそうな声で俺を起こそうとする花梨。なんだか俺が極悪人みたいな感じに……起きよう
「う、うーん。起きたぞー」
「あ……や、やっと起きてくれた……って、何でもっと早く起きてくれないのよ、馬鹿!」
花梨は、潤む瞳で俺を睨む。どうやら一人で演技するのが本当に辛かったらしい
「ああ、ごめんな。起こしてくれてありがとう、花梨」
「ひ、人前で頭撫でないでよ!」
「悪い、悪い。しかし」
俺は、じっと花梨を見つめて
「な、なによ?」
「よく頑張ったな花梨。ありがとう」
感謝の気持ちを伝えた
「う……ばか!」
「何故に罵倒!?」
礼言ったのに!
「ま、まぁ、とにかくこれで演技が終わったわけだが」
客の反応は鈍い。駄目だったのだろうか
「……では、お二人とも最後の言葉をお願いします」
金ぴかオッサンが、いつになく低いテンションで俺達に指示をした。やっぱ駄目か
「……ま、それでも最後まで頑張ろうぜ」
思い出にもなるだろう
「最後って……も、もしかしてあれ?」
「ああ。お兄ちゃんが好きって奴だ」
「っ! で、でも……」
「それで終わりだ。頑張れ、花梨」
「う、うぅ」
花梨は困惑の表情をし、そのまま顔を伏せてしまった
「……花梨?」
「ほ、本心じゃないんだから……演技なんだからね」
「ああ」
「ん……………き」
蚊が鳴く様な、小さな声
「え? なんだ?」
「だ、だから……き」
「聞こえないぞ花梨。もっと大きな声で言ってくれ」
「だ、だからぁ……」
「どうした花梨! 頑張れ!!」
今、主役は間違いなくお前だ!
「〜〜〜っ! だ、だから好きだって言ってるでしょ、ばかぁ!!」
「ば、馬鹿って……」
だめだこりゃ……
「…………優勝」
諦めていると選手控え所から、ぼそりと声がした
「……え?」
「もう、君達で優勝で良いよ! 僕達が勝てそうに無いよ!!」
まだ演技をしていない組の者が、半ギレ気味にそう言い、諦めのため息を漏らす
「……そうだな、あれは本物だ。あれの後じゃ、俺達はピエロになってしまう。ごめん、静香」
「仕方ないよ、お兄ちゃん。静香、お兄ちゃんの事大好きだから、あんな風に責めたり出来ないもん」
最後の一組もまた、俺達へ賛美の言葉と拍手を送り、棄権を表明する
「あ、あなた達……ふぅ仕方ないわね、兄さん」
「うん。悔しいが、審査するまでもないだろう。異議ある人だけ、審査を受ければ良い」
既に演技を終えた者が、そう言葉を残し、控え所を去って行く。それに続いて他の兄妹達も、負けたよ、ナイスツンデレなどと言い、一様に去って行った
「こ、これは……」
「……大変な事になりました。まさかこの目で、本物のツンデレが見れるとは」
「誰が本物よ!」
金ぴか司会者の声に、花梨が反応する。ツンデレ呼ばわりが嫌らしい
「シスコンの客ども! 審査はいるか〜!?」
いらないぜ!
花梨ちゃん最高だ〜
うぉー!!
体育館は声援と感動で震え、地鳴りの様な拍手に包まれる
そして最後に、花梨の自称ライバルが俺達の前に立ち、言葉を紡ぐ
「…………負けたわ、花梨。貴女がナンバーワンツンデレよ」
「ツンデレ言うな〜!」
「…………」
何が何だかよー分からんが、とりあえず
第五試合、優勝!