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第115話:俺の学校

「友達の恋人を好きになりました。どうにか出来ませんか?」


「どうにも出来ません。スポーツでもやって発散しなさい」


「でも……」


「良いからやれ! 今すぐやれ!! さっさと走れ〜」


「は、はいぃっ!」


第四回世界一の姉、佐藤 秋様の弟が答える人生相談


この俺のアイデンティティをまるっきり無視した名前の企画は、四ヶ月前のある一言から始まった


『佐藤、相談に乗ってくれないか?』


4月15日の朝、教科書を机に入れている時に、友人Tが掛けて来た声がそれだ


『ああ、良いぜ。言ってみろよ』


『実は今の彼女が……』


『彼女がいない俺に彼女の事を相談するな』


『いや、聞いてくれ! 頼れるのはお前しかいないんだ!!』


『俺しかいない? ふふふ、中々見る目があるじゃないか。よし、聞いてやる』


んで、ノロケ話のような愚痴を聞き、適当にアドバイスしたらそれが良かったらしく、それをTはクラス内で大袈裟に宣伝をした


そして、その宣伝を聞いた奴らが俺へ相談しに来たので、適当に答えてやると、そいつらもまた宣伝活動をし始めたと言うネズミ講的な事が学校内で起こり、連日何人かが相談に来るようになってしまった


だが、相談は面倒臭い。5日で飽きて相談を無視していると、なんと金を出す奴までが現れた。その不思議現象に何故かTは乗り気になって、すったもんだのあげく下記の取り決めが俺の意志を無視して決まる


相談受付は月始めの一日のみ。相談料は120円で、これは缶ジュース一本分の価値って事でこの額に。とまぁ長い説明をし終えた所で、今に戻ってみよう


「では、次の迷える子羊よ。弟様の前へ立ちなさい」


Tは俺のマネージャーとなり、客や列の管理を無償でやっている。要するに馬鹿なのだ


「はい。……弟様、実は近頃、妹が俺にキモいって言ってきて……」


「痩せろ。次」


「最近寝不足でさ、テスト勉強がはかどらないんだよ。どうしたら良いかな?」


「寝ろ。次」


「彼氏が、あ、まだ付き合って5日なんだけど、エッチさせろって迫ってきて〜」


「別れろ。次」


「俺さ、秋さんとマジで付き合いたいんだけど、紹介を」


「死ね。次」


新宿の母を超える明確で的確なアドバイスを、ばしばし答えてゆく。なんせ休み時間や放課後を使って、一日に50人ぐらいの相談を受けなくてはいけないので、のんびりやってられない


「金持ちになりたいんだけどよ、どうすりゃなれる?」


「働け。次」


「宇宙が! 宇宙からの電波が!!」


「病院行け。次」


相談に来る奴らは、基本的に自分の中である程度の答えは決まっている。だから俺はその後押しをしてやると言う訳だ


「うちの猫が居なくなったの……。どうしたら良いのかな」


「先ずは保健所に電話して、確認。次に写真付きのチラシを作り、許可を貰ってコンビニやスーパーに張る。そのチラシには自分の電話番号や住所は書かず、捨てても良いメールアドレスを書く。後、僅かでも懸賞金があると良い。次」


「ミトコンドリアって、たべもの?」


「真核生物の細胞小器官の一つ。次」


たまに思う。この学校は大丈夫なのだろうかと


「ドラ〇もんが欲しい!」


「……本屋行け。次」


きっと大丈夫じゃ無いだろう




今日のカオス


全員


カツオ


超適当小説


今日の燕さん。その2




「立てばシャクヤク、座れば牡丹。歩く姿は百合の花……か」


鳴神学園、生徒会室。四人で行っていた書類整理作業も一段落した頃、一年の書記が呟いた


「あら、突然どうしたの宮川さん?」


直ぐ隣で作業をしていた副会長が、不思議そうに声を掛ける


「あ、副会長。今、修学旅行用のパンフレットを見ていたら、そんな言葉があって……会長にピッタリだなぁって思ったんです」


書記は今も手を休めず作業をしている会長をチラ見し、ほぅっと感嘆のため息を吐いた。憧れているのだ


「そうね、会長は立ち振る舞いが綺麗だから。宮川さんも真似をしてみたら?」


「そ、そんな!? わ、わたしなんかが会長の真似なんて出来ません! 会長が百合の花なら、わたしは道端に生えてる雑草程度のものです!!」


「そ、そんなに自分を被虐しないで。大丈夫、宮川さんも会長に負けないぐらい魅力的よ」


「…………」


「宮川さん?」


「会長のように完璧な方と比べられてしまうと、自信を無くしてしまいます……」


「あら……そうねぇ。会長」


「…………」


副会長は会長に声を掛けるが、集中している会長には届いていなかった


「……燕、ゴキブリ!」


「む? …………ゴ、ゴキブリ!? ど、どこ、どこにいるのだ!? うわぁ!?」


会長は慌てふためき、椅子から転げ落ちてしまった


「か、会長!?」


「ね、完璧なんかじゃ無いでしょう?」


その副会長の笑顔に、書記は恐怖を覚えたという

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