春の小旅行 2
呼吸が完全に落ち着いた所で、城へ向かって進軍再開。近づくにつれて、首の角度が上がってゆく
「お〜城だ〜」
「城だな」
城の直ぐ近くにある大きな公園に入り、丁度やっていたフリーマーケットを横切って、城の敷地内へ侵入
松だかなんだか分からんが、時代劇っぽい木が多く植えられ、時代劇っぽい堀があり、その堀で時代劇っぽいカモが泳いでいた。地面もなんか時代劇っぽい道で、歩くと道に敷き詰められた砂利が小気味よい音を立てる
「凄い城だな、兄貴」
「ああ、日本一堅固らしいぞ」
「そっかぁ」
「ああ、凄いよな」
「凄いな〜」
「ああ……」
「…………」
「…………」
「……天守閣に上がってみるか?」
「ううん。兄貴行ってくれば?」
「いや、別にいい」
「そっか……」
「……ああ」
「………………」
「………………」
「……そ、そろそろ帰るか」
「……うん。帰ろうぜ、兄貴」
どうやら春菜は城に興味は無いらしい。つか俺も無いってのに何で来たんだ?
「……帰り、駅地下にあったお土産屋見てみようぜ。なんか買ってやる」
城見物に付き合わせた、お礼の意味も兼ねまして
「え!? マジで!? やったぁ〜、今日の兄貴は最高!」
「だから暑いから腕を組むなって!」
それにしても、この何ヶ月間で随分俺を信頼してくれる様になったよなコイツ……
「……また夏休みにどっか行こうか、春菜」
ちょっと照れ臭いけど
「ああ! 兄貴となら何処でも行くぞ!」
今日の浪費
俺>>>>>春
「あと、これとこれとこれとこれ! おっ、この駅弁もうまそ〜」
「お、おまっ! ちょっとは遠慮しろよ!!」
「へへ! 後で一緒に食べような、兄貴っ♪」
つづづ