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雪の妹大会 8

第三試合。不思議っ子対決


体育館の中へ戻ると、そう書かれた大きな垂れ幕が一本、壇上にあった


「次は不思議っ子か」


「え〜次もわたしじゃないの? ちぇ〜。でも、仕方ないっか。頑張れ千里〜!」


「了解。KO行くよ?」


千里は静かに頷き、シュッシュっとシャドーボクシングを始める。相変わらず弱そうだ


《あ、あ、マイクテス、マイクテス》


「お、なんか始まりそうだな」


姿は見えんが、スピーカーから若い男の声が聞こえる


《次の対決は、不思議しりとりです!》


「……また変な対決を」


誰が考えてるんだ?


《不思議しりとりは、不思議な事をテーマにするしりとり。それを五人の審査員が不思議かどうか判定し、その内三人以上の札が上げればセーフ、上がらなければ失格ですよ〜》


「…………」


俺が悪いのだろうか、さっぱり理解出来ない


《それでは、出場する子は壇上に来て下さい〜》


「……行ってみるか」


色々と言いたい事もあるけど、なんせ一千万だ。多少の事は我慢しよう


「了解、恭くん」


千里は余り一千万に興味無さそうなのだが、協力してくれた。感謝しないとな


「頑張って〜。お兄ちゃん、千里ちゃ〜ん」


雪葉達の応援を背に、千里と共に壇上へ上がる。その俺達と前後して壇上へ上がったのは、十二人の戦士達。俺達を入れたら計十四人、七組の兄妹達が揃った


「一千万円で第二のムツゴロウ王国を作るの」


「お兄ちゃん、勝ったら一週間奴隷だからね? うふふ」


「…………」


中々手強そうだ


《全員集まりました? では、妹さん達だけで手を繋いで大きな円を作って下さい。お兄さん達は今回見学ですから、少し下がって見守ってあげてで下さいね》


さっきから声だけで指示をしているが、どこかで俺達を見ているのだろうか? そう思うと、少し気分悪いが、取り敢えず言われた通り下がって、見学に専念する事にした


《円が出来たら手を離して良いですよ。では今からワッペンを配りますから、胸に付けて下さい》


右の幕裏から五人の黒スーツ姿の男が現れ、千里達にワッペンを渡す。千里達がそれを胸に付けると、男達は千里達の近くで横一列に並んだ


《各自しりとりの持ち時間は10秒です。10秒過ぎたら失格ですからお気をつけて》


10秒以内に答えないといけない訳か


《では最初のキーワードを言いますね。最初は【フシギ】一番のワッペンを付けた子から右周りで始めます。では……いきなり始め!》 


「え!? え、あっと……ぎ、は……ぎ……義理のはとこ!」


横一列に並んでいた五人のスーツ男達が、一斉にセーフと書かれた札を上げた。どうやらあの人達が審判らしい


「おお〜、なんか不思議な響きだ」


「はとこまで行くと、義理とかどうでも良いもんな」


感嘆する観客達。なるほど、そんな感じで良いのか。しかし凄まじく、くだらない企画だなこれ。千里は大丈夫だろうか


俺は二番目である千里を見て、その言葉を待つ


「コ〇スケ爆破。犯人キテ〇ツ」


即答!? つかそれ、しりとりじゃねー


「な、なぜ爆破を……」


「不思議だ……不思議すぎる!」


観客達からは声援が上がり、札も五つ全て上がった。負けを覚悟してたんだけど、基準が分からんな


「津軽海峡、夏景色!」


「き……キリン、ダイエット宣言! って、あ! ん、言っちゃったよ〜」


失格っと、そんなのが暫く続いて七順目


「し、しは……支配人の荒稼ぎ!」


札は2枚。失格


九順目


「あ……あ…………あ……わ、分かんない〜」


言葉が出ず、泣いてしまい、失格


十七順目


「か、買います、株!」


失格。とまぁ、次々に退場していって、いよいよ千里を含めた三人だけとなった


「し……シマウマの共食い!」


「イスタンブールにて、ゴルゴンゾーラ」


「ら、来週はアルマジロ購入予定!」


段々しりとりから離れていってる気がするが、それでもまだ続いている。一体いつ、試合は終わるのだろうか


「い、い〜い、イスタンブールでアマリリス!」


失格


「イスタンブールでフランス語」


千里はセーフって違いが分からん


「ご……ごくろうさんぱ24!」


「死に急ぐな大阪スパーク」


「く、クマのプータロー!」


「ローキックで足を折る」


「る、ルビーを質屋で売った母!」


「ハイキックで首も折る」


「ま、また、る!? ええと……る、ルネッサンス革命児!」


「ジジイの首も折る」


「折るな! って何でセーフだ!?」


味方なのにツッコんでしまう


「る、る、る〜!」


セーフ


「ってなんでセーフなんだよ!?」


狐か? 北の国か!?


「ルーカスの首も折る」


「誰!?」


「スター〇ォーズ」


「止めて〜怒られる〜」


「またぁ!? もうないよ〜」


女の子が悩んでいる間にもカウントダウンは続き


「あ〜も〜ダメっ! ごめんね、お兄ちゃん!」


《はい、タイムオーバーです! 優勝者は2番、恭君と千里ちゃんペアー》


訳の分からない内に勝ってしまった


「楽勝。ね」


「あ、ああ……」


不思議な対決だった……


ま、それはともかく


第三試合、完勝!


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