表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
264/518

第117話:俺の友人

学校シリーズ三部作ラスト。彼の学校は、明らかにおかしい

7月2日は朝から雨が降っていた


「止まないね」


「止まないな」


学校の授業が終わり、放課後。朝は小降りだった雨は、今では夏の豪雨となって地面に突き刺さっている


その雨を俺とFは、二人きりとなった教室で眺めていた


「佐藤君も傘、忘れたの?」


「ああ。夕方には晴れると思ったから……」


勢いは衰える事なく、雨はザアザアと降り注ぐ


「それに今日は自転車で来たんだよ。たく、ついてないぜ」


「私も。朝の時点で、大丈夫だと思っちゃった」


「そうだよなぁ。はぁ」


濡れるの覚悟で飛び出しても良いが、家まで距離が結構あるので、ならべく避けたい所だ


「……仕方ない。奴を使うか」


「奴?」


「ちょっと待ってな」


俺は携帯電話をポケットから取り出し、悪魔のナンバーを押す


666


プルルルルル、プルルルルル……おかけになった電話番号は――


数回呼び出し音がなり、留守番電話サービスに繋がった


「……駄目か」


肝心な時に役に立たない姉ちゃんだぜ!


「佐藤君?」


「ん、ああ……職員室行って貸してくれるかどうか聞いて来るよ」


「あ、私も行く」


「そうか? じゃ、行くべ」


教室を出て、薄暗い廊下を歩く。途中で階段を上がり、三階にある職員室へ


コンコンとドアを軽く叩き、失礼しますと中へ入る。中には授業を受けた事は無いが、顔は知っているY先生が居た


「ん? おお、佐藤の弟か。どうした?」


俺も佐藤ですが?


「貸せる傘ってありませんか? 俺達忘れて来ちゃって」


「馬鹿だな〜、朝降ってたろ。仕方ない、俺の貸してやる。一本しかないけどな」


何がおかしいのかY先生は、ガハハと豪快に笑った


「一本か……じゃ貸してもらいます。ありがとうございます」


「ありがとうございます先生」


「ああ、気をつけて帰れよ」


黒い傘を受け取り、教室へと戻る


「鞄は……」


置いて行くか


「そっちはもう帰る準備出来たか?」


「うん。いこ、佐藤君」


Fは小さなスポーツバッグを肩に担ぎ、早足で俺の側へ寄る


「じゃ帰るべ。傘、二人で入る事になるけど、構わないよな?」


「うん」


了解を得た所で、俺は昇降口へ向かう事にした



「Fんちは何処方面?」


「私は電車通学。佐藤君は3丁目の方でしょ? 駅まで送ってくれたら後は大丈夫だよ」


「わかった」


雨は勢いを落とさず、さした傘へ容赦無く落ちる


駅までは、歩いて約20分。全く濡れずに行くのは無理だろう


「自転車サビなきゃ良いけどな」


「そうだね〜」


「この間、買ったばかりだからさ。Fはいつも自転車なのか?」


「うん、駅前の駐輪場借りてる。明日は少し早く起きなくっちゃ……自信ないなぁ」


「確かに早起きはキツイよな。俺も結構夜更かししてるから」


「そうだよねぇ〜。夜の方が楽しいもん」


「だよな。でも早寝早起きの習慣つけないとな」


そんな軽い会話をしながら歩いていると、以外と早く駅の近くへと着いた


「ふ〜。結構足、濡れたな。Fは平気か?」


「うん、ちょっと靴下が濡れただけ」


「風邪は足元から来るって言うし、帰ったら暖かくしろよ」


「うん……。佐藤君って凄く女の子慣れしてるよね。もしかして……結構遊んでる?」


主に遊ばれる方です


「……うちは5人、女だからな。慣れもするよ」


「う〜ん……そっか。凄いよね、佐藤君の家族。秋先輩や夏紀様がいるんだもん」


ここでも様づけ?


「ま、まぁそうかもな。Fには兄弟とか居るのか?」


「いるよ〜。生意気な弟が一人」


「仲良さそうだな」


「え? どうして?」


「嬉しそうだからだよ」


「そ、そうかな?」


「ああ。と、こらこら肩が濡れてるぞ、俺から離れるな」


「あ、うん……。佐藤君ってやっぱり女の子慣れしてるよ……」


「ところでさっきから気になってたんだが」


「なぁに?」


「ズボンのチャック開いてるぞ」


「きゃ!? も〜早く教えてよねっ!」


「…………」


やはりこの学校は、大丈夫じゃない




今日のカマ


F>>>>>>>>俺


通学

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ