表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
263/518

第116話:父の船旅

船は長い航海後、唐突に止まった


「つ、着いたのか?」


三日。三日と言う時間、僅かな水と、カビたパンだけを与えられ閉じ込められていた佐藤達は、今おかれた状況も忘れ、安堵の息を吐く


「……お、お水が欲しいよ」


掠れた声で、うわごとの様に呟いたのはミーシャだ。彼女は、この部屋で唯一の女性であり、最年少の少女である


「きっともうすぐ飲めるから、頑張るんだよ」


彼女に声を掛けたのは、優しい瞳をした日本人。彼は、この三日間自分が飲むべき筈の水を、約半分少女に与えていた


「サ、サトウ……ありがとう」


「けっ! さっさと死んでくれりゃ、そのガキの分、水が飲めたのによ」


二人を見て悪態をつくのは、元水夫のバッファード。彼は人より身体が大きいと言う理由で、他の者より多くの水や食料を奪っていた


「おい、そんな言い方は無いだろう! 彼女も仲間じゃないか!!」


憤るのは閉じ込められた五人の中で、もっとも元気だった男、スナフ。現役の軍人であり、真面目な男だ。彼のお陰で、辛うじて船の中の秩序が保たれていたと言っても良い


「くくく」


「なにが可笑しいのだ、ご老体!」


「なに、生き残ってしまった事の哀しみに、思わず笑みが零れてしまっただけさ」


その言葉に、部屋は静まり返る。彼等はこれから先、自分達に何が起きるか分かっていない。しかし――しかし、この老人の言う事が確かなら、これから待ち受ける物は、苦難を越えた地獄である


ギギギギギ


天井の端にある、入口が音を立て開く


「うっ!」


三日振りの強い太陽の光が、サトウ達の目を強く刺激した


「灰巌島へようこそ、薄汚い奴隷達。私達は君達を歓迎しよう」


男にしては高く、耳障りな声が、まばゆい光から響く


「そして誓おう。君達へ素晴らしい未来を与えると」


そして地獄が始まった




今日の船酔い


父>ミ>>老>バ>>>>ス


つづ……かなくてもよくね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ